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ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 

2010-12-23 都築響一著「ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編」

ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編

東京が日本じゃないように、ニューヨークがアメリカじゃない。ほんとうの日本が地方の片隅に埋もれているように、

ほんとうのアメリカは聞いたこともない州の、聞いたこともない地方の街角に転がっている。

行ってみよう、だれもが知ってると思い込んでいて、実はなんにも知らなかったリアル・アメリカに。

ポップを生み、ロックとヒップホップを生み、20世紀でいちばんほがらかなビザールと不治の狂気を生んだ、世界最大のミステリー・スポットに。壮大なジョークのカタマリに。

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 本書は文藝春秋社が2000年に発刊した月刊誌『TITLE』のために、創刊号から2007年まで丸7年間にわたって連載された『珍世界紀行 アメリカ裏街道を行く』に大幅な加筆訂正を施し、構成しなおしたものである。

 面積にして日本の25倍以上あるアメリカ合衆国の全50州を回るのは、その気になれば一生を費やせるほどの仕事になる。担当編集者が同行するわけでもなく、リサーチャーを雇うわけでもなく、ひとりでレンタカーを借りて、何週間か、ただただハイウェイや田舎道を走り回る。

 夕方になったらモーテルを探して、携帯炊飯器でご飯を炊いて食い、翌朝また走り出す・・そういうアメリカ田舎巡りを7年間、考えてみれば自分の40代のかなりの部分を費やして繰り返してきたことになるが、疲れて居眠り運転とかはあっても、行く先々で怖い目に会ったことは、ほんとにいちどもなかった。

 この企画をスタートさせる前は、ニューヨークやサンフランシスコに住む友人たちから「南部の人間はみんな銃を持ってるから気をつけろ」とか「いまだに人種差別があるぞ」とか、いろいろ親切な忠告というか、「やめとけば、そんな田舎行くの」と暗に諭されていたが、いざ足を踏み入れてみれば、大都会の人間がバカにするディープな田舎ほど、実はすばらしくフレンドリーで、ユニークなひとたちが住んでいた。

 アメリカを旅する前に『珍日本紀行』というプロジェクトで、日本の田舎を走り回ってきたが、そのときつくづく実感したのが、都会の人間は田舎のことを知りもしないし、知ろうともしないという事実だった。これは日本に限ったことじゃなくて、ニューヨークのやつはニュージャージーのことをバカにするし、シカゴのやつはウィスコンシンを、カリフォルニアのやつはオレゴンをバカにする。そしてその精神的な上下関係は、日本よりずっと露骨なものがある。

 本屋さんの海外旅行コーナーに行くと、『地球の歩き方』にしたってヨーロッパのかなり田舎のガイドがあるのに、アメリカはごく一部の大都市と、あとは『アメリカ合衆国』なんて一冊でおしまい。もしかしたら、日本人がいちばん知ってる気になっていて、実はなんにも知らない国、それがアメリカだったのかもしれない。

 日本でも、ヨーロッパでも、たぶんアメリカ以外のすべての国で、とりわけインテレクチュアルなひとびとのあいだには、ある種のアメリカ嫌いというか、アレルギーがある。国家という集団になると、もしかしたら世界でいちばんひどいことをやってきて、でもひとりひとりの人間は世界でいちばんお人好しかもしれない、そういう不思議な民族。世界でいちばん効率的な大量殺戮兵器を生み出しておきながら、ジャズやロックやヒップホップや、ポップ・アートやコンピュータも生んだ国。ダークサイドとブライトサイドが、これくらい激しい振り幅で同居している国って、ほかにあるだろうか。ものすごくわかりやすそうでいて、ものすごくわかりにくい巨大国家。それがアメリカの魅力なのだ。



ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編 目次

    • 巨大なるもの……84物件
    • 信じるもの……30物件
    • 振りかえるもの……27物件
    • 収集するもの……68物件
    • 満腹するもの……17物件
    • 生きとし生けるもの……40物件
    • 創造するもの……80物件
    • 観光するもの……75物件
    • 死に向かうもの……40物件
    • わかりやすいもの……34物件

※全495物件を収録



巨大なるもの

巨大人間、巨大生物、巨大な記念碑......ハイウェイを降りて町に乗り入れるとき、まず目に入るのが「巨大なるなにか」 であることがよくある。それは町のランドマークであったり、商業施設の広告塔であったり、モチーフも目的もさまざまだ が、共通しているのは事物が極端に拡大されることから生まれる、シュールな存在感だ。




発泡スチロールでストーンヘンジを作った男

Enchanted Castle Studios

Natural Bridge, Virginia

ヴァージニアの名勝としてまず挙げられるナチュラルブリッジ。18世紀、19世紀にはヨーロッパ人にとって、新大陸の2大名勝といえばナイアガラ瀑布とナチュラルブリッジという老舗観光地だが、近年は寂れるいっぽう。そこに登場したのが若きエンター テイナー兼ファイバーグラス・アーティスト、マーク・クラインである。クラインはナチュラルブリッジ脇にお化け屋敷と恐竜ランドを開くいっぽう、発泡スチロールであのストーンヘンジを完璧に再現した《フォームヘンジ》を作り上げ、人気を博すようになった。

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トウモロコシ畑にそびえ立つ、白い金属の環状列石

Carhenge

Alliance, Nebraska

ネブラスカ北西部の小さな小さな町、アライアンス。人口数百人の集落に、年間5万人を越える観光客が訪れる。町はずれの丘にある《カーヘンジ》をたずねて。 アメリカン・ポップ・カルチャーの、ヨーロッパ先住民への回答ともとれるこのカーヘンジ、その名のとおりクルマでできたストーンヘンジなのだ。まわりは一面のとうもろこし畑、そして牧草地。ほとんどクルマも通らない田舎道で、黒々とした大地からにょっきり倒立する白い金属塊は、巨大なスケールのポップアートにも、最上のブラック・ユーモアにも見える。

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1963年、アメリカはJFKとフィンを失った

Cadillac Ranch

Amarillo, Texas

おそらくテキサスでいちばん有名な観光名所である《キャデラック・ランチ》は、かつてのルート66に並行して走るインターステート・ハイウェイ40号線の脇に、西を向いて陽を浴びている。 地元の億万長者であり、現代美術のパトロンとしても名高いスタンリ ー・マーシュ3世が、サンフランシスコのアーティスト・グループ、アント・ファームをアマリロに招いて作成させたキャデラック・ランチ。その名のとおり10台のキャデラックが斜めに埋められたモニュメントだ。年式は1948年から1959年までのキャデラック・エルドラド、あるいはクーペ・ド・ヴィル。これはアメリカのクルマにフィンが生え、どんどん大きくなって極限にまで達した時代をあらわしている。つまりこのモニュメントは、キャデラックのフィンの成長と衰退の歴史でもあるのだ。

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キャロライナの空に浮かぶ、おいしげな桃尻

The Peachoid

Gaffney, South Carolina

ノースキャロライナ州境 近い85号線を北上すると左手に巨大な「桃尻」が見えてくる。朝日を浴びて、割れ目もくっきりオレンジ色に輝く姿は、ドライバーの眠気を一瞬にして吹き飛ばす。高さ150フィート(約45メートル)、平坦なこのあたりでは10キロ以上先から見えるという。地元では《ピーチョイド》と呼ばれ親しまれている。

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川釣りの館で釣りキチ三平気分

National Freshwater Fishing Hall of Fame

Hayward, Wisconsin

ウィスコンシン州北西部の小さな町、ヘイウォードで唯一の大きな交差点脇に、巨大な魚が踊っている。体長143フィート(約44メートル)、重さ500トン、さながらファイバーグラス製の巨大魚のいけすといったおもむき。これが 1960 年にオープンした《ナショナル・フレッシュウォーター・フィッシング・ホール・オヴ・フェイム=全米川釣り記念館》だ。地元の釣りマニアが作ったユニークな記念館には、ウィスコンシンの川釣りに関するありとあらゆるメモラビリアが揃っている。

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信じるもの

その成り立ちからして、アメリカ合衆国はきわめて宗教的な国家だった。ふつうの日本人の感覚では考えられないほど、この国の人々は日常生活に信仰が溶けこんでいる。そして神への思いが深まるほど、信仰の空間はエキセントリックな色合いを深めていく。



救済の山に、神の言葉を描き続ける男がいた

Salvation Mountain

Niland, California

カリフォルニア州の南端、道路地図にもちゃんと記されていない広大なエリア。ニーランドと呼ばれるその場所の一隅に住みつき、聖書のメッセージを岩山にペイントしつづける男、それがレナード・ナイトだ。夏も冬も、昼も夜も、おんぼろトレーラーで暮らしながら、《サルベーション・マウンテン=救済の山》とみずから名づけた場所で、岩山を削り、神の言葉を土でかたどり、ペンキで彩色する作業に熱中しつづけている。 生活費を稼ぐ時間もないから、ペンキや食料はすべて寄付に頼る生活。レナード・ナイトは、砂漠の聖者なのだ。

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学校教師の手が掘り出した、木彫の聖書物語

Museum of Woodcarving

Shell Lake, Wisconsin

ハイウェイ63号線沿いに、倉庫のような外観をさらす《ミュージアム・オヴ・ウッドカービング》。地元の教師だったジョセフ・バータが独力で作りあげた、「ひとりの手による世界最大の木彫コレクション」である。 建築材としてもっともポピュラーなツーバイフォーの角材をつなぎ合わせた塊から彫り出された、等身大の木彫作品が全部で100余体。なかでもダ・ヴィンチの最後の晩餐は、4年以上の歳月をかけて仕上げられた大作である。

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「地獄は熱いぞ、熱いぞ」って教えてくれる道端の神殿

Cross Garden

Prattville, Alabama

アラバマの2大都市モンゴメリーとバーミングハムを結ぶ、州間高速65号線に面した小さな町プラットヴィル。町はずれの丘に、《クロス・ガーデン》 と呼ばれるアウトサイダー・アート空間がある。今年で74歳になるW・C・ライスが、1976 年以来ずっと書きつづけ、作りつづけてきた数百の十字架と、洗濯機やエアコンの廃品を使った「メッセージ・ボード」が剥き出しの地面に林立する、なんとも過激な「作品」だ。

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ハレクリシュナ〜の合唱が響く手作り宮殿

Palace of Gold

Moundsville, West Virginia

オハイオ河沿岸の要港として栄えたウィーリングの町から、のどかな丘陵地帯を奥へ奥へと走ること約1時間、丘の向こうに突然見えてくるの が《パレス・オヴ・ゴールド》。弁髪の髪にオレンジ色の衣をまとい、「ハレクリシュナ、ハレクリシュナ、クリシュナクリシュナ、ハレハレ! ......」と唱えながら、集団で歌い踊りつつ行進する人たちがいたのを覚えているだろうか。1960年代後半から世界各地に広まったハレクリシュナ運動の、ここはアメリカ最大の、そして世界最大のコミューンなのだ。

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振りかえるもの

1776年の独立宣言から、まだ200年と少し。そんなに新しい国だからこそ、アメリカ人の歴史への愛着は並々ならぬものがある。本で読むだけの知識ではなく、「自分たちのご先祖さま」と体感できるくらい親密な歴史。この国は触れられるくらいに近い過去でいっぱいだ。




開拓時代村で、ガンファイトの醍醐味を堪能?

O.K. Corral

Tombstone, Arizona

アリゾナは西部開拓時代のドラマとノスタルジーに彩られた、特別な地域だ。そして西部劇でいちばん有名なのが、トゥームストーンが舞台となった『OK牧場の決斗』。1881年に起きた銃撃戦が、そのまま人形で再現され、カウボーイたちによる実演ショーも毎日行われている。

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ゴールドラッシュの夢の跡

The Last Train to Nowhere

Solomon, Alaska

ベーリング海に突き出たスワード半島にあるノーム。準北極圏の小さな町だ。美しい湿原の中に突然現れるのが、錆びついた蒸気機関車。ゴールドラッシュのころに鉄道建設が始まったものの、1908年に鉄道会社が破産してしまった。以来100年、蒸気機関車と車輪や駅の一部は残骸となったまま、北の大地に放置されてきた。夏は湿原、冬は一面の銀世界のなかの鉄のかたまりは、壮大で滑稽な夢の跡であり、1世紀という時間が生んだ巨大な美術作品でもある。

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鉱山町にひっそり咲いた女郎花

The Oasis Bordello Museum

Wallace, Idaho

かつて世界最大の銀山を擁し、活気に満ちた鉱山町だったウォレス。最盛期には5軒の売春宿が並び、華やかなネオンサインを競っていた。最後まで営業を続けていたオアシス・ルームがその扉を閉じたのは、なんと1988年のこと。残された館は、女たちが残していった家具、衣装、台所の食器まで、すべてそのままに一般公開されている。

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むごたらしい牢獄の内部をリアルに再現

Witch Dungeon Museum

Salem, Massachusetts

教会のようなベンチに観客が腰を下ろすと、目の前の緞帳が開き、世に名高いセイラム魔女裁判のセットが現れる。そこで俳優が登場し、当時の魔 女裁判の様子を再現。そのあとは地下に降りて、魔女とされた被害者たちが閉じ込められていた、牢獄の悲惨なありさまを観賞するダンジョン・ミュージアム。地下の淀んだ空気の中で、薄暗い鉄格子の奥を覗き込むのはけっこうリアルな体験だ。

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収集するもの

コレクターに必要なもの、それは情熱と資金と場所である。そして20世紀において、その3つの要素がいちばん揃っていたのがアメリカ合衆国だった。古今東西の美術品のようにわかりやすいものから、なぜこんなものを?と理解に苦しむジャンクまで、ありとあらゆる種類のコレクションが、この国には世界中から集まっている。




死んだあともこだわりたいひとに、棺桶コレクション

National Museum of Funeral History

Houston, Texas

ヒューストンのダウンタウンから北に20数キロの新興住宅地に立派な建物を構えるのが、《ナショナル・ミュージアム・オヴ・フューネラル・ヒストリー》。葬儀に携わる人材を育成する学校が運営する、おそらくアメリカ随一の葬儀博物館だ。広々とした館内には開拓時代から現代に至るまでの、アメリカ文化における死の受容のありかたをめぐる、非常に興味深い展示が常設されている。

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600体の腹話術人形に囲まれて

Vent Haven Museum

Fort Michell, Kentucky

シンシナティに近いフォート・ミッチェルの、静かな住宅街にある一軒家。《ヴェント・ヘイヴン・ミュージアム》という控えめな立て札が目印だ。ヴェントとはヴェントリロキスト=腹話術師の略。ヴェント・ヘイヴンは世界唯一の腹話術 博物館なのだ。その数およそ600体、世界最大のコレクションである。

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等身大の尼さん人形にちょっとトキメキ?

Nun Doll Museum

Indian River, Michigan

ミシガン中部の町インディアンリヴァー。木立に隠れるように《クロス・イン・ザ・ウッズ》と呼ばれる教会がある。高さ17メートルあまりの巨大な十字架(キリストつき)で有名な教会だが、もうひとつ名物なのが礼拝堂地下に展示されている《ナン・ドール・ミュージアム》。その名のとおり尼さんの人形ばかりを525体も集めた、珍しいコレクションだ。

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ネオン、ラスヴェガスが生んだ芸術資産

The Neon Museum

Las Vegas, Nevada

超高層ビルがニューヨークの建築を象徴するように、ラスヴェガスはネオンの街だった。巨大ホテル建築ラッシュで消えゆく光の芸術を救おうと設立されたのが《ネオン・ミュージアム》。壊される運命のネオンを救い出し、修理してふたたび街に戻す---そうした目的でいくつもの傑作ネオンが甦り、昔ながらのカジノが集中するダウンタウンの一角を中心に設置されている。さらにネオン・ミュージアムにはまだ修理、再設置にいたっていないネオンが集められている保管場所もある。『ボーンヤード=ネオンの墓場』と名づけられた広い空き地には、さまざまなネオンの「死体」が無造作に積み上げられ、それ自体が不思議にパワフルな芸術作品のようだ。

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小海辺の町へジャニスと会いに

Museum of the Gulf Coast

Port Arthur, Texas

メキシコ湾に面したテキサス南部のポートアーサー。かつて石油採掘で大発展した町だが、いまは荒廃したダウンタウンで孤軍奮闘しているのが《ミュージアム・オヴ・ ザ・ガルフコースト》。ポートアーサーの歴史を紹介する郷土博物館。音楽コーナーにはポートアーサーの生んだ偉大なアーティスト、ジャニス・ジョプリンの短くも激しかった生涯が再現されている。はじめて描いた油絵や高校の卒業アルバム、サイケなペイントの愛車など、ファンなら感涙必至。

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満腹するもの

長い年月のうちにつちかわれた食文化、そういうものがゼロまでリセットされた新しい土地。食べることが楽しみである前に、生き延びることであった環境で、まず求められたのは“質”ではなく“量”だった。どれだけ手間ひまをかけたかではなく、どれだけ大盛りの食事を出すのが「おもてなし」であるとする精神が、いまだにアメリカ人のこころには根づいている。




電話帳サイズのステーキに挑戦

Big Texan Steak Ranch

Amarillo, Texas

アマリロ郊外に巨大な店を構える《ビッグ・テキサン・ステーキ・ランチ》は、アメリカ中の肉好きに知られた有名店だ。この店の名物は「72オンス・ステーキ」。キログラムに直して2キロ強。ちょうど東京のハローページと同じくらいか。この非人間的なサイズのステーキに、サラダと前菜のシュリンプ・カクテル、パンまで全部、1時間以内に食べ終えたら「お代はいりません」。そのかわり食べきれなかったら、50ドルの勘定書が待っている。

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オーバー1万キロカロリー! 食肉市場の絶品ハンバーガー

Joey's Meat Cutters Inn

Detroit, Michigan

デトロイトのダウンタウンから東に位置するイースタン・マーケット。市場のそばには、そこで働く人々のためのおいしい食堂があるものだが、 イースタン・マーケットの名物といえば《ジョーイズ・ミート・カッターズ・イン》。精肉業者の店という名に恥じない一品が「ラージ・ダブルデッキ・バーガー」。なにしろ1ポンドの肉が2枚、大きなバンズにどかんと乗って出てくる。肉だけで32オンス(約1キロ)! カロリー計算すると、1万2,845キロカロリーになるんだとか!

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エジソンもびっくり? 超特盛り食堂で悶死の夜

Harold's New York Deli

Edison, New Jersey

この地に研究所をかまえたトーマス・エディソンにちなんでつけられたエディソン市。町はずれの一角、モーテルにくっついているレストランが、実はアメリカで最高のサンドイッチを出すと評判の《ハロルズ・ニューヨーク・デリ》だ。名物のパストラミとコーンビーフを重ねたサンドイッチを注文すると、やってきたのがバレーボールぐらいありそうなピンク色の塊!高さ約30センチ、自分の顔と同じくらいまで積み上げられ、特別に長い竹串をぶっちがいに刺して押さえつけられた、何枚あるか勘定すらできないパストラミとコーンビーフのスライスが盛り上がっている。こんなの、どうやって食べろっていうんだろう。

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生きとし生けるもの

アメリカのハイウェイを走っていて、まず驚くのがロードキル=車に轢かれた動物の多さだ。そしてスポーツ・ハンティングという「娯楽としての狩猟」に疑いを持たないひとが多数を占めるこの国では、年間1億3千万匹/頭の動物が、ハンティングという殺戮の犠牲になっている。それはヒトとケモノの生きる場所がそれほど近いこと、ヒトがそれほど濃密な自然の中で生きていることの証でもある。




お葬式のあとは剥製ジオラマ見物

Sanfillippo Cress Funeral Service

Madison, Wisconsin

ウィスコンシン州立大学のキャンパスが広がるマディソンの町はずれ、幹線道路に面してフューネラル・ホームがある。日本の葬儀屋と斎場を兼ねた、アメリカのどこにでもあるタイプの店だ。地下に案内され、電気のスイッチを入れた瞬間、おどろきで声がうわずった。広い部屋の隅から隅まで、動物や魚の剥製で埋めつくされているのだ。それも単なる剥製ではない。巨大なマスがモーター仕掛けで擬似餌を追いかけ回転しているかと思えば、子リスの乗った観覧車がガトゴト回り、ガラスケースの中では白リスがハーレーにまたがっている。この、なんともビザールな剥製コレクションを作ったのが、サム・サンフィリッポ。つい最近までこのフューネラル・ホームを経営していた男である。

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ビール片手に剥製見物、の居酒屋自然博物館

The Buckhorn Saloon & Museum

San Antonio, Texas

サンアントニオのダウンタウンに、なんともキッチュで楽しい寄り道スポットがある。《バックホーン・サルーン&ミュージアム》は創業1881 年、サンアントニオきっての歴史を誇る「居酒屋兼博物館」だ。開業当時、客集めのために「仕留めたシカの角を持ってきたら、ビールかウィスキーが1杯タダ!」と宣伝したところ、あれよというまにものすごい量の角が集まってしまった。お客さんはシカ以外にもありとあらゆる動物の頭を持ち込 むようになり、店は10年もたたないうちに、居酒屋か自然博物館か見分けがつかないありさまになってしまったのだった。

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体長10センチ近い巨大ゴキに失神寸前!

The Cockroach Hall of Fame

Plano, Texas

ダラスから北へ行った郊外の町プラーノ。ショッピング・センターの一角に、小さな害虫駆除業者の店がある。ここが実は、世界のマニアに知られた《コクローチ・ホール・オヴ・フェイム=ゴキブリの殿堂》だ。カウンターの奥にはマダガスカル・ヒッシング・ローチが、水槽の中でうじゃうじゃうごめいている。体長8〜10センチにもなり、触られるとキューキュー音を出す、とびきりおぞましい巨大ゴキブリを、「おとなしいもんだよ」といいながら手に乗せて見せてくれる店主の頭には、ぐるりと巨大ゴキをくっつけた帽子が乗っていた。

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DCの巨大博物館巡りに疲れたら、

田舎の恐竜公園で息抜きタイム

Dinosaur Land

White Post, Virginia

風光明媚なシェナンドー地帯の入口に位置するヴァージニア州ホワイトポストに、1960 年代そのままのロードサイド・テイストをしっかり残す恐竜公園、《ダイナソー・ランド》がある。色彩も表情もとびきりカラフルな恐竜たちが歩きまわる、原始時代の異空間。それもおたがい噛みつきあったり血を流したりと、臨場感もサービスも満点だ。

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樹海の中の手作りジュラシック・パーク

Prehistoric Gardens

Port Orford, Oregon

海辺の小さな町ポート・オルフォードのはずれに「手作りジュラシック・パーク」とでも呼ぶべき、愛すべき路傍の観光名所《プレヒストリック・ガーデンズ》という恐竜公園があった。地元の彫刻家E.V.ネルソンが、名だたる自然博物館の標本を参考に、コンクリートとペンキで作り上げた「恐竜の森」。飛び抜けた降雨量のおかげで、通常のレベルをはるかに超えたサイズに生育した緑の海の中に、突然カラフルな恐竜たちがあらわれる。独特にアーティスティックな感覚で彩色された等身大(?)の巨大生物は、カラフルにして愛らしい。

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難しいこと言いたくない、お笑い空想恐竜ワールド

Dinosaur World

Beaver, Arkansas

アーカンソー北西部のレイク・リゾートとして親しまれている、ビーバー湖に面した絶好のロケーションに位置する「世界最大の恐竜公園」が 《ダイナソー・ワールド》。コンクリートでできた恐竜のサファリ・パークといったおもむきだ。

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創造するもの

他人の作ったものに満足できないから自分で作る、というアートの根本的な衝動/動機を思えば、アウトサイダーであることこそがアートの本質でもある。そしてアメリカは、おそらく世界でいちばんアウトサイダー・アーティストがいる国だ。




小さな町に巨大オブジェがあふれるわけ

Ken Nyberg Sculpture Park

Vining, Minnesota

でっかいモニュメントが全米一大好きなミネソタ人らしい、風変わりな彫刻庭園がヴァイニングの町にある。一見ただのガソリンスタンドだが、スタンド脇の芝生エリアに、コーヒーを地面に注いでる巨大カップとか、巨人サイズのペンチとか、とにかくジャイアントな立体作品が並んでいる。工事現場で働きながら、廃材に出た金属板を集めて「作品」を生み出しているのがケン・ナイバーグなる男性。いまや町ぐるみで「Home of Many Sculpture」なるキャッチフレーズを掲げているくらい、ヴァイニングではナイバーグの作品が唯一の(失礼!)名物だ。

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カンザスにもあった? ゴッホの『ひまわり』

Big Easel

Goodland, Kansas

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホがアルルで7枚の『ひまわり』を描いたのは1888年から1889年にかけて。だが画面が約10×7メートルという巨大な『ひまわり』がカンザス州にあることは、あまり知られていない。 カナダ生まれのアーティスト、キャメロン・クロスが《ビッグ・イーゼル》と呼ばれるシリーズの制作を始めたのは1998年。ゴッホの7枚の『ひまわり』を世界の7つの国に巨大画面で再現しようというプロジェクトだった。オリジナルからちょうど100年後、カナダに最初の『ひまわり』が完成し、翌年にはオーストラリアに2枚目が、そして2001年にカンザス州グッドランドに3枚目が出現した。高さ25メートル、重量17トンの鋼鉄製イーゼルに載った『ひまわり』は、山らしい山がひとつもないカンザスの風景の中で、超現実的な姿をさらしている。

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大草原の小さな家と大きな彫刻

Porter Sculpture Park

Montrose, South Dakota

見渡すかぎり牧草地が広がるサウスダコタの州間高速90号線脇に、突然あらわれる巨大な獣の頭部。高さ20メートルあまり、鉄板を溶接した作品の重量は25トンにおよぶ。《ポーター・スカルプチャー・パーク》は「美術なんて習ったことない」独学の彫刻家ウェイン・ポーターが、独力で築き上げたユニークな彫刻公園。巨大牛から金魚までモチーフはさまざまだが、どれもユーモラスなタッチが、鉄独特のヘヴィな素材感と妙にマッチして楽しげな雰囲気だ。

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現代美術館と化したシカゴ郊外のショッピングモール

Cermak Plaza

Berwyn, Illinois

シカゴ郊外のバーウィンにある、いささかくたびれた感じのショッピングモール《サーマック・プラザ》は、おそらくシカゴでい ばん有名な屋外インスタレーション・アートが観賞できる現代美術ギャラリーである。だだっ広い駐車場の真ん中にそびえるのは、巨大な錐に串刺しになった8台の自動車。『スピンドル』と名づけられた、カリフォルニアのアーティスト、ダスティン・シューラーの作品だ。

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町はずれの屋外彫刻美術館

F.A.S.T. Corporation

Sparta, Wisconsin

スパルタという力強そうな町のはずれにある、小さな工場。ここはFRP(ファイバーグラス)で巨大な人形や動物を作る技術で、全米最大のシェアを誇る会社F.A.S.T.だ。工場前の広い芝生には、出荷を待つ製品が並べられていて、ロードサイド・ミュージアムのおもむき。さらに工場裏の敷地には用済みになった型が打ち捨てられているのだが、胴体だけが半分に割られたゾウとか、頭だけの巨人とか、不思議な無常感が草原にただよって、ものがなしい。

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ゴーストタウンにあらわれた屋外彫刻群

Goldwell Open Air Museum

Rhyolite, Nevada

デスヴァレーの玄関口にあたる374号線から奥に入ったあたりに、ライオライトというゴーストタウンがある。町に入る砂利道をそろそろ進んでいくと、入口前の荒地にあるのが《ゴールドウェル・オープン・エアー・ミュージアム》。ベルギー人のアーティストたちが作品を展示した屋外彫刻ギャラリーだ。1984年、アルバート・ズコルスキーが「等身大」の『最後の晩餐』を制作し、この地に設置したのが始まり。石膏を含ませた布をモデルにかぶせ、ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』そのままのポーズを取らせて型を取り、風雨に耐えるようにグラスファイバーでコーティングして作った「立体版・最後の晩餐」に続いて、もう3人のベルギー人アーティストたちによる作品が全部で6体設置され、ミュージアムは現在の陣容を整えることになった。

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道行くクルマに愛想を振りまく、コンクリートの彫像たち

Concrete Garden

Canadian, Texas

人口2,000人ほどの小さな町、マクリーンのはずれにジーン・コクレルと彼の家族が住む家がある。そして庭には......イエス・キリストや バッファローや宇宙人や、ダラス・カウボーイズのチアガールが立っている。「毎日ハンティングやフィッシングに出かけるわけにもいかないんで」、なんとなくコンクリートで作りはじめたのが、いまでは20体以上。さらにハイウェイ沿いの丘の上には、巨大な恐竜まで設置されている。

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ハル夫人のインスタレーション・ハウス

Mrs. Hull's House

Kosciusko, Mississippi

コシュースコという静かな郊外の一角に《ミセス・ハルの家》がある。田舎住宅地のなかで異様な原色の輝きを放つ家は、彼女が10数年にわたって育て上げた、壮大なインスタレーション・アートだ。スニーカー、プラスチックの三輪車、電話、コンピュータ、その他ありとあらゆる日常用品がカラフルな色を身にまとい、庭じゅうに山積みされ、棒にさされ大輪の花のように咲き誇っている。室内に足を踏み入れてみると、そこはさらにひときわ濃密な原色の作品世界。3部屋に台所、浴室というけっして広くない空間が、壁から床から天井まで一片の隙間もないほどに大小様々の作品で覆いつくされ、壮観というほかない状態だ。

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路端に放置されたアート・カーの傑作群

Art Car Park

Goldfield, Nevada

20世紀の初めには人口3万人、いまは400人あまりというゴールドフィールドの町を抜けたすぐ先、廃屋と廃車がごちゃごちゃかたまって放置されている丘の上に、突然あらわれるのが数台のアート・カー。人形やらオモチャやら、ありとあらゆるジャンクで覆いつくされた、おそろしくカラフルで楽しい立体作品だ。このクレイジーな作品をひとりで作りあげたのが、リノに住むロバート・ヴァン・コーレン、通称 “ロケット・ボブ” という男。プロのアーティストではなく、ひたすら自分の余暇の時間を使ってアート・カーを作ってきた。

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世界一大きなビーグルと遊ぼう

Dog Bark Park

Cottonwood, Idaho

アイダホ北東部、海抜1,000メートルの高原にある、人口1,000人の小さな町。アイダホの北と南を結ぶ唯一のハイウェイ、95号線に面して突然現れる巨大なビーグル犬。思わずブレーキを踏むと、そこが《ドッグ・バーク・パーク》だ。素朴なタッチの木彫で、いろんな種類の犬を彫っていた夫婦の作品が、全米最大の通販番組で取り上げられ、大ブレイク。そこで得たお金で、この土地を購入して開いたという楽しい彫刻公園だ

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円盤マニアの聖地はUFOだらけだった

UFO Museum & Research Center

Roswell, New Mexico

UFO信者の聖地ロズウェル。古い映画館を改造した《UFOミュージアム》は、なんと市立の施設である。世界中から集められたUFO 写真や目撃談、ビデオ映像などなど、ありとあらゆるUFOデータが広い館内にてんこ盛り。そして出口近くには「宇宙人解剖シーン」。お客さんはみんな大喜びで記念写真。まじめなんだけど、どこか楽しげなミュージアムだ。

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巨大タイムマシンと超科学博士の夢

The Forevertron

Prairie du Sac, Wisconsin

ハイウェイ12号線を走っていると道端に突然、鉄製の立体作品がいくつも芝生の上に並んでいるのが見える。これがドクター・ エヴァーモアの鉄製彫刻庭園への入口だ。 ドクターことトム・エヴァリーは地元で解体業を営んできたのだが、ある日「壊したあとに、なにも残らないのがいやになって」、壊すのではなく作るほうへと方針を変えた。以来彼はドクター・エヴァーモアと名乗り、《フォアエヴァートロン》と名づけた、この巨大な立体を作ることに没頭してきた。さまざまな工業製品をサルベージして組み立てられたフォアエヴァートロンは、単なる美術作品ではない。それは「それぞれの部品に秘められたエネルギーを集中・変換することによって時空を超える」ことを企図された、一種のタイムマシンと呼ぶべき装置なのだ。

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観光するもの

とてつもなく広い国土に、とてつもなく浅い歴史しか持てなかったこの国で、観光地は人工的に作りだされた行楽空間として出現した。「ここに来たら、こう楽しめ」と、あらかじめデザインされた場所で、その筋書きに素直にノレること。アメリカ的な行楽とは、そういうこころのありようでもある。




大統領を見飽きたらフリントストーンで遊ぼう

Bedrock City

Custer, South Dakota

マウント・ラシュモアをいただくカスターの町にあるフリントストーン・ワールド、《ベッドロック・シティ》。30エーカーという広い敷地に、アニメや映画でおなじみの登場人物が、けばけばしい色に塗りたくられたセットの中でお客さんを待っている。設定が石器時代だけに、コンクリートのセットが妙にしっくりきてるのが、ちょっとおかしい。

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インディアン風の部屋で フィフティーズな一夜を

Wigwam Motel

Holbrook, Arizona

アリゾナ州ホルブルック。かつてのルート66沿いに、なんとも可愛らしいたたずまいをみせるのが《ウィグワム・モーテル》だ。ウィグワムとは、ネイティブ・アメリカンの部族が伝統的に使ってきたドーム型の住居のこと。ウィグワム・モーテルは、そのウィグワムをかたどった15のコテージが、広々とした敷地にきれいに並んでいる。部屋の前には往年のクラシック・カーも置かれ、いい雰囲気。宿泊料も30〜50ドルほどと、お手頃価格だ。

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君がケヴィン・コスナーになれる場所

Field of Dreams Movie Site

Dyersville, Iowa

アイオワ州東端の小さな町ダイアーズヴィル郊外の、ほんとうに見渡すかぎりのトウモロコシ畑の中に作られた『フィールド・オブ・ドリームス』のロケーション・セット。映画に出てきたとおりのトウモロコシ畑のあいだを走っていくと突然、野球のダイヤモンドが出現。あまりにも映画そのままなので、ちょっと感動してしまいます。

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高速脇の恐竜が目印、150体余のにぎやか動物園

The Swetsvill1 Zoo

Fort Collins, Colorado

フォート・コリンズに入る手前の高速道路脇にある《スウェッツヴィル・ズー》。恐竜あり、巨大昆虫あり、エイリアンもいれば宇宙船もあるといったぐあい。地元の農夫が余暇を利用してつくりあげた、にぎやかこのうえない鉄の動物園というか、 野外彫刻公園といった風情である。

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死者の館でミニゴルフに興じる快感

Ahlgrim Funeral Services

Palatine, Illinois

シカゴ郊外のパラティンにあるミニチュア・ゴルフ、なにしろ場所がすごい。フューネラル・パーラー、つまり葬儀所の地下にあるのだ。広い地下室を、わざと明かりを暗くしてスポットライトで雰囲気を高めた中に、お化け屋敷や首吊りの縄や棺を取り入れたコースがレイアウトされている。おまけにBGMがホラー映画の絶叫場面ダイジェスト!ミニチュア・ゴルフの周囲には年代物のテレビゲーム機やピンボール、ボウリングなどもあって、なんだか秘密の遊び場みたいだ。

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テーマパークみたいなおもしろモーテル

Wildwood Inn

Florence, Kentucky

ケンタッキー州北部の町フローレンス。名所もない田舎町にユニークなモーテルがある。その名を《ワイルドウッド・イン》。いろんな テーマに沿って内装を施された部屋がウリの、アメリカには珍しいタイプの宿泊施設だ。どんなお客さんが泊まりに来るのかと聞いてみたら、「結婚記念日とかのお祝いに、奥さんが旦那さんを目隠しして連れてきて、驚かせる」なんてケースが珍しくないそう。日本のラブホテルとはずいぶんちがいます。

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毎日マルディグラ気分になれたら

Blaine Kern's Mardi Gras World

New Orleans, Louisiana

ニューオリンズといえばマルディグラ。そのマルディグラ用の山車をほとんど独占的に制作しているのが、カーン一家の工房。ミシシッピ河を挟んでフレンチ・クォーターの対岸に位置する工房兼倉庫は、一般に開放され案内ツアーもあるので、マルディグラに来れなかったひとたちも、お祭り気分を味わうことができる。

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フロリダの空の下、中国5000年の歴史が花ひらく

Splendid China

Kissimmee, Florida

ディズニー・ワールドから3マイルほど西に行った、ハイウェイ192号線そばにある《スプレンディッド・チャイナ》。こんなところにふさわしいのかは疑問だが、やたら広大な敷地に、このうえなく正確な歴史的建造物の縮小モデルが点在している。その数およそ60。なかにはチカラの入った兵馬俑の再現まであったりして、かなりパワフルではある。

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F・L・ライトを踏みつけるポップの大聖堂

House on the Rock

Spring Green, Wisconsin

スプリンググリーンはフランク・ロイド・ライトの、有名なアトリエ・タリエセンがあることで知られている。建築デザインも手がけていた地元の不動産業者アレックス・ジョーダンは、ある日ライトに自分のデザインを見せたが、「あんたには才能がない」と図面をつき返されてしまう。復讐を誓った彼はタリエセンを見下ろす小高い丘を手に入れ、そこに《ハウス・オン・ザ・ロック》と名づけた奇妙な建築を建てようと決心する。遺志を継いだ息子アレックス・ ジュニアが本格的な建設に着手し、1961年に一般公開されたそれは、ライトの建築に対する壮大なパロディであった。しかもハウスはアレックス・ジュニアの手で思いがけないスケールへと増殖していく。さらっとみるだけでも半日かかる、想像を絶するスケールのコレクションを集めたビザールな建築群は、まさしくアメリカ大衆文化が生んだ、20世紀のポップな大英博物館であり、サグラダ・ファミリアである。

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イエス・キリストの生涯をロウ人形で迫真体験

Museum of Religious Arts

Logan, Iowa

ローガンの町はずれ、トウモロコシ畑の中に真新しい倉庫風の建物がある。《ミュージアム・オヴ・レリジャス・アーツ》、キリスト教にまつわる収集品を展示する私設の宗教美術館だ。ハイライトは「キング・オヴ・キングス」と呼ばれる、ロウ人形のジオラマによるイエス・キリストの生涯記。ドラマチックな照明と、ゴルゴダの丘に吹きすさぶ(たぶん)風のすさまじいBGMとあいまって、予想外の迫力を演出している。

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アメリカ最古のロウ人形館は、サービス精神満点

Potter's Wax Museum

St.Augustine, Florida

古くからの人気観光地であるセント・オーガスティン。1949年に開館した、自称「アメリカでいちばん古いロウ人形館」が、《ポターズ・ワックス・ミュージアム》だ。見るからに小振りで入館をためらうが、入ってみれば意外に充実の展示。ヘンリー8世と6人の妻みたいな人気歴史人物からアメリカの偉人まで、ミックスぐあいがおかしい。なかでも情けない「恐怖の部屋」は必見です。

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アメリカ唯一、黒人専門のロウ人形館

The Great Blacks in Wax Museum

Baltimore, Maryland

ボルティモア市街北部に全米唯一のアフリカ系アメリカ人の歴史と偉人だけを扱ったロウ人形館がある。奴隷船のおぞましいジオラマから人種差別、公民権運動など、かなりヘヴィな内容だ。地下展示室は南部で頻繁に発生したリンチの実態を紹介する、不気味なチェンバー・オヴ・ホラー。木の枝に吊され、腹を切り裂かれて血まみれになった様子が再現されていて、言葉を失う。奥の一角には「現代の希望なき子どもたち」と解説がついた、ヒップホップ・ファッションに身を固めたギャングスタのグループまでいるので、お見逃しなきよう。

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死に向かうもの

ひとはどうして死の匂いに、こうも惹かれるのだろう。医学博物館、軍事博物館、監獄......その名称がさまざまであっても、すべての場所に冷たくよどむのはDEATHという5文字に向かう、抗いがたい誘惑にほかならない。




身も心もヒンヤリの精神病院博物館

Glore Psychiatric Museum

St.Joseph, Missouri

カンザスシティから1時間足らずのセントジョセフ。セントジョセフ病院の一角にある博物館は、ミズーリ州精神衛生局で41年間勤め上げたジョージ・グロアが独力で集めた精神病関連コレクションである。魔女狩りをはじめとする、拷問となんらかわらない近代までの精神病患者に対する扱いや、近代から現代にいたる治療法の変化など、実物を使った展示は息をのむ迫力。地下のフロアには患者が制作した作品も並んでいるが、その脇の部屋はつい最近まで使用されてきた死体安置所だったりして、ヒヤリとする空気が館内を支配している。

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総数2万点、超絶の医学標本コレクション

Mutter Museum

Philadelphia, Pennsylvania

フィラデルフィアには世界的に有名なミュージアムが揃っているが、ユニークさではフィラデルフィア最高の存在が《ムター・ミュージアム》。外科医師たちの資料室としてムター・ミュージアムは1863年に産声を上げた。現在ではホルマリン漬け標本約900点、診察、手術道具類1万点以上、石膏、ロウ、紙粘土標本類400点、総数2万点に及ぶ一大コレクションに成長している。アメリカでこれだけの規模の解剖標本と奇形標本を揃えて、しかも一般公開しているのはこのムター・ミュージアムと、ワシントンDCの陸軍病院博物館の2ヶ所だけである。

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基地の奥に隠された、おどろきのグロテスク・コレクション

National Museum of Health and Medicine

Washington DC

ワシントン市街北西部に広大な敷地を占めるウォルター・ミード陸軍医学研究所内の《ナショナル・ミュージアム・オブ・ヘルス・アンド・メディスン》は、 アメリカ軍病理学研究所に属する展示施設。アメリカ軍創設以来の病理に関わるさまざまなコレクションが集められている。軍隊だけあって、オブラートにくるむなどという軟弱な発想とは無縁。グロテスクきわまる展示物が整然と並ぶ館内は、民間の医学博物館とはひと味ちがうヘヴィなオーラに満ちている。

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ハリウッドが隠し持つ「死の劇場」

Museum of Death

Hollywood, California

もともとサンディエゴに設立された《ミュージアム・オヴ・デス》。近隣住民の反対によってハリウッドに移転、へヴィ&シリアスな死にまつわるコレクションを展示している。ギロチンから電気椅子にいたる処刑道具、拷問道具、解剖医の手術用具、さらにはチャールズ・マンソンをはじめとする連続殺人犯たちの資料、凄惨な殺人事件や航空機、自動車事故の現場写真など、盛りだくさんというか......。

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世にも珍しい看護婦ミュージアム

Sioux Empire Medical Museum

Sioux Falls, South Dakota

スー・ヴァレー・ホスピタルの一角に設けられている《スー・エンパイア・メディカル・ミュージアム》。看護学校同窓会によって運営されているだけあって、医療現場における看護婦さんの活躍に重点を置いた展示になっている。昔からいままでのユニフォームの変遷とか、興味深い展示品がてんこもり状態。医学史マニアにも、ほかのマニアにも意外な穴場だ。

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マイアミに来たら犯罪を勉強しよう

American Police Hall of Fame and Museum

Miami, Florida

全米屈指のマイアミ警察博物館は、元FBI本部の建物を使った立派なもの。ひとりの警察官の情熱から1960年代に生まれたコレクションだが、いまや1万1,000点以上の展示物を誇る観光名所に発展した。ミュージアム・ショップには隠し財布、手錠、ヘロイン中毒者用の注射器をかたどったボールペ ンといったブラック・ユーモア・グッズまで揃っている。

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核の炎と核のゴミ

EBR-1

Butte, Idaho

果てしなく広がる荒野のただなかに突然現れる INEEL(アイダホ・ナショナル・エンジニアリング・アンド・エンヴァイロメンタル・ラボラトリー)、アメリカ政府直轄の原子力研究施設だ。これまで52の原子炉が作られ、13基がいまも稼働中である。そしてまたここは、全米の原子力発電所から集められた使用済み核燃料=「核のゴミ」の保管所でもあるのだ。

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ライブ感に背筋が凍る旧刑務所

Old Idaho Penitentiary

Boise, Idaho

州都ボイジーにある、その名のとおり旧刑務所。1870年に建てられ、1973年まで約1世紀のあいだに1万3,000人以上の犯罪者を収容してきた。縛り首による死刑執行室や、そのすぐ脇の死刑囚用独房を含め、ほとんど30年前に閉じられたときのまま、ホコリをかぶっているだけ。無頓着さがかえって恐怖感を増す。

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わかりやすいもの

アメリカ文化の本質は大衆文化=ポピュラー・カルチャーにある。エリートではなく、ふつうのひとびとであること。難解ではなく、わかりやすいこと。高尚を目指すのではなく、俗でありつづけようとすること。それはときに、権威に対するもっとも強力な反抗になりうる。




クマゴローの墓場

Yogi Bear Graveyard

Halifax, North Carolina

ノースキャロライナ北部の古びたトラック・ストップ。裏手の草地に、かつて駐車場を飾っていたであろうキャラクターが、無造作に放り出されていた。日本でも『クマゴロー』という名前でテレビ放映されていた懐かしいキャラクターだ。長年の風雨ですっかり塗装は剥げ落ち、口にはゴミが詰め込まれたりして、哀愁を周囲に漂わせていた。

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白頭巾の男たちが君をにらむ

KKK Museum & Redneck Shop

Laurens, South Carolina

大西洋に面したチャールストンからおよそ300キロ、ローレンスという小さな町に堂々とドアを開くのが、全米にその存在を知られた《KKKミュージアム》だ。映画館だった建物を使った広い空間の、入口側が《レッドネック・ショップ》という KKKと南軍関係、私設軍事集団(ミリシア)の資料やグッズを並べた店。その奥に展示空間がある。内部はさまざまな資料、記念品が陳列され、古いものは1920年代のマントがあるそう。静かな中に、かすかな狂気をただよわせる不気味な観光名所である。

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グラフィティならぬガムの壁

Bubble Gum Alley

San Luis Obispo, California

風光明媚なサンルイス・オビスポのダウンタウン、ヒグエラ・ストリートにある《バブルガム・アレイ》。その名のとおり、路地の両壁にびっちりガムがくっついた「ガムの壁」だ。壁の高さ5メートル近く、長さが20メートルあまりのレンガ壁が、何層にも分厚くガムで塗り込められた光景は、ほとんど現代美術の抽象的な壁画を見るようだ。

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世界唯一のストリップ・ミュージアム

Exotic World

Helendale, California

ダウンタウンLAから約3時間、砂漠の中にぽつんとたたずむ一軒家の《エキゾティック・ワールド》。その昔、ストリップがまだバーレスクという優雅な名前で呼ばれていたころ一世を風靡したジェニー・リー、またの名を「バズーム・ガール」という名ダンサーが、自宅の家畜小屋を改造してオープンした、おそらく世界唯一のバーレスク&ストリップ博物館である。

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部屋丸ごとジャンク、じゃなくて現代美術

24-Hour Church of Elvis

Portland, Oregon

オレゴン州ポートランド。ダウンタウンのタイ料理屋2階にある《24時間エルヴィス教会》は、いっぷう変わった私設ギャラリー。地元のアーティスト、ステファニー・ピアースが14年前、大きな箱にテレビやいろんな仕掛けを施し、コインを入れるとエルヴィスの歌と映像が流れる「24時間営業のアート・インスタレーション」自販機を作ったのがきっかけだった。この建物に移ってからは、部屋が丸ごと作品状態。みずから訪問客相手にあれこれ説明してまわる室内ツアーを24時間、常時開催中だ。

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流線型のキャンピングカーで50年代気分を満喫

Shady Dell RV Park

Bisbee, Arizona

荒くれ男と酒場と売春宿で有名だったアリゾ ナ州ビスビー。かつての幹線道路ハイウェイ80沿いに1927年から営業していたRVパークを買い取って、1950年代のキャン ピングカーを並べて泊まれるようにしたのが《シェイディデル・RVパーク》。エアストリームと呼ばれる流線型の美しい車体に、内部まで50年代の家具で統一し、ラジオやステレオからも当時の音楽が流れる凝りよう。1泊35〜75ドルという安さも魅力だ。

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たわわに実るスニーカー、これが名物シューツリーだ

Shoe Trees

Beaver, Arkansas

オザークと呼ばれるアーカンソー州北西部の山林地帯に突然あらわれる不思議な大木。これがアメリカのみに生息する非常に珍しい樹木《シューツリー》だ。大木の枝に、靴ひもを結んだ数百足のスニーカーや革靴が、見事な花?を咲かせている。言い伝えによれば昔々、ある男が妻と喧嘩したあげく家から叩き出され、悔しまぎれに自分の履いていた靴を脱いで、木の上に放り投げたのが始まりという。いつのまにか靴は増えて、ごらんのとおり枝がしなるほどになった。

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旅行者の怒りと涙が、バーゲンセールで叩き売り

Unclaimed Baggage Center

Scottsboro, Alabama

持主不明のまま空港の片隅に取り残される、哀れなスーツケースやもろもろの携行品が最後にたどり着くのがここ、アラバマ州北東部の小さな町スコッツボロにある《アンクレイムド・バゲッジ・センター》だ。センターというより、ものすごく大きな古着屋か屋内フリー・マーケットというおもむき。シャツとかセーター とか、本とか食器とか、アイテムごとに仕分けされて、定価の半分以下の破格値で売られている。毎日数百点、年間100万点以上の商品が売られていくというから、すさまじいというか。

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巨大バスケットに詰め込んだアメリカン・ドリーム

Longaberger Headquarters

Newark, Ohio

日本でも翻訳が出た『奇跡の企業 ロンガバーガー物語』は、吃音と学習障害と癲癇に悩まされ、どうしようもない劣等生だった少年が、持ち前の情熱と誠意でハンディキャップを克服、手編みバスケットのメーカーをオハイオ州の片田舎でスタートさせ、30年足らずで年商10億ドルの巨大企業に成長させた、アメリカン・ドリームを地で行く成功物語である。ニューアークには建物丸ごとが巨大なバスケットをかたどった、とんでもないデザインの本社社屋がハイウェイ沿いにそびえている。ロンガバーガー・バスケットの特徴である、編みのウネウネまでが忠実に再現されたオフィス・ビル......シュールです、すごく。

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「ミシガンのドイツ」で一年中クリスマス気分

Bronner's CHRISTmas Wonderland

Frankenmuth, Michigan

フランケンムースはドイツ移民たちが作った町。いまでは町丸ごとがババリア風に作り込まれて、全米から観光客を呼び寄せている。なかでも町の入口近くにある《ブロナーズ・クリスマス・ワンダーランド》は、最大の観光名所。なにしろここは「世界最大のクリスマス・ショップ」なのだ。この店目指して全米から来訪するお客さんが、なんと年に5万人もいるという。

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