パラカロ流実践多言語習得術 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-02-20

aspectdigitalmedia+parakaro2011-02-2

第十回:英単語を整理してハードルを越えた中村さん

今年52歳で、工場長として赴任する中村さんを初めて教えたのは、もうずいぶん前のことです。当時はまだ若く、やる気にあふれていました。世の中に広まり始めたばかりのパソコンを研修室に持ち込んで、表計算ソフト、エクセルを使っている姿を思い出します。

見ると、Excelで英単語の一覧表を作っていました。「頑張ってるな...うん?」私はその瞬間、Excelで作った表の中の単語がほとんど名詞だということに気がつきました。中村さんは、ひたすら英単語を覚えようとしていました。そして、どうやら中村さんの頭には、名詞しかないということが解ったのです。

そこで、まず、

教訓1 英語を話すために必要な文法は、厳選されたごくごく一部の文法を理解すれば十分。

教訓2 頭の中に「名詞−形容詞」「動詞−副詞」を入れるための四つの整理箱を作る。

という二つのことを教えました。

「あの時、英単語は名詞とか動詞とか形容詞とか、品詞というものに分類されるということは知ってはいたんですよ。でもね、名詞を100個覚えるぐらいだったら、動詞50、名詞50覚えた方がナンボかましとか、名詞と形容詞が仲がいいとか、実際、考えてもみなかったな。自分が名詞ばかり覚えようとしていたなんてね。自分じゃ気が付かないよね。夢中になってやっていたエクセルを使ったコンピューター学習をすぐやめましたよ。そのあとは、先生の言いなりでしたね。そっちの方が速いもん。合宿も面白かったなあ、きつかったけど……でも正直に言うと、きつかったのは二日酔いだったからで(苦笑)」

とは、当時を振り返っての、中村さんの言葉です。

社会人になってからの英語学習では、どうしても恥ずかしさが先に出てしまいます。その証拠に、合宿中の夜にお酒を飲むと、そのあと確実に学習成果=英会話のレベルが上がります。英語が話せないと一人で悶々としていた悩みを解決する「場」が「飲みニケーション」にあります。

お酒が入ることで、心が楽になるのでしょう。羞恥心や心に引っ掛かっていたことを吐き出すには「飲みニケーション」は打ってつけの場所です。十人十色、皆さんいろいろなことで悩んでいます。

  • こんなんじゃ、上司の面目立たないなぁ(溜息)
  • 若いのにって言われてもなぁ、ちっとも成果が出ないなぁ、やる気無くすよぉ。
  • こんな初歩的な質問したら、取るに足らないことと馬鹿にされるんじゃないか?
  • また上手く答えられなかったらどうしよう。恥を掻きたくないなぁ。

そんな悩みがいかに多いことか。企業語学研修の現場でそんな事例を数限りなく見てきました。

しかし心理的な障壁を取り払うには、同じ目的を共有する周囲の人と腹を割って話すことによって、心が楽になること、これはとても大切なことです。言い尽くされていることかもしれませんが、羞恥心や、変なプライドが学習成果の向上、進歩の邪魔をしていることを証明しています。

ここで中村氏が学んだこと(=考え方)を整理してみましょう。

  1. 受験時代に学んだ知識を今一度正確に身につけようと頑張ることを止めた。
  2. 英語を自然に話すスピードに対応するための知識を学ぶことに切り替えた。
  3. <品詞>を意識して、常に頭の中を整理する習慣を身につける努力を重ねた。
  4. 短い基本的な文をバカにせず、正しい英文を作ることに集中した。

この話は、英語が嫌いで背を向けている人とは明らかに違います。学生時代にある程度か、それ以上英語の勉強をやっていての話です。目安としては実用英語検定2級、準2級、3級レベルの方に多く見受けられます。その時に学んだ経験、知識にがんじがらめにされて、かえって身動きできなくなっているタイプの人のケースなのです。

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