四季の絵本手帖『あかちゃんがうまれたよ』

あかちゃんがうまれたよ

あかちゃんがうまれたよ

 
 冬に生まれた赤ちゃんの1年を描く、かわいらしい仕掛け絵本です。表紙には、さまざまな毛布にくるまれた個性豊かな40人の赤ちゃんたちが泣いたり笑ったりしています。タイトルの色は虹色とカラフルで、表紙全体が多様文化をたたえる気持ちを伝えます。
 赤ちゃんは、赤ちゃんが大好きです。自分と同じ存在に出会うと、たとえ言葉は話せなくても素直に驚いたり笑ったりしてコミュニケーションを取ろうとするでしょう。絵本を開けば、雪の降る日に生まれた赤ちゃんたちが季節の移り変わりの中でスクスク成長していく姿が描かれています。芽が出て花が咲きほこる春、水遊びをする夏、食べものがおいしい秋、そして、1歳になる冬――どの見開きにも、豊かな四季の情景とお父さんやお母さんたちに見守られる無邪気な赤ちゃんたちが見られ、子どもは自分も「同じことをしている」、あるいは「していた」共有の嬉しさで心がいっぱいになるでしょう。
 仕掛け付きのイラストは、絵本の中でおもちゃに出会ったかのように子どもの心を躍らせます。意外な発見が隠されためくりは、作者の遊び心の表れでしょう。透明感のある水彩とリズムあふれる言葉がやさしく赤ちゃんたちを包み込み、小さな弟や妹のいる子どもたちは、「おめでとう あかちゃん」の一言に合わせ赤ちゃんのお誕生日を心からお祝いするに違いありません。(asukab)