マーサのいぬまに

 お気に入りのぬいぐるみ(マジェンタ・ピンクがキュートな犬のアフィー)を家に忘れてきた娘。この小さなマスコット人形がいっしょだったら、飛行機の中、どれだけ退屈せずに済んだだろう。ちゃんとかばんに入れておいたのに、出掛けに出して遊び、それきり忘れてしまったらしい。アフィーのことを考えると気持ちが沈む。でも、実家で妹手製の編みぐるみを贈られ、気持ちも新たに遊び出した。祖母の使っていた白いモヘアの残り毛糸で編んだという猫のベンジャミンは、生い立ちからして特別なのだった。ニカッとしたスマイルが愛敬いっぱいで、たまらなくかわいい。
 それで猫の絵本『マーサのいぬまに』を読む。マーサが学校に行っている間、ぼくが何をしているかと言うと……。オレンジ色の猫は、自分の1日を紹介し始める。ねこ新聞を読んで猫界のことに遅れを取らないようにし、犬につかまらないようしっかり体を鍛え、イーゼルを立てて油絵を描き、昼食には上等のサーモンと冷たいミルクを準備して――。悠々自適な時間の過ごし方は、気ままな猫の特権という感じ。そして、マーサが戻ればたっぷり温もりも味わえて。最高じゃないか〜。彼の趣味・スタイルは、大人志向である。イラストも、そうかな。
 猫好きさんが喜ぶ絵本。(asukab)

マーサのいぬまに

マーサのいぬまに