Moses: When Harriet Tubman Led Her People to Freedom 黒人を自由に導いたハリエット・タブマンの物語

 黒人解放を支えた地下組織アンダーグラウンド・レイルロードが、実際どうやって逃亡を手助けしたのか。息子といっしょに読んだ『Moses (Caldecott Honor Book)』が、1851年から1860年の間、十九回にわたる奴隷逃亡(総数三百人)を成功に導いたハリエット・タブマン(1820年頃−1913年)の働きを通して教えてくれた。

 身の危険を知りつつ何度も故郷メリーランドに戻り、黒人たちを解放に導いた原動力は信仰にあった。怖くなかったのか、失敗は考えなかったのか。状況が状況だけに、手に汗握る展開だ。奴隷主たちは当時、多額の賞金をかけ彼女を指名手配をしたほどだった。それでも安全なルート、目印、知人宅、奴隷政策反対者の家々を転々とし、途中命を落としたものは一人もなかったという。

 神とハリエットの対話を中心に、ドラマチックに歴史が描かれる。読み応えのある絵本だった。タイトルは、出エジプトからタブマンをモーゼにたとえた。(asukab)
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  • 彼女の強さがわたしにもあったらいいのに……

Moses (Caldecott Honor Book)

Moses (Caldecott Honor Book)