しずかでにぎやかなほん "The Quiet Noisy Book" 「はてなダイアラー絵本百選」
小犬のマフィンが目を覚まし、耳にした静かな音って何だろう。アリが這う音? 蜂がびっくりしてる音? ゾウが階段をつま先立ちで下りてくる音? いやいや、どれも違う。じゃあ、この音は何? ちょっぴり謎めいた問いかけは、子どもの好奇心を続けざまに揺り動かす。
『しずかで にぎやかな ほん』(原書『The Quiet Noisy Book』)には視聴覚を同時に刺激する、静かでやわらかくひっそりとした音が詰まっている。音はきっと、胎児が最初に「あ?」と確かめた感覚だ。原始の鼓動に包まれていた頃、赤ちゃんはおなかの中でこんな風に「音」の謎に揺らめいていたんじゃないのかな。わたしはわたしでページをめくりながら、視覚イメージに思いを馳せて、さらに耳をそばだてる。
人間の五感にあらためて驚き、魅せられたのは、自分が母親になってから。新発見がいっぱいの子どもたちを見つめることにより、母親である自分にも今までになかった感じ方が伝わってきた。この絵本の詩的な世界も、今のこの感性だからこそ描けたのかもしれない。そう考えると、母親の特権があらためてありがたく感じられた一冊だった。
やさしい音の印象とは対照的に、イラストははっきりとした原色使い。鮮やかな黄色、緑、ターコイズ・ブルー、朱色、黒――できりりと明るく主張する。ちょっと抽象画のようでもあるから、そこにイメージの歪みが生まれ、かえって鑑賞者の抱くイメージが明確に浮かび上がるのかもしれない。豊かな言葉のイメージに深く遊べ、イラストが強くても意外に心のリセットにぴったりとくる。(asukab)
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- 原書で読んでみるのも一興
- 作者: マーガレット・ワイズブラウン,レナードワイスガード,Margaret Wise Brown,Leonard Weisgard,谷川俊太郎
- 出版社/メーカー: 童話館出版
- 発売日: 1996/09/01
- メディア: 単行本
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……ということでしたが、ご連絡がないようなので、id:RONSAmさんにお願いをしてみました。若き書店員さんということで、きっと児童書・絵本の知識も豊富でいらっしゃると思われます。もしご都合が悪いようでしたら、id:makisukeさん、あるいはid:ryan2さんにお願いしてみようと思います。育児の間にお時間が見つけられるようでしたら、ぜひ!と願っています。……2007年8月9日記
……id:RONSAmさんが快く引き受けてくださいました! ありがとうございます。記念すべき50番目のレビューですね。これで絵本百選は、後半へ突入です。……2007年8月10日記