ジョン平とぼくと

ジョン平とぼくと (GA文庫)

ジョン平とぼくと (GA文庫)

読了。

ぼくは、半分照れ隠しのように発せられた質問に、そんな真剣な答えが返ってきたことに少し驚いて、それから、さらに照れ隠しの質問を重ねた。そうかもしれません。でも先生、それと魔法と、どういう関係があるのでしょう。
先生はちょっと悲しそうに眉を寄せて、僕の肩に、その痩せた繊細な手を置いて、そして繰り返した。
――それこそきみの美質なんだよ。

日常的に魔法が存在し、各人が「使い魔」 と共に生活する世界。そんな中で、北見重の魔法の成績は偏差値で言えば30くらい、だいたい底辺数%の人間だ。目下の悩みの種は数週間後に控える学期末試験だが、新任の教師がやってきたことでまた1つ種は増えることになる。


久々に填まった。ぴったり。
雰囲気はちょっと違うけど、声で魅せてよベイビーと似た感覚。「主人公の思考がぴったりツボにハマった」 「内面思考をいちいち言葉に変換して一つずつ処理していく感じ」 とかは共通して言えると思う。なんというか、『地の文がストライク』 な感じ。こんな本はもう、どうあっても面白い。
あと魔法の設定も、ふわふわとしてて良い感じ。「ランドセル。かえで。ろうそく。ぶどう酒。くじら」 の呪文で「つむじ風」 の魔法になるとか、「銃を使った方が手っ取り早い」 に表される攻撃魔法の優位性の低さ、「微炎」 とか「推進」 とかの方が便利で良い、みたいな価値観は中々ゆるくて好きだな。
印象に残ってるのは、186頁「ここでこんな表情ができる鈴音は、どこまで素晴らしい女の子なのだろう」 とか、237頁「おそらくは自己憐憫に囚われつつある君を、そこから蹴り出すために来たのだ」 とか。特に後者。ダガーかっこ良すぎる。あと”ホームアローン”が大好きだった私としては縦穴のあれには超興奮w


古本だったけど、さっさと2巻買ってこよう。いや予想外に面白かった。


追記:http://ga.sbcr.jp/novel/jhonpei/01/index.html
web短編「ジョン平と一つの指輪」。時系列的に1巻より前で(1巻は高二冬) 、というか掲載されたのも1巻発売より前だったり。滝沢先生が意外にかっこ良いおっさんだった。