ジョン平とぼくと4 ジョン平とぼくときみと

読了。「真夜中の五分前 side-B」 とこの本を読もうと思って鞄に入れたら、こっちしか入ってませんでした。Bは明日読もう。

「じゃ、もう一回、さっきのところから」
うなずいた三人が、配置についた。まず、
「おまえって、ほんとうに可愛くないな」
と、小木津がにやけた感じで言う。鹿屋さんが見ているので、うれしくってくすぐったくて顔が笑っているのだ。
「可愛いって何よ」
と、綾ちゃんが言ったところで、ところが、急にこの場の気温が、数度下がった気がした。

いつものように化学室で実験をしていた重だが、突然入ってきた辻田に「お前が盗んだんだろう」 と言われ…… web で発表された「ジョン平と一つの指輪」 に書き下ろしを加えた短編集。


うん、まあ、面白いよね。
ついに出てしまいました4巻。もしかしたら新シリーズかも? と発売前は思ってましたが、やっぱりただの短編集でした。メインの話としては3巻で終わってるので、もう本当に、何の憂いもなく終われる形での出版です。あとがきでは「重やジョン平たちとはこれでお別れ、ということもないと思いますので」 とか言ってますが、正直あんまり信じてません*1作者のHPで外伝載せてたりしますしね……。しかも(関係ないけど) 割と好きですこの外伝。
とにかくまあ、4巻です。一番面白かったのは、3話「雨の日の三葉は」 ですね。やっぱり。196頁「だめだよ、だめ」 から始まる口上が、なんとも泣けてきます。その後の203頁「げんき……で、ね」 がまた、老犬の緩慢な動作ってだけで泣けてきたりもしますが。5話「タンスターフルの食卓」 はトルバディンがその内心の毒っぷりを存分に吐き出してて、笑ってしまいます。
んで6話「クスクスは夕陽を浴びて」 ですが……これ、どうなんでしょう? 重は完全に、”雨弓に公衆の面前で弄ばれてる” ような気がするんですが、もしかして本気ですか? 判断しづらい所です。そんな真っ当な性格じゃなかったような気がするんですが……。


まあまあ、私はもう完全にこの人の文章が好きなので、読んでるだけで端々が面白く感じるんですが、他の人はどうか分かりませんね。やっぱり。
作者HPの雑文で言えばこれとかかなり笑ったんですが、これは他の人に読ませたことがあって、それでもあまり期待していたような答えじゃなかったので、やっぱり分かりません。




余談。
「付録3」 が細かすぎて笑った。そして銀鏡反応が懐かしすぎる。高一のころに読んだら、たぶん本文中で「あ、これは銀鏡反応だな」 と分かったかもしれませんが、今じゃもう化学なんてすっ飛んでますよ。

*1:それはまあ、出してくれたら嬉しいのですが。