ガラクタ・パーツ

ガラクタ・パーツ (集英社スーパーダッシュ文庫)

ガラクタ・パーツ (集英社スーパーダッシュ文庫)

読了。

「足は遅くねえみたいだし、そっち鍛えてくか」
「あい」
「はいは一回!」
「え? 一回しか言ってない……ってか一回も言ってないよ」
「だから一回って言ってんだろ!」
「あ、はい……すいません」

レイヤは、超人的な脚力を武器に秘密結社「シャドウ」 の下っ端社員をやっている。相棒のシャクアスと共に日々の任務をこなしていたが、ある日銀行強盗に巻き込まれる。そのとき出会ったアキという少女をかくまった頃から、命を狙われ始めて……。


これは恐ろしい。
何がって文法が。少し前に文書の書き方の本を読んだのですが、この本では、破格であったり逆茂木型であったり、はたまた「時々でいいから、思い出してください。読点のような存在がいたってことを……」 と呟きたくなるような、読みにくいことこの上ない悪文のオンパレードでした*1公式サイトにちょっとだけ載ってますが、第三文が恐ろしいことになってるのが分かると思います。
しかし一番恐ろしいのは、慣れてくると普通に面白いこと。序盤の慣れない内は「こんなの通すなんてSD編集部はおかしいな……」 とか思ってました。しかし、だんだんと作者の文章テンポに馴致されていき、しまいには「ああ、もしかして編集部の人もこうやって洗脳されていったのか……」 とさえ思い始めてました。そう、まさに洗脳です。これはひどい
151頁「誰が囮だったんだろう。まさか僕じゃないよな。……僕か! 僕だな囮。」 この辺りで笑い始めたのが慣れる取っ掛りだったかと。165頁「なんか刺さった感じする!」 この辺りも。255頁「多分シャクアスは笑ってた。あの余裕の笑顔」 ついニヤリと笑ってしまったシーンですね。


クセのある文章ですが、慣れれば楽しめるとも思います。抵抗なく読むコツは、各文章ごとに末尾まで我慢して読むこと。これから読む人は頑張ってください。

*1:と言ってる私の文章を読みにくいと感じる人がいたら……すみません。まあ小説や感想は文書ではないので、一意に意味が決まるようにする必要はないのですが。