シアンとマゼンタ

読了。今月の色モノ第三弾。これもベン・トーも、新人じゃなかったんですね。

「でもね、はっきりと見えるものがあるわ」
そして紛い物の眼であるからこそ、少女はそこに映る虚構を見逃さない。
「私の見えなくなったはずの半分の世界には、はっきりとオジサンは映っている。私の妖視(あやかし)で、オジサンがどんな風に映っているのか。ねえ、知りたい?」

――”つきはらい” の技術を受け継いだ藍姫。今はもう失った、代々つたわる狐憑きの姿を視て祓う力。――幼いころに事故に遭い片眼を失った真朱。代わりに得たのは、虚構を視る力。藍姫シアン真朱マゼンタ、二人は数々の珍妙な事件を経験することになる……。


退魔アクションモノ。そこそこ面白かった。
上の引用文あたりのシーンでは、「地獄少女」 な雰囲気かとも思いました*1が、それは半分(マゼンタ) で、もう半分(シアン) は普通でした。剣道少女なので専らアクション役です。
読み進むにつれて、どんどんとサスペンス色が増していって絶体絶命の危機! みたいな、そんなところが面白かったですね。その危機の解決の仕方(248頁「その直後。玄児の鼓膜が爆裂した」 ) がなかなか良いやり方で、「おお」 と思わず唸ってしまうほどでした。こういう「逆転の一手」 みたいなのは大好きです。
ただ藍姫と真朱が、どっちがどっちか分からなくなることが何度もあって、(恐らくイラストが与える先入観でしょうが、) 修正するのに苦労しました。どう考えても剣道少女の方が「お転婆」「ボケ役」 な外見をしてるのに、実際は逆だなんて……。あと、真朱と書いて「まそほ」 が言い辛すぎて困る。「りそな」 ぐらい言いにくい。


まあそんなこんなで、シリアス一辺倒でそれなりに面白かったライトノベル、っていうのが久しぶりなので、続きも買ってみようかと思います。遅筆らしいですが……。




余談。
イラストがなかなかのクオリティ。でも、101ページのイラストがどうも”みなみけ」 の冬馬” に見えたり、かと思いきや可愛い感じのイラストが247ページから唐突に”藤田和日郎” の雰囲気に変貌したり……とか思ってたら265ページで完璧に変身してて吹いた。

*1:もっとも地獄少女自体をあまり見てませんが。