回帰祭

回帰祭 (ハヤカワ文庫JA)

回帰祭 (ハヤカワ文庫JA)

読了。

「そうしたら俺が直しますよ。こういうのだけは得意ですよ」
笑いながらウズが答えるが、その笑いがひどく乾いている。ジットは薄ら寒くて、腕を抱えて身震いした。
「やめてくれ、ウズ。言いたいことがあるならさっさと言えよ。俺に八つ当たりして遊ぶんじゃねえ」
「まだ八つ当たりしてないんですが……」

地球の環境汚染から逃れた避難船ダナルーが不時着してから300年。この星では男女が9:1の割合で誕生していた。秀才少年ライカは都市の謎を調べ回り、勝ち気な少女ヒマリは地球に憧れている。そして地球行きを憂う少年アツはヒマリに一目惚れ。そんな3人が出会った喋るウナギは、ダナルーのある秘密を示唆する――揺らぐ心が、閉鎖都市の謎に迫る傑作長篇。


面白い。面白いんですが。
なんとも、もにょもにょした感覚が残ります。久々に味わった「あと数ページあると思ってたら『ここで終わり ! ? 』 という所で切られ、残りはレーベル作品紹介」 も要因ではありますが、やっぱりラストの描写が怪しいのが一番の原因でしょうか。とても”現実とは思えないような、あやふやさ” が滲み出ていて不気味です。
というか、私的なことなんですが、”イカが捕まった” 辺りで「ようやく盛り上がってきた……!」 と思いつつ、降車駅が来たので読むのを止めたんです。それで帰りの電車で続きから読むと、何故だか全然盛り上がらなかったんですよね……。なんと間の悪い。ぶっ通しで読んでたら、テンションが続いたまま読めたはずなんですが。


この作者は「食卓にビールを」「片手間ヒロイズム」 しか読んでなかったので、真面目な文章にちょっと驚きましたが、すぐに気にならなくなりました。「魔女を忘れてる」 の文庫落ちが楽しみです。




余談。
黒髪の単純バカと金髪の皮肉屋コンビというと、英伝4のアヴィンとマイルが出てきます。