ミラクルチロル44キロ Aパート・チロルアレンジ

読了。

歌声をいっしょに浴びたふたりは、日常の汚れの下から新たに研ぎ出された輝きを放つ何者かを共有している。高く響きあい、強く惹かれあっている。
ふたりには、もう見つめあう必要さえないんだ。
すごい瞳とすごい瞳には、おんなじものが映ってるから。

「あなたのいのちを、ほんのちょっぴり分けてください」 つぼみが見かけたのは、冬の街頭で山のようなチロルチョコを持ち、『いのちの募金』 を集める田丸くん。何を思ってか、そんな彼に一生を募金してしまったつぼみは――。


面白かったです。
ずっとつぼみの一人称で、それがかなり独特なんですが……慣れてくると中々いい感じです。第二章3節までは青春モノっぽい雰囲気ですが、4節で唐突に家族モノにシフトしたり*1、かと思えば7節でファンタジーも顔を出しますが、それでも私は元気です。 まあ慣れた者勝ちというか何というか。
86頁「四十四キロ? マジか? ごまかしてないか?」 を手始めに、120頁「一生もんのトラウマな眺め」 なんかでちょっと笑ってしまってから、すんなりと物語に入り込めるようになった気がします。152頁「男に迷って一生を投げ出すつもりか!」 あたりで、だんだんとつぼみのぐるぐる感にシンクロしていったり。204頁「メリーノストラダムス、小太郎」 とかも。


ジャケ買いだったことも否めませんが(あとタイトル)、これは当たりだったかなあと。ちょっとミルクチロル買ってきます。

*1:おじいちゃんの叫びがあまりに唐突すぎて笑ってしまいました。まあ、この手の話題にはつい反応してしまうんですけど……。あのモンスター何ちゃらというのは、いつから言われ始めたんでしょうね。