悪魔のミカタ666 6 ノットB

読了。

「……だからあたしにも、いわせてね?」
「な、なんでしょう?」
少女は目じりに浮かんでいた涙をそっとぬぐうと、笑顔で、いった。
「――あたしだって、きみに負けるつもりはないから」
「ええと、それは、どういう意味で」
「……勝負、だよ」

二つに分かれた《 It 》とともに、鍵となる魂エネルギーの半分を持ち去った『ノットB』。堂島コウが信念を貫けず、失意のどん底にいる一方で、もう一人の堂島コウである『ノットB』 は何を想うのか? 『ノットB』 メインの第6巻。


超・興・奮
マジで興奮が止まりませんでした。最初はいきなり何とかの室長視点の話が始まって、次に山本美里視点になったので、すわ伏線ばら撒き短編集かと*1気落ちしかけましたが……168頁「……来てくれたんだ、、、、、、、エム、、エル、、エヌ、、」 からもう大興奮! ついに来ました伏線解消! なんというか、いわゆる『群像劇』 並の登場人物の多さに反して、キャラ同士の関係性が有機的に変化していくのって凄いと思うんですが。単なる使い捨てキャラだったはずが、いつの間にか物語に密接に関わったりしてますよ。
以下コメント。160頁「あたしだって、譲れない。だから何回だっていう。――あたしは、、、、なにも、、、しらない、、、、」 いいですね。うえお久光らしい熱さです。185頁「――おれ、が、サクラ、と、……イハナ、、、まで、、」 ここでようやく、ノットBとオリジナルの差異が既に出始めていることに気付いて、ああ面白いなあと感じ入っていたわけですが、303頁「あらゆるものをいっせいに、奪われて(中略)。ここからおれは、取りもどす」 で震えるほど熱くなり、そして319頁「……天狗面の男は、あたしにこういった――」 で墜落。ボッシュートされました。まさかここでその伏線を……!



『ノットB』 であってもコウはコウ、主人公らしい熱さを見せてくれました。というかオリジナルは――。次も期待。




私的メモ。
6巻序章を読んで、あまりの覚えてなさに5巻を軽く読み返しました。1年前ですもんねえ……。
1.5巻139頁「――葉切洋平の人格は、生きている」 これって記憶を受け継いだとか、そんなことかと思ってましたが、よく考えれば日奈と同じようになっているということで、ノットBは洋平の記憶を持っていませんよね。綾の中に日奈が同居していることを、コウ(with洋平) は6巻の屋上の場面で気付いても良さそうと思っていたんですが、人格は保持しても記憶は共有していないんですよね。
2.5巻247頁「(勇者は一度、堕ちねばならない。それが神話に語られる、英雄の条件)」 これって、まさしく6巻ノットBに当てはまると思うんですが……なんだか、完全にノットB>>>オリジナルな展開になっている気がします。これから、とは思いますが。
3.ジィが出てきたときは、伏線解消のための伏線キタ━━(゚∀゚)━━!!!!! とか思いました。というか、今までは「なんで『ノットB』 の方なんかについていってしまうんだ」 と疑問でしたが、今回のを読むと、仕方ないというか何というか。
4.無玄が当て馬をいくつ用意してようと、ターゲットは日奈固定だったようですが、そこはなぜ? というのは語られるのでしょうか。そのあたりを日奈が解いていくのかなー。
5.追記。MLNの「わがせ」 って何のことかと思ったら、「我が背」 でした。そういやされ竜1巻でドラゴンが「背の君」 とか言ってたなー。

*1:店頭でジィが表紙なのを見たときもそう思いましたが。(10巻参照→http://d.hatena.ne.jp/asin/4840224323