灰色未成年

2011-05-16

[] 半熟作家と“文学少女”な編集者

半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)

半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)

読了。

――またおいで。それで、本の話をしよう。


面白かったです。

高校生作家と、その担当になった編集者・遠子で語るエピローグ。高校生作家だけど内面は完全に中二作家なので、見ていてもぞもぞしますが、しかしそのもぞもぞ感こそが面白い*1。うん、これは”文学少女”見習いのシリーズと対比してるんですね。心葉側の「”文学少女”見習い」 と、遠子側の「半熟作家」 で、それぞれ成長した二人を描き、また未熟な二人が成長していく過程を描いたんだな、と。最後に半熟作家が出会ったのは……と考えると、なかなか綺麗に収まってて良かったですね。


それはそれとして、この半熟作家として続きがちょっと見たかったかも。ぽっと出のキャラですが非常に魅力的でした。

*1:マヨネーズ型のウンコってアホらしくて大笑いしました。それ、自腹ですか?

2011-01-13

[] “文学少女”と恋する挿話集4

“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集4 (ファミ通文庫)

読了。

「ねえ、どうかしら? そろそろ『赤と黒』 のジュリアン・ソレルみたいな情熱的な恋人ができるかしら」

「……その人、人妻たぶらかして、死刑になってませんでしたっけ」

「そういう危険さが、彼の魅力でもあるのよ」



いいですね。

個人的に、遠子先輩>ななせ>美羽です。そのせいかどうか、読んでいる途中は「もういいよ」 と面倒くさい気持ちになるんですが、どれも終わり方がすっきりしていて、読後感が良かったです。紹介される古典の素晴らしさのおかげでしょうか……そのあたりの上手さは相変わらずですね。特に「百年後」 がなかなか。詩で良いと思ったのは久しぶりです。

以下コメント。196頁「遠子先輩の指に、なにげなく指輪をはめたとき」 あっま! そしてなんというたらし。364頁「どんな鈍い男でも、きっと恋に落ちる」 あー、いいな。この台詞を言う、流人の穏やかな気持ちは凄くいい。


なんとまだ続くという。それも完全にafter。これは期待せざるをえない。

2010-10-13

[] “文学少女”見習いの、卒業。

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

読了。

「どうしちゃったの? 琴吹さんらしくないよ」

ななせ先輩が恥ずかしそうにうつむく。

「あ、あたしも日坂を見習って、ふてぶてしくて考えなしな暴走特急になる」


こちらもついに完結。面白かったです。

うん、やっぱり本編ですよね、これ。本編(ロマンシェまで) と同じテイストで、主人公を変えて、その後の話をえがく。ロマンシェはあくまで遠子の話の区切りで、”文学少女” としてはここまでで本編と思っていいでしょう。

ここはもう、”日坂の263頁「漱石の『こころ』 を言い訳に使わないでくださいっっ!」 という怒涛の説教と、それに感じていた引っ掛かりを、先生が268頁「それは綺麗事です」 と一蹴したところで、269頁「そうですね。先生のおっしゃる通りです」 と心葉がさらにカウンターを出す” ところが最高でしょう。そうか、その話をここで出すか、と。


406頁「あんな幸福な片思いなんてない!」 これにて、卒業。良かったです。本当に。

2010-06-12

[] “文学少女”と恋する挿話集3

“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫)

読了。

喉が小さく鳴った。

頭の中に、綺麗な鈴の音が、りん、と響いて。

空っぽだった心に、あたたかなものが、静かに降り積もってゆく。

流くんのほうへ向かう足が、自然と速くなる。

凍りついていた頬がとけて、泣きそうになる。


外伝3。

主人公たちではなく、脇役たちのその後を描く。ちょろっと心葉の影が見え隠れするのがいいですね。アフターストーリーってのはこれくらいの塩梅が丁度いいのだと思います。まあ、心葉のその後は文学少女見習いのほうで描かれているわけですが……そうじゃないんだよ! 本編の直後じゃなくて、いやそっちも知りたいことは知りたいけど、その数年後の姿が知りたいんだよ! ってまあ、それこそ野暮なのは分かってるんですけどね……。読者が続きを求めるのは性なのよ。

以下コメント。57頁「牛園くん、ありがとうって笑っていたわ。これで、柔道に専念できるって。……ありがとう、ありがとうって、何度も」 牛園くん……猛暑キャラ*1だと思ってたのに、意外と切ないところを突いてくるぜ。93頁「秘密よ。大好きなの」 うわあああああああこんちくしょううううううううう。376頁「あたし……流くんの赤ちゃんが……欲しい」 仔鹿ちゃんの二話はなかなか面白かったけど、この最後のための前フリになっちゃったなあ。やっとこの人にも光が射してきたようで嬉しい。


先生の前後がアレだけど、後の方でも幸せになってほしいな……。関係ないけどDTBの1期2期の黒みたいな変化だなと思いました。まる。

*1:猪突猛進で暑苦しい の意(いま作った)

2009-09-12

[] ”文学少女”と恋する挿話集 2

“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫)

読了。

最後のページを読み終えたのは、真夜中だった。

本を閉じたあと、オレは頬を濡らす熱い涙と胸を震わす感動とともに、しみじみとつぶやいたのだった。

「ハイネ、おまえは友達だ」

切だけどお節介で早とちりなななせの親友・森ちゃん。そんな彼女に恋する少年・反町の前に、“文学少女”が現れて―― ! ? 『“文学少女”と愛を叫ぶ詩人(ハイネ)』 に、心葉に恋するななせの切ない胸の裡を描く『ななせの恋日記』 ほか、“文学少女”の、恋する挿話集第2弾。


あっま!

森ちゃん+ななせの恋日記+今日のおやつ。個人的にはななせは悪くはないんですが、顔文字多用が見え始めたあたりから醒めてきたので、あまり面白くないんですが……森ちゃんの話は面白かったです。裏ではこんな普通の、でもこの世にひとつのエピソードが進行していたんですね。

以下コメント。106頁「くららは、違うんだ。なぁ、くらら森紅楽々」 なんてバカップル……。それはともかく、語呂が悪いのもどうかと思いますよ。ルパンは言わずもがな。さつきは言いやすいかな。144頁「……ここ、海じゃなくて、オレの部屋だぞ」 (#^ω^)ピキピキ 244頁「えへへ、今日はこの部屋は、夕暮れの海だよ」 あばばばばばばb (ry


今回紹介された中では、中也もいいですがタゴールも良かったですね。まあ本編ラストと重なってるってのもありますが……。さて次は外伝。どうなることやら。

2009-05-25

[] “文学少女” 見習いの、初戀。

“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)

読了。

「デートの相手って、女子高生だったんだ」

「なんです、その残念そうな顔は。ツンデレにもほどがありますよ」

「きみに見せるデレは、最初からない」

聖条学園に入学した日坂菜乃は、ひとりの上級生と出会う。文芸部部長、井上心葉。遠い人を想い時折切ない目をする彼に、強く惹かれる菜乃。そして、菜乃がある事件に巻き込まれる――。もうひとつの“文学少女” の物語。


泣いた。

うーん、これは、初期の文学少女シリーズに戻った感がありますね。終盤の溜めに溜めた爆発力の印象が強いですが、そういえば最初はこんな感じでしたねえ。単純にみればアフターストーリーですが、元々あったシリーズらしさも失われてませんでした。

188頁「ぼくは……なにも、見逃したくない……」 重みのある台詞だなあ。遠子先輩の選択は正しい方向に導きそうで、やはりこれで良かったと言えますね。286頁「どの包みにも、貝が入っている」 うわあああん! これはひどい。なんというか、シリーズとしてのクライマックスは既に終わっているので、油断して読んでました……。それにしても心葉の推理/想像力は異常な気が。


次は短編集のほう。そちらも期待ですが、こちらのほうも本来の持ち味が生かされていて、俄然楽しみになってきました。期待です。

2009-01-04

[] “文学少女”と恋する挿話集 1

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

読了。

近いうちに、この場所で、彼女をモデルに絵を描こう。

頬をぱんぱんにふくらませて、三つ編みの先を振り立てて出てゆく仔猫を、あたしは晴れ晴れとした気持ちで見送った。

きっと、そのドアは、いつか夏へ通じる。

短編集。


面白かったです。

「”文学少女”の今日のおやつ」 などの、時系列が本編中の話や、遠子先輩が1年生のときの話、本編終了後の話など。おやつやサイドストーリーのような、3頁「きっともうずっと以前から〜彼女に対する様々なものが芽吹いていたのだ」 ということが垣間見える話もいいですが、やはり「その後のお話」 というのが嬉しいですね。本編とエピローグの間を埋めるような話や、芥川くんと美羽のその後など、気になっていた話が盛りだくさん。まだまだ”文学少女” の世界が楽しめるようです。

そして今回いちばん衝撃的だった台詞は、53頁「裂けちゃって大変なのよ」。やはり清楚でもなんでも、本読みというのは耳年増にならざるを得ないのですね……!


しかしそうはいっても、本編の余韻が残るのは3巻くらいが限度でしょうか。それまではせいぜい、楽しまさせてもらいます。

2008-09-13

[] “文学少女” と神に臨む作家 下

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)

読了。やっと一気読みする時間が取れました。

頭が熱い。胸の奥が、ざわめている。

「あなたは、遠子先輩とは話せないみたいだから、代わりにぼくが、あなたと話をさせてもらいます」

ぼくの言葉なんて、しょせん子供の戯言にすぎない。それでも、伝えなければ。

この氷のような作家に。今、ぼくが、ぼくの言葉で!

「書かなくてもいい。ずっと側にいる」 そう告げるななせに救われる心葉。だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」――。


あー、やっと終わった。

もうね、息苦しくて息苦しくてたまらんのですよ。緊張感が半端じゃない。最初は、上巻のことを忘れかけてたのでそんなこともなかったんですが、読み進めて間もないうちに、「胸が詰まるよ!ゾーン」 に突入ですよ。ああ辛かった。読むのに力要るなあ……。

というか、多重構造なのが大変でした。「狭き門」 の作者たちと登場人物たち、「背徳の門」 の作者たちと登場人物たち……と、四重構造ですか? 誰が誰で誰に誰と当てはまるのか、っていうのを考えながら読むのは、なかなか骨の折れる作業でした。

ただ、まあ、今回の事件が終わってからの、第八章とエピローグはゆっくり味わうように読めました。この辺りはもうね、アレですよ。アレ。イロイロと癒されます。やぁぁぁぁぁぁぁっとここまで来たかぁ! って感じで。番外編でのエピローグの話も、しっかり回収されてて満足です。


まだ短編は残ってますが、ひとまず終了。楽しかったです。ありがとうございました。

2008-05-06

[] “文学少女”と神に臨む作家 上

“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)

“文学少女”と神に臨む作家 上 (ファミ通文庫)

読了。

琴吹さんが、ぴくりとする。

「昨日の……お姉ちゃん?」

ぼくもお母さんもお父さんも、固まった。

舞花が子供らしい無邪気な笑顔で、決定打を放つ。

「うんっ、センパイだよっ。三つ編みで、アンに似てるの!」

文学少女” との出会いから、二年。彼女の導きにより、心葉は様々なことを乗り越えてきた。そして、卒業の日は迫り――。


なんという緊迫感。面白かった。

途中まではいつも通りですが、遠子先輩と琴吹さんが心葉の家に来る、というあたりから強烈な展開に……。もうなんか、段々と”流人” が嫌いになってきましたよ。いろいろと必死になっている割には、余裕を持って行動してるあたり。94頁「ここから先はオレが書き手になって」 とか言いますが、そんな回りくどいことしなくても、と思います。

また、最初から最後まで張り詰めた展開で、凄く話にのめり込んでいたのですが……作者の愚痴にも取れる文章で現実に引き戻されたのがちょっと残念。物語としておかしくない発言ですが、どうにも意識してしまいました。あと関係ないですが、233頁「一緒に登校するなんて、ダイターン」 は完全に気が抜けました。それはカタカナで言っちゃダメ……っ!!


遠子先輩派でしたが、琴吹さんの方にも天秤が傾き始めてきました。そして下巻は未定。やっぱり積んでおくべきだったかもしれません。




余談。

173頁「麻貴さんは体調がすぐれないようで」 前巻のアレからして、”妊娠” フラグにしか見えません。

2007-12-25

[] ”文学少女”と月花を孕く水妖

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

読了。

三つ編みの先がぼくの頬をくすぐり、白く冷たい手が、そっと払う。

触れるか触れないか――そんな風に優しくそっと……。

夢心地の耳に、途切れそうな小さなささやきが聞こえた。

「ねぇ……あと、どれくらい……いられるのかな」

『悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください』 ――そんな遠子からのSOSで、夏休みを姫倉の別荘で過ごす羽目になった心葉。夢のようなひと夏の思い出を描く、“文学少女” 特別編!


うわああああん! やられた!

夏休みなので、時系列的に2巻の後です。それで、番外編みたいなものだからと思って気楽に読んでたんですが……(※重要ネタバレ)”実は7話(最終巻?) の予告編” でした! すっかり油断してたので完全に不意打ちでしたあああうわはははははは! というか、読む前はFB Online の web 短編でも載せるのかなとか思ってたぐらいなのに……。完全に書き下ろし長編でした。あと蛍って誰だっけ。

そんなわけで、頭の中から本編の内容が吹っ飛んでしまったぐらいの衝撃的なラストでしたが、その後に本編をもう一度読み返すと……ところどころに”遠子先輩の心情” が見え隠れしていて、何だかもうたまらない気持ちになってしまいます。306頁「――出会えてよかった」 なんてもう……っ!


他にも色々とあって、まさにひと夏の思い出という感じで……まあ、刊行順に追いかけてる人なら必読ですね。7巻マダー?(チンチン