灰色未成年

2012-12-23

[] ムシウタ 12-13.夢醒める迷宮 上下

読了。

「これ以上、虫憑きを生んじゃダメだよ、アリア……!」

ヘッドフォンの男の子に抱きついた少女は、泣いていた。今まで大きな感情を見せなかった"かっこう" の姉が顔を上げ、詩歌を振り向いた。

「ねえ、そうでしょ、詩歌ちゃん!」


おー。久々に読んだけど面白かった。

そういや前巻は、浸父を総力戦で倒した後、かっこうが精魂尽き果てて倒れそう――みたいな終わり方でしたね。何年ぶりだろシリーズ最新刊……。bugも終わってるので、今回はbug合わせて虫憑き勢ぞろいになってるんですが、大量に人が出てきたもんだからてっきり新キャラかと思ってた人物も全部既存キャラだった件 Y⌒( 。A。) Wiki見て人物の説明をいちいち引きながら読んだほうが絶対面白かっただろうなー。


まさかのラストはとにかく燃える。次、次はまだですか。

2012-05-28

[] サイハテの救世主 PAPER1:破壊者

読了。

「救急車はまだか……!」

悲痛なジャックマンの声で、周囲の人間も状況は察してしまっているようだった。

「もう、充分生きただろう」

葉が平然と放った呟きに、誰も反論しなかった。


なかなか面白かったです。

自分自身すら騙して沖縄に来た天才、あるいは天才という妄想に取り憑かれた気狂い……自分が沖縄に来た理由すら分からない、という仕掛けは良かったですね。対立軸が基本的に今の自分vs過去の自分になっていて、過去のほうが凄かったもんだから、これからも熱い展開が続くと思われます。

ただ、自分の中での天才といえばやはり森博嗣真賀田四季なので、この天才はどうなの? という気持ちもあります。323頁「異性の肉体に欲情するようなクソ凡人の真似は結構ですと、普段から申し上げておりますよね?」 あたりを読むと、昔から助手に意識が向くこともあったみたいだし、ラストでも永住しようとか何とか言ってる。その隙のある姿と、文中で冷徹に計算した姿が重ならないんですよねー。まあ、巻が進めば違和感も吸収されていくでしょう。


サブタイの意味がようやく分かって、次はPAPER2か……ってところで、次も期待です。ムシウタマダー?→7月刊行でした。

2011-03-21

[] ムシウタ 11.夢滅ぼす予言

読了。

「予言してやる――」

そう前置きし、携帯電話に向かって怒鳴りつける。

「お前は頭が良いフリをしておきながら、肝心なところで倒れる! そして大事な……本当に大事な時になっても目を覚まさないんだ! 何でも見透かしたようなことを言って、俺といっしょに全部終わらせようと言うくせに……一人だけさっさと眠り込んで、目を覚まさない!」


面白かったです。

過去編によるはじまりの三人が生まれる瞬間と、それに続く侵父の猛攻。細部はほとんど忘れかけているものの、それでもなお熱い。まあ、既刊と繋がる設定をかなり取りこぼしてる感がして、もやっとしますが。


さて、口絵の詩歌がどう見てもふたる様です、本当にありがとうございました。ってこのネタまだ通じるのかな……。

2010-06-10

[] ムシウタ 10.夢偽る聖者

読了。

「たくさん優しくしてもらって……」

「ええ、分かっているわ」

「たくさん、救ってもらいました……」

「それで貴方は……何を思ったの?」

「ウソじゃないんです……本当なんです……みんなに救ってもらって、カノンは心から思ったんです……」

ウソではない。

紛れもなく心の底から思い浮かべたのだ。

ただ、その力がなかったから、ウソをついた。


いつぶり?! いつぶり?!

二年と半年ぶり! うん、そう覚えてないね! 作者がそれを見越したかどうか分からないけど、話も80%は新規だね! まあ意図はしてないと思いますが(というか二年半前に出た無印も主人公置いてけぼりの外伝風味だったし)、リハビリには丁度いいのではないでしょうか。

でもまあ、これもまた以前に出た外伝風味の無印と一緒なのですが、一定の面白さは保ってあるので、それはそれで結構なことなんですよね。読み終わってから出てくる「いいから”かっこう” を出せよ!」 という想いもまた無印と一緒なんですが。


クライマックスへ向けての承前。さて、時間があれば読み返したいところですが……誰かbugと本編をまとめてくれないかなー。

2009-08-06

[] 狂乱家族日記 番外そのご

狂乱家族日記 番外そのご (ファミ通文庫)

狂乱家族日記 番外そのご (ファミ通文庫)

読了。

「落ちつきなさい、皆さん。ここは冷静に対処しましょう」

穏やかに微笑み、あわあわと困っている優歌に向き直って。

「それで、優歌。お父さんに正直に教えてください。優歌を誘惑する糞のお名前はなんですか?お父さんがきちんと拷も……男と男の対話をして、その裏庭に放置された生ゴミの邪悪な思想を吹き飛ばしてあげますからね」

番外・優歌編。


まあまあ。

しかしあれですね。優歌はどんどんキャラが崩壊していってますね。まあ作者は後書きでそれを「探れば探るほどわからなくなる乱崎優歌という迷宮」 とか言ってたりしますが。言ってることも分からなくはない……のですが、悪ノリしてるのも分かるのであまり説得力がありませんよね。

以下コメント。37頁「べつに? いつか何かに使えるかなぁと思って」 なんという腹黒。突発性のものかと思ってましたが、普段からそうだったのですね。224頁「私には、妹がいたんです」 「今は、もういません」 この話はなかなか良かったですね。かごめかごめの時もそうでしたが、何度も挿入される歌がいい雰囲気でした。246頁「私は飽き果てたのだ、少女の日常にごくわずかにしか存在しないかすかなパンチラを探し続ける無為な毎日に…… ! ! 」 265頁「女の子の姿をしているものしか愛せない、貴様の心が狭隘なのだ ! ! 」 これは笑った。魔族ひどいです。


しかし番外も5までくると別シリーズのようですね。ムシウタbugのように最終的にムーンサルトな着地をしたりして……。

2009-01-06

[] ムシウタbug 8th.夢架ける銀蝶

読了。

"虫" とは何か。

その真実を探り当てるのは、亜梨子ではない。

他の誰かでいい。

いつか先の出来事でいい。

亜梨子はそのための――道を創ろう。

「夢の続きの、その先で――いっしょに待ちましょう」

大喰いを倒し虫憑きの未来を拓くため、亜梨子は一号指定の怪物たちをひとつに纏め上げた。リナ、ハルキヨ、かっこう――モルフォチョウ。流星群が降り注ぐなか、亜梨子と大助の最後の戦いが始まった……。


切なさ大爆発。

終わってしまった最終決戦、bug シリーズ最終巻。ムシウタ本領発揮です。それぞれの想いが、繋がり絡まり縒り集まり、一本の道になっていく様子は感動以外の何物でもありません。

以下コメント。132頁「ありがとうっ!」 泣ける。164頁「とんでもない勘違いを」 ΩΩΩ<な、なんだってー!! 208頁「皆で一緒に生きるのよ! これからも、ずっと!」 泣け (ry 234頁「亜梨子さん!」 これは不意打ちでした。完全に意識の外にいた人物ですよ。288頁「"虫" のいない世界で、また会おう」 泣 (ry


bug シリーズはコメディ寄りで、未読でも本編を読む分に大丈夫だったはずですが……これはもう無理じゃないですか? 本編がどうなったのか忘れているので、復習& bug の伏線回収のために、本編を読み返しておこうかな。

2008-06-04

[] ムシウタbug 7th.夢高まる鳴動

読了。

「……ちくしょう、よくも騙したな」

『騙されるほうがマヌケなのさ!』

「この、化け物め」

『はん、人間なんか簡単なもんだぜ! 今まで何人の虫憑きを生んできたと思ってるんだ!』

「ひどいヤツだ」

『何人も騙してやった! どいつもこいつもバカばっかりだったぜ!』

徐々に亜梨子の身体を蝕んできたモルフォチョウ。しかし同時に、亜梨子に取り憑いたその”虫”は、一号指定の虫憑き――”かっこう”・リナ・ハルキヨの三人を呼び寄せる。


やっぱ面白いなあ。

発売予定を見たときは「 ま た b u g か 」 なんて思うんですが、本編そっちのけで展開される bug も既に7巻目。否が応にも盛り上がってくるというものです。というかこれは本当に熱い。まさに夢のオールスター(1人除外)。どうやら bug8 に続くようで、続きが非常に気になります。まあ結果は推して知るべし、ですが……。

そして番外編の4話目は、前回のハルキヨに続いてついに”あの人” の話。少し前まではベールに包まれていた人物ですが、前回のハルキヨとの邂逅で少し見えた部分がありました。そして今回でようやく全開放。なんとなく黒幕とか悪役のイメージがありましたが、予想に反して普通の人物。むしろ被害者……とはまあ、いつものムシウタの切なくさせる展開ですね。


これはどうも、bug が完結するまで本編には戻らなさそう。たしか bug を読まなくても本編にはついてこれる仕様だったと思いますが、いいかげんそれは無茶な話になってきた気がします。

2007-12-30

[] ムシウタbug 6th. 夢恋する咎人

ムシウタbug〈6th.〉夢恋する咎人 (角川スニーカー文庫)

ムシウタbug〈6th.〉夢恋する咎人 (角川スニーカー文庫)

読了。

「ヘンなヤツ」

「あん? 俺のどこがヘンだってんだ。犯すぞコラ」

「ボクの歳、分かってる? ていうかホントにボクの性別、分かってる?」

「ぶっちゃけると分からなくても問題ない気もしてきた」

「うわあい、ホンモノだあ」

モルフォチョウの謎を明かすため、”三匹目” を探す亜梨子。”C" の情報により、”三匹目” とハルキヨが接触していたことを知り、ハルキヨに会うためにとある市立図書館に行くことになる。そこで待ち受けていたのは、「彼の仲間ではない」 と語る”司書” で……。


うは、面白すぎる。

ついにハルキヨ話が来ましたよ。bug シリーズは 1 作につき 4 本の短編が載り、その内最後の短編が書き下ろしとなってますが、今回もその例に漏れず、内容の 2/5 がハルキヨ話になっています。あとがきで「謎めいていたり、怖かったり、でもキャッチーだったりと色んな顔を持ち」 と評されるハルキヨの謎や生い立ちなど、本編を補完する要素として見逃せない話になっていますね。

15頁「でも教官は最高です。教官ツヨイ。教官ステキ。教官プリティ」 どこの海兵隊ですか。フルメタル・レインコートですか。176頁「虫憑きが、大好きよ」 さすがムシウタ、グッとくるシーンはちゃんと押さえてあるぜ! 234頁「はっは! そのノリだぜ、クソガキ!」 もうこの辺りから、「ハルキヨが虫憑きになる瞬間」、「”三匹目” との邂逅」、「一玖皇嵩との会話」 ……と、どのシーンも面白すぎてたまりません。まあ、ハルキヨのこの焦がれるほどの思いが、それぞれを面白くさせてるんですが。


今気づきましたけど、なんだか bug に大助が出てる分、本編でもしばらく登場しなさそうな感じですね。バランス的に。まあ、そろそろ風呂敷を畳んでいってほしい所。次も期待。




余談。

表紙イラスト、誰でしょう? これは……マイク? ってことは”ねね” かな。

2007-12-07

[] 消閑の挑戦者 3 ロスト・エリュシオン

読了。

「ひどい……ひどすぎるよ、サッチー! 浮気を許さなかったから、もう捨てるの? 結局、私の魅惑的なボディーが目的だったんだね! ごめんなさい、ワタシがんばって浮気を許せる女になります! だから捨てないで!」

「……おい、すぐにその誤解を招くような叫びをやめろ。周りの視線が痛すぎる」

従兄弟である鈴藤いるるに連れられて向かった先は、果須田裕杜によって急速に発展し、そして混乱に陥ろうとしている国――ウォリスランドであった。そこでいるると小槙、それに何故か連れられてきた祥は、とある研究を目にする。それは、人の脳を直接いじり、”超人” を作るという人体実験だった――!


超長い。けど面白かった。

450ページちょっとですね。片手間に読むつもりが、意外とかかってしまいました。

何故1巻はあんなにも理解できなかったんだろう? と不思議に思うくらい、普通に楽しめました。2巻の感想で言ってる”普通” とは違い、ムシウタと同じくらい、という意味です。おそらく。

いるると病葉剣花の会話や、上の引用文のようなイズミと祥の会話など、つい笑ってしまう場面がいくつもあるんですが、やはり見所は小槙の感情ですね。小槙についに友達が! という話で(それに対する祥の反応も面白かったりするんですが)、後半では切なさ MAX です。357頁「また、”Elysium” の友達が増えるのか……!」 とか、384頁「――ちゃうやろ!」 とか、388頁「KOMAKI > 助けて」 とか……! もう流石、としか言いようがありません。


しかしこれの発売が2年半前という衝撃の事実――! ムシウタはアニメ化なんかしちゃってますし、4巻なんて発売するにしてもしばらく先でしか有り得ませんね……。




余談。

挟まってたチラシには「日日日、お前は一体何者だ!」 とデカデカと書かれていました。懐かしい。そういえばまだデビューして2年半なんですね。いくつ書いてるんだろう……。多作にも程があります。

2007-12-05

[] 消閑の挑戦者 2 永遠と変化の小箱

読了。

「私は逃げ出さざるを得なかったのだよ。どんなに理論を述べようとも、小さな可能性に頼ろうとも、私はたった一人の目に耐えられなかった。講壇で踊るちっぽけな存在を見つめる小さな目だった。私はその時、私の限界を知ってしまったのだよ。私は完成させられてしまったんだ……」

”パーフェクト・キング” を倒し、世界の天才たちに頂点に立った。だがそれは世間が知る所ではなく、空の玉座を前に天才たちは何をなすのか……。そして当の鈴藤小槙は、とある人物の招待で孤島”灰火秋島” に向かうことになる。


あれ? 面白かった。

前回と違って今回は普通に楽しめました。なぜでしょう。あまり小難しくなかったってことでしょうか。うーん。ただまあ、”普通に” 楽しめたということで、特に突き抜けた部分もなかったんですが。やっぱりムシウタの方が好きですよ。また本編よりも bug が出るそうですけどね。

引用文あたりの老教授のやるせなさや、245頁「呪われてるんやな」 の一言とか、302頁「お姉ちゃん!」 の不意打ちにちょっぴり涙したりとか、面白い部分が結構ありました。少なくとも1巻に比べれば。


うん、ちょっとだけ3巻が楽しみになってきました。ただ完結してるわけではないそうで、しかももはや日の目を見ることもないような雰囲気ですが……。