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2004-11-30
■[映画]『星願 あなたにもういちど』

★★★☆☆
「恋愛映画不感症の貴方でもこれには陥落、最終兵器!」と言われ、どないなもんやろとチャレンジしてみた一本。結論から言うと、やっぱりダメでした。涙腺が刺激されたりとか、そういうのはなし、一切なし。いや別に悪い話ではないし、あーだこーだとケチをつけようとは思わないのですが。セシリア・チャンむちゃくちゃ可愛いし。(ちなみにDVD版の吹き替えは坂本真綾。この配役は最高だな!)
敢えてドン引きするようなこと書くと、「悲恋」と言うても二人は相思相愛なんですよね。その時点で共感とか感情移入と無縁になってしまう。ええ、そうです、映画じゃなくて単に自分の問題です。
これいっそセシリアたんとリッチー・レンの配置を入れ替えたらどうでしょう。盲目の少女と看護士という設定。リッチー・レンは私財を投げ打ち、セシリアたんに視力回復の手術を受けさせる。目が見えるようになった彼女は言うわけです。「まあ、あなただったのね」
…すみませんすみません、パクリです。言ってみたかっただけです。
2004-11-28
■[映画]『雲のむこう、約束の場所』

★★☆☆☆
西日射し込む教室、憧れの同級生、二人きりの電車、夏休み、ひみつきち、自作の飛行機、彼方に浮かぶ白い塔…断片的な、そして甘い甘い砂糖菓子のようなイメージの切り貼りで構成された中学生日記。
これを「薄っぺらい」「どこかのアニメやゲームで見た光景の継ぎ接ぎだらけ」と批判することは容易いでしょう。でも、わたくしは「むしろそれでこそ」と擁護したく思うのです。何故ならこれは作り手と同世代の、アニメやゲームを大量に消費してきた人間のみが満喫できる特権的な映像と物語だからです。ここに描かれた「夏」から想起するのは「実体験の夏」ではなく、アニメやゲームの中に存在する「虚構の夏」であり、それを消費した「あの頃」にノスタルジーを感じるのです。(なんて後ろ向きな!だが、それがいい)
しかし。ここまでは嬉し恥ずかしくヒイヒイと身悶えながら鑑賞したわたくしも、"発病"以降の展開にはガックリ。
とか、身の丈に合わないナンチャッテSFな風呂敷の広げっぷり。お話は全くナッチないのに、絵と役者(垂れ流しのモノローグ…)は大マジメなので、ただひたすらに恥ずかしい。バリ恥ずかしい。これなら「鳥人間コンテストに賭ける青春」ぐらいのスケールの話にすれば良かったのにーと割と本気で思いました。やはり脚本は他人に任せ、新海氏は絵作りに専念すべきなのではないかと。中学生日記のパートはモロ好みでしたから。次回作が出来れば見に行きますから。そしたらもう一度、渋谷の映画館をオレと、オレの仲間達のスメルで一杯にしてやりますよ!
2004-11-24
■[映画]『ハウルの動く城』

★★★☆☆
ロリコンの御大が90歳の婆様をヒロインに据え、しかも(この時期に)戦争という題材を扱う。「こりゃ相当の気合が入ってるぜ」と期待したものの。
キムタクの「美しくなければ生きている意味がない…」という台詞から「美醜・モテ非モテ問題」に向かうのかと思えば、そういうワケでもない。「戦争」と言っても直接の人死には一切描かれず、ゆるゆるな解決法でメデタシメデタシ。空中散歩やハウルの過去を垣間見るシーンなど興奮は覚えるものの、それは物語とは関係ないビジュアル単位の興奮なわけで。決して退屈したわけではなく、それなりに楽しめたのですが、何だか肩透かしと言うのが正直なところです。
例えばこういう展開ならどうでしょう。
変身機能の使い過ぎにより、元の姿に戻れなくなってしまうハウル。それでも周囲の制止を振り切り、戦争を止めるため出撃してゆく。哀れ討ち死に、その亡骸はドラム缶で火葬に。愛する人を失ったソフィは呪いが解けず、婆様のフォルムのまま生きていかざるをえない。一時は嘆き悲しんだものの、仲間に励まされ、やがてソフィは元の快活さを取り戻す。「落ち込んだりもしたけれど、わたしは元気です」そして彼女は後に、ドーラ一家と呼ばれる海賊の首領として活躍するのであった。おわり。
…すみませんすみません、言ってみたかっただけです。
pencroft
そうですか「ハウル」ダメでしたか。オレは次に観る映画を「ハウル」にするか「デビルマン」にするか迷っています。ちゅうか「デビルマン」まだやってるんだろうか。まあそんな話はどうでもよくて、atozさんはとり急ぎ「フェアリーテイル」を観てレビュー書いてくだたい。濃いやつを。
kiona
リリカルなのは構わない。けれど、前半の黒さとオチの軽さが乖離しすぎなのは酷すぎる、アンマリだと思った。★3.5
bluefield
見てきましたよ。まあ失敗作とは思うんだけど、これって宮崎御大が意図した表現を行った上で失敗したのか、やる気が無かったとか製作現場の混乱こらこんな変なつくりになったか、どっちだろう。
いやまあ、ストーリーに言及している人は偉いと思います(皮肉じゃないよ)。見終えて数日経ったんだが、個人的には作品を整理できないんだよな。
ドラム缶の火葬はたしかに見たいな。あと今回、監督がまったく表に出てこないのはちょっと不気味。
atoz
『デビルマン』以外に選択肢はないんですか!『海猫』とか他にも『海猫』とか、あと『海猫』とか。
『フェアリーテイル』後回しにしてゴメンなさい。見ます、見ますよ。そしたらロリコン方面でドン引きするようなこと書いてやるからな!覚悟しろタクシー金払えば何処までも行くぞ!
atoz
チクショウ、いつかkionaがビビってたじろぐようなストーリー捻り出してやる!パワーホール全開でド真ん中に立ってやる!
atoz
だいたい君が「すごい ド級の 戦争映画」とか煽るから、おれは間違った期待をしてしまったのだ。そこら辺の責任をとってもらいたい。
bluefield
いや本当に宮崎版火垂の墓との前情報はなんだったんだ、と。ただ戦争の描写があいまいで徹底して銃後の視点しか存在しないのは逆に好感を持ったわけで。
見ていてキツイかったのは、この映画が特異なシーケンスを次々を繰り出して物語を転がして行くのか、主人公の成長譚に感情移入して鑑賞するタイプの作品なのか、どっちつかずになってることだったんだよね。
なんつーか怪作ですよ、これ。
atoz
「徹底して銃後の視点」と言うけれど、爆撃のシーンとかあったやん。戦争を全く描かないか、やるなら徹底するか、どちらかにして欲しかった。よ。なんでハウルはすぐ死んでしまうのん?みたいな。
2004-11-18
■[映画]『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』

★★★☆☆
ファン限定のお祭り映画にしてもユルユルな内容で、全編これ内輪ネタと下ネタだらけ。ジェイとボブは飛び道具として時折出てきてボケツッコミするから楽しいのであって、彼等だけで話を回すのは正直キツいものがあります。それに「インターネットで俺達の悪口を垂れ流すガンキンチョどもをブン殴ったる」という意図が余りに直接的過ぎて、ちょっと引いてしまいます。冷笑的なネットの言説に憤りを感じるのは分かりますが、作り手はそんな雑音に激昂したりせず、超然としていて欲しいと思うのです。まーそれこそ身勝手なネットの物言いではありますが。
ベン・アフレック絡みのギャグには爆笑。「『グッド・ウィル・ハンティング』なんて説教臭いカス映画だろ?でも『ファントム』は超クールだ!」
2004-11-16
■[本]『プロレス 影の仕掛人』 ミスター高橋

★★★☆☆
『流血の魔術』で話題を呼んだミスター高橋によるプロレス内幕もの。馬場さんのことは「日本プロレス界の良識」と絶賛する一方で、猪木は「プロレスラーとしては天才だが、平気で他人を裏切る」とたいへん批判的。さもありなんと思わせるのがアントンのアントンたる所以でしょうか。全体の主張は「プロレスは筋書きのあるショーである。だが筋書きがあるからこそ奥が深く面白い」というごく真っ当なもの。新日本プロレスに対する「中途半端な格闘技路線を止めて、もっと選手を活かすアングルを練るべき」という意見も大いに頷けます。
しかし完全に乗り切れない部分もあって。確かにエンターテインメントに徹したWWEやDRAGON GATEは面白いし素晴らしい。でもそれだけじゃあ満足できないんだよなーと。これ未だにプロレスラーに「強さ」の幻想を求めてしまうからでしょうか。小橋のラリアット食らったら死ぬだろ!とか永田さんのエクスプロイダー受けたら選手生命が、いや生命が危ない!とか。そういう間違ったロマンを捨て切れないのです。あーいや、前者は本気ですが後者は単に言いたかっただけです。
2004-11-12
■[本]『滅びの笛』 西村寿行

★★★☆☆
クマ笹の一斉開花により鼠が大量発生。自然を蹂躙する人間どもに狂気の奔流となって襲い掛かる!薬品散布も自衛隊による火炎放射攻撃も20億匹に及ぶネズ公の群れには微々たるもので、人間どもは誰も彼も抵抗むなしく食い殺される一方的な展開。オマケに伝染病が発生。自暴自棄となった男衆は集団で民家を襲い、人妻を集団レイプ。ときはまさにせいきまつ…って遣り過ぎじゃ。
混乱を極める中、気を吐くのが鼠キチガイの右川博士と、ダーティハリーばりのスーパーコップと化した片倉警視。一度は死んだと思われた二人が再会する場面は、血と臓物と糞尿に満ちた物語の中で一際輝く美しい瞬間です。あっちゃこっちゃへフラフラしているだけの主人公は要らないから、もっと彼らに焦点を!と思いましたことよ。
2004-11-08
■[本]『最後の審判』 リチャード・ノース・パタースン

★★★★☆
『罪の段階』『子供の眼』に登場し、特に後者では正ヒロインのテリ以上に魅力的だったキャロライン。今作では遂に主人公となり、姪の殺人容疑を晴らすため弁護士として腕を振るいます。合間にキャロラインの過去の体験、有り体に言ってしまえば一夏のロマンスが語られるのですが、このエピソードが秀逸。相手役を務めるスコットはどこか影のある男性。世間に背を向け、恋人のキャロラインに対しても心の奥底にある「何か」を明かそうとしません。これで「何か」の正体が「過去の恋の痛手」とか「不治の病」とかだったら興醒めですが、用意された答えは彼が他人を避けるのも無理はないと十二分に納得させられるもの。パタースンはこうした「秘密」の作り方と開示の手際が抜群に上手い作家だと改めて感じ入ります。もはやリーガル・サスペンスでも何でもない気もしますが、ノー問題ですよ、ええ、ええ。
2004-11-04
2004-11-02
■[本]『誘惑の湖』 リンダ・ハワード

★★☆☆☆
作者のリンダ・ハワードさんはハーレクインのみならずロマンス小説の書き手として知られている方(らしい)。冷やかしでなくかなり本気で、もしかこれ未だかつてないトキメキ☆体験が出来るかもと読んでみたのですが。
まー要は男女がくっつくまでを如何に引き延ばすかというお話。問題はその延長のための工作、障害設定がものっそしょーもないこと。しかも男女双方の視点で進行するものだから、お互いの「ああ、勘違い」が丸分かり。読者としてはモドカシイと言うよりひたすらバカラシイ。
しかしこの一冊のみでジャンル全体を判断するのは早計と言うもの。きっとハーレクインの世界にも不朽の名作、燦然と輝く黄金の一冊があるはず。わたくしは是非ともそれを読んでみたい。トキメキ☆体験してみたい。何方かご存知であれば教えて下さい。一回戦で待ってます。
来年春の、細田守の新作に期待だってばよ。