冬がはじまる。

新潟県へ。このところは保育園送りの影響で朝はゆっくりの出発となる出張が多い。目的地に着くとたいていお昼を食べる時間になっている。

達磨ストーブが焚かれている洋食店に入る。ドアを開けると目の前にはマンガ本がずらりと並べられた本棚が鎮座する。20年前くらいに流行ったマンガばかりだ。しばし仕事を忘れて、左手でページをめくりながら、運ばれてきた定食を食べる。大学生の頃にも、数えきれないくらいにこういう時間を過ごした記憶が蘇る。

そこからバタバタとアポイントを立て続けに4つこなすともう太陽が沈んでいた。モニターとにらめっこしている5時間と、応接室で人としゃべっている5時間は、どうしてこうも時間の流れるスピードが違うのだろうか、といつも不思議に思う。とはいえ、デスクに座っているだけでは仕事は転がり込んでこないのだから、僕らは動き続けるしかないのだけど。

すっかりと暗くなった窓の向こうの景色に目を凝らす。ふと、うっすらと白く染まった山の斜面が月明かりに光る。だんだんと、冬本番に近づいていく。