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2009-09-08

ランチェスター戦略がスゴイので紹介したいのだ


先日、この本を手にとって、目からウロコ物だったので、ちょっと時間が立ってしまったが紹介したい。

ランチェスター思考 競争戦略の基礎

ランチェスター思考 競争戦略の基礎

いつものノリで個人用にメモしたところを全部書いていると切りがないので、とにかく要旨を伝えたい。


イーモバイル代表取締役CEO」の千本倖生氏が帯に推薦文を書いているのですが、イーモバイル経営戦略というのは、ワタシが思うにまさにこの「ランチェスター戦略」+「ブルーオーシャン戦略*1」だなーと思ったりするわけです。

立ち上がり、圧倒的弱者としてスタートして、弱者の戦略の則って全方位衝突を避け、主要都市部のインフラを強化と、通話より通信主体という集中的なリソース投入で実現できる低価格戦略で王者ドコモに局地接近戦をしかけ、「100円PC」でデータカード市場自体を拡大し、そこで動きの遅いドコモが本格参入してくるまでの間に相当数の契約を獲得したわけですよね。

*2



ランチェスター戦略のプロフィール

・市場占拠率の目標数値モデル

1:上限目標値:74%:絶対的な独創状態。

2:安定目標値:42%:安定的な強者の位置。独走態勢に入る。

3:下限目標値:26%:弱者と強者の境目。トップになることもあるが不安定。

4:上位目標値:19%:弱者の中の相対的強者。伸びるが、不安定。

5:提供目標値:11%:存在がマーケット動向に影響を与え、注目される。

6:存在目標値:7%:存在が競合者として認められる。

7:拠点目標値:3%:存在自体が無視されるが何とか存在できる


・占拠率の有効射程距離モデル

1:弱者の戦略では、マーケットシェア率が3倍以上の相手には勝てない

2:強者の戦略では、マーケットシェア率が1.7倍以上の相手には勝てない



端的に言うとコレだけです。コレに照らして経営計画を組み立てなさいと言っているわけです。


元々、ランチェスター戦略は、軍事戦略なんです。

元々は、ランチェスターの一次法則、二次法則というものがあって、そこから導き出された「弱者の戦略、強者の戦略」も含め、それらを田岡信夫氏が経営戦略論/競争戦略論にうまく置き換えた物です。孫子の兵法とかにも通じる部分がたくさんあるので、市場にあふれ返っているアメリカ〜ンな横文字戦略に辟易気味な人にもとっつきやすいです。


ランチェスターの一次法則(一騎打ちの法則)

一騎打ちの場合、武器の性能が同じなら、戦闘力は兵力(兵士の数)に比例する。

*同能力の兵士が10人対7人で戦えば、少数側が全滅した時、多数側は3人生き残る。

ランチェスターの二次法則(集団戦闘の法則)

互いに相手の部隊に無差別に発砲する集団戦闘の場合、武器の性能が同じなら、戦闘力は兵力の2乗に比例する。

*同能力の機関銃が10丁人対7丁の部隊の先頭では、戦闘力が100(10の2乗)対49(7の2乗)となる。結果、7丁の方が全滅したとき、10丁の方は、7丁以上が生き残る(√100-49=√51=およそ7)。


・・・


・弱者の戦略

強者と正面から戦うのを避け、局地戦、接近戦を挑む。

・強者の戦法

弱者との接近戦を避け、間接的、遠隔的な確率戦を挑む。

これをビジネスにおける競争戦略に置き換えたわけです。


自分の関わっているビジネスのポジションを知ろう

とにかく、自分のビジネスにおけるマーケットの定義と、そこにおける自分たちの位置を知ることが先決です。


どんな戦略でも自分自身の現在地、ポジションを正しく認識することが基本中の基本であることは、「新しい戦略の教科書」の酒井譲氏も繰り返し述べていることです。


ランチェスター戦略に関して言うならば、注意しなければいけないのは、「順位」ではなくて「シェア」を見なさい、と言うことでしょうか。

見つけ出した統計資料を見て、「やった、トップn位だー」などと安心していると、実は3%くらいしかシェアがない、上位1,2社およびマーケット全体からはほぼ完全に無視されている、他の統計では「その他」にくくられている、なんてことはありがちな話です。

ランチェスター戦略では、あくまで「シェア」を基準に物事を考えます。


競合だと思っている相手との距離を知ろう

自分のポジションがわかる資料が手に入れば、おおよそ同時に競合の数字も手に入るはずです。

いつも意識している競合他社の位置はどのあたりでしょうか?


肌感覚どおり、好敵手として均衡した争いをしているでしょうか。

以外にもシェアが開いていたりするでしょうか。


ここでも、「順位」じゃなくて、あくまで「シェア」です。

順位1つの差の間にあるシェアの差が広ければ、取るべき手段も変わってくる、それがランチェスター戦略の考え方だからです。


今採っている戦略は、現実的ですか?

「目標は高く持たなきゃ意味がない」、とか、「1位以外は意味がない」とか、気合と根性以外のロジックがない目標設定や、「手当たり次第なんでもやる」「トップを目指すにはトップを真似ろ、盗め」といった戦略、手段をとっていたりしませんか。


今採っている戦略らしきものは、ランチェスター戦略に照らしてみて、どうでしょうか。

強者による強者の戦略ですか?

弱者による弱者の戦略ですか?


弱者による強者の戦略になってませんか?

足元見ないで、手を広げてしまっていませんか?


実感の伴った、意味ある数字を設定し、チャレンジする。

できる限界を定め、無謀を回避しようとするのも、ランチェスター発想である。それは弱者に知恵と勇気を与え、勇敢と無謀の境界を教えるものである。


そうした言葉が、この本の中にはたくさん出てきます。




最後に

もちろん、上記の2つのプロフィールだけでランチェスター戦略を応用して自分のビジネスに活かしてもいいし、無茶苦茶な目標設定立てるヤツをやっつける材料として使ってもいいけど、せっかくだから、この本をぜひとも読んで欲しい。

ここで全部紹介するのは避けますが、個人的には30以上の個所にマーキングしてます。ひさびさに、誰かに伝えたくて仕方がなくなるような興奮を味わった本でした。

*1:既存の成熟した価格競争主体の市場レッドオーシャンとは別の未開拓未競争の市場ブルーオーシャンを定義し、その市場に焦点を定めた一点突破で地位を築き上げる経営戦略

*2:カバーエリアと通信品質?と法人営業力にモノを言わせて、MVNOひっくるめてドコモが本気出してきているようにワタシの目には映りますが。認識間違ってたら指摘してくださいな。

福田秀人福田秀人 2009/10/24 02:32 『ランチェスター思考』の著者の福田です。過分なご評価をいただき恐縮です。おかげさまで、高価な理論書なのに、1万部に達し増し板。なお、ブルーオーシャンとは正反対の思考のつもりです。このあたり、多くの方に誤解され、私の舌足らずっだったと反省。来月、11月13〜14日に、次回作『リーダーになる人の「ランチェスター戦略」入門』東洋経済新報社、1680円が本屋さんに並びますが、その表紙の帯に、つぎのとおり、大きく書きます。「さよならブルーオーシャン! すべては小さな勝利からはじまる」。なお、前著と重複する内容は2割程度で、ブルーオーシャンなどの、競争回避論、大勝狙い論が、いかに危険かも、きちんと論証したつもりです。忌憚のないご意見、ご批判をいただければ幸いです。

atsuizoatsuizo 2009/10/26 09:48 >福田さま
コメントありがとうございます。
「ブルーオーシャンとは正反対の思考のつもりです」が衝撃的でした。
どう誤解したのかまだちゃんとわかりませんでしたが、そこは続編でわかるようなので、期待しています。

個人的には、ブルーオーシャンは「大勝狙い」ともちょっと違う気がしています。単に競争の軸をずらせ、といっているだけで、結果的に新しく定義した市場で大勝ちしている例が多い、との理解です。ブルーオーシャンにかこつけて獲得シェアを無視した大勝狙いをするのがランチェスター思考に反するのはもっともな話だと思います。

福田秀人福田秀人 2009/10/27 23:51 ブルーオーシャン、一面の真理をついていますが、あの程度ではブルーオーシャンどころか、ブルーレイクにたどりつく前に、破滅すると思います。
また、ポーターのポジショニング論を超えるものとして、威張っていますが、ポーターの論自体がいい加減であり、多数の批判が存在しており、そんなものを基準にすること自体がナンセンスと思っています。ただ、現状では、ポーターのどこがどういい加減かをきちんと論証する必要があり、11月出版の拙著では、「1章アイデアの悲劇を回避する」で独創追求論の問題点をあれこれ指摘するだけでなく、「3章 取引先を敵に回すアメリカ、味方にする日本」という章をもうけ、その頭で、次の文を掲載した上で、その根拠を示しました。「日本企業には戦略のなんたるかを学ぶ必要はない。彼らは、マイケル・ポーターに、戦略的学習のなんたるかを教えるべきなのである。ヘンリー・ミンツバーグ他「戦略プロセスに関する考察」2001年」。そのあたりを読まれた上で、賛否を含めご意見いただければ幸いです。

atsuizoatsuizo 2009/11/02 22:31 >福田さま
またまたコメントありがとうございます。
「3章 取引先を敵に回すアメリカ、味方にする日本」というこのタイトルが特に気になります。
続編は前回コメントいただいた直後にAmazon予約しましたが、とにかく早く読みたいです。今からワクワクしてます。

福田秀人福田秀人 2009/11/05 14:49 ワクワク&予約ありがとうございます。3章は、日本でも、多数の経営学者やコンサルタントが用いているポーターを正面切って「だめ理論」と断定するため、特に、力を入れました。その章の節は・・・1.日本企業は、ポーターに戦略を教えるべき−ミンツバーグ− 2.業務の効率化や人材育成を考慮しない戦略論 3.包括的ポジショニングは手抜きのすすめ? 4.小林一三より100年遅れ−クルイヴァー&ピアース− 5.危険な孤軍奮闘戦略論−ホールドアップ問題への対応− 6.取引先を敵視するアメリカ企業−GM、フォード− 7.取引先を味方にする日本企業―ミルグロム&ロバーツ− 8.評価と競争を競う長期的関係−浅沼萬里− 9.機密情報の共有による差別化の追求−セブンーイレブン、矢作敏行− 10.ファイブ・フォース・フレームワークも使いよう  なお、5節以降で、ポーター批判論者も触れていない致命的欠陥を指摘したつもりです。

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