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[Mono] [monogatari (en)]

2008-07-31

そろそろ予告inについて(以下略 そろそろ予告inについて(以下略を含むブックマーク

ロックなことをやる人だと思っていたのに、実は単なる警察権力の犬だった、なんて、残念な話ですね。

おれは嫌いですよ。こういうくだらない通報をする奴。予告者を業務妨害罪既遂の容疑で逮捕することになった暁には、同罪の片面的幇助で逮捕すべきだと思う。逮捕がどれほど人権侵害的なものであるか、自分がされてみないと分からんのでしょう。きっと。

理論的に考えれば、違法性が高いのはこの予告者ではなく、通報した予告.inの管理人です。業務妨害結果を発生させるにあたって、実際には危険性が無い(あるか無いかで言えば「無い」と評価される)もとの発言について、あたかも犯罪発生の危険があるかのように危険性を作出しているのは管理人です。他人の行為を奇貨として自らが犯罪行為を行っている事例です。

「いたずらではないと思った」という言い訳が通用するかどうかは、その通報者がこの種の問題の素人であるか専門的な知識を有する者であるかに依存します。「月夜ばかりではないよ」という言葉が、人と時と場合によっては脅迫罪を構成しうるように、実行行為というものは形式的に判断されるものではないのです。

lsls 2008/07/31 21:02 まず,通報が即逮捕に繋がるわけではありません。告発と違って,捜査機関は通報によって具体的に捜査を開始する義務は無いのです。予告inの投稿数と逮捕者数の対比からしても納得していただけるでしょう。
そして,ある予告が通報によって違法性が高まる場面は確かにあります。
通報者が予告に脅威を感じたので処罰してくれと依頼する場合などです。
しかし,通報という制度は,通報者自身が脅威を感じた場合に限らず犯罪に関するあらゆる事象を対象とするものです。
おっしゃるとおり犯罪の成否は人と時と場合によって異なってきますが,そのような抽象的な危険を帯びているだけで通報の客体としては充分なのです。
何故なら,通報という制度は法律の素人が捜査機関に対して犯罪捜査の端緒を与えるものだからで,もともと100%の精度が期待されているわけではないのです。
素人であることを例えば私人逮捕における有形力の行使の限界について,私人には捜査機関ほどの節度は求められないという判例があり通説もこれを支持しています。東京高判昭和37年2月20日です。(最高裁HP未掲載)
以上から,予告inでなされた程度の通報では制度の予定する限度内にとどまっており,とても警察に対する業務妨害とはいえないと私は考えます。また,警察との間で一応協議は行っているようなので,業務妨害罪が成立する余地はほとんど無いと考えます。

lsls 2008/07/31 21:06 訂正:×素人であることを例えば ○素人であることを最高裁がどう考慮要素とするかについて,例えば,
追記:私は,以上の制度理解から,未だ予告inが言葉狩りの端緒であるとかマッチポンプであるとは考えておりません。

atsushienoatsushieno 2008/08/01 01:55 全体的な論考のアプローチとしては良いと思いますが、わたしの認識とは少なからず異なります(結論が真反対になる程度には)。
以下、いただいたコメントの論点について、逆順に言及していきます。
まず、違法性の意識の可能性の問題として「警察との協議」があったことを故意阻却自由と捉えられているのかと思いますが、警察も相手がどこまで非常識であるかを事前に知ることは出来ませんから、「予告」が明らかに脅威でないものについて、こじつけて危険性を作出して通報してくるようなことは想定せずに「とにかく報告してくれ」と言った可能性は十分にあります。また事前に警察とのやりとりがあったことのみをもって違法性の意識の可能性が否定できるというのであれば、事前に任意の事情聴取がありながら本人の違法性については問われなかったWinnyの作者についても同様のことが言えたはずです。
判例については、警察か一般人かというだけで「形式的に」判断されるものではないということを、このエントリで既に説明しています。昭和も30年代という相当古い判例ですから、「事情に詳しくない者」の意味で「一般人」と表現していると考えるのがむしろ自然でしょう。現代で言えば、司法警察職員でなくてもガーディアンエンジェルズなどが同様の問題を起こしたときに、司法警察職員相当の知識が期待されることは、十分に考えられます。
通報そのものが、危険性の作出の有無と独立して、行為として正当であるかどうか、という問いには意味が無いと思います。生命の危険があるかのように装って一見必要そうに見える医療行為を行って死傷結果を発生させる場合などが、今回の問題とパラレルに考えられるでしょう。
通報が即逮捕に繋がるわけではないということはもちろん認識しています。

atsushienoatsushieno 2008/08/01 02:13 微妙な訂正: 故意阻却自由(事由) → 責任阻却事由

atsushienoatsushieno 2008/08/01 02:49 もいっこ、形式的な修正: 「一般人」→「私人」

lsls 2008/08/01 12:43 >>違法性の意識の可能性の問題として「警察との協議」があったことを故意阻却自由と捉えられているのかと思いますが

いいえ。故意以前に違法性が阻却されると考えています。
通報の質に関わらず一旦全て警察に投稿されるという仕組みを警察も承認しているのですから,偽計業務妨害罪の要件たる偽計が成立しないのです。ですから,故意を問うまでも無く違法でないのです。
全ての通報が真摯に被害を訴える物だ,直ちに捜査しなければ−といった事態にはならないのです。
*刑法を知らない閲覧者のため注−犯罪は1.構成要件該当行為 2.違法性 3.故意または過失 という要件を満たすことで成立するとされます。−

>>Winny事件でも事前に任意の取調べがあったが逮捕された

あれは警察以外を被害者とする事件で,今回のように警察が業務妨害罪の被害者となるかという議論とは関係が薄いように思います。
また,Winnyの運用についての協議というより作者の逮捕に向けられた取調べであったと考えます。
予告inの場合は警察自体が警察協力者と協働するために現在進行形で協議しています。
およそ,協議が成立している最中に当事者間で偽計業務妨害罪が成立することは無いと考えます。協議で詰めればいいことですから。(警察が止めてくれと言ってるのに矢野氏が大量に通報し続けてるなら別ですが)

>>通報が危険性の作出といえるか

通常の表現活動が通報によって危険性があるかのように扱われ,規制対象となってしまうのではないかというのがatsushienoの危惧するところだと思います。私も同感です。
しかし,警察が有象無象の通報をともかくもよこしてくれと言ってる本件では,杞憂に留まるのではないかと考えます。
警察としても,通報者が危険危険と言う割には全然危険じゃない,どうでもいいような通報が山ほど飛び込んでくることは認識しているわけです。
通報者が張り切って無闇に通報することは予見していて,そこは差っ引いて,真に危険だと捜査機関が判断して動いてるわけです。
この差っ引きが適切に行われてる限り,規制が過剰になることは無いのではないでしょうか。
現に,逮捕に至った事例のほとんどは通報が無くとも違法と評価されてしかるべき行為ではないでしょうか。

nohohon_xnohohon_x 2008/08/01 12:59 おそらく、誤解だとは思うけど、管理人の矢野さんが通報を楽しんでそうに見える。もう少し柔軟にやって欲しい。

atsushienoatsushieno 2008/08/01 13:11 なるほど、単純に客観面で問題が無いと考えているわけですね。それについては既に先のコメントで否定したとおりです(違法阻却事由と捉えようと責任阻却事由と捉えようと、具体的な内容の話としては変わらない。仮に警察が予告.inの仕組みについて説明を受けていたとしても、通報者が悪意の通報を行うことまでは想定していない)。システムが承認済みなら運用も承認済みと考えていては、セキュアなシステムは成り立ちません。それと同じことです。「有象無象の通報をとにかくよこしてくれ」というのも、危険性をあえてこじつけて作り出すものまで含むと考えるのは社会通念に反すると思います。

lsは小女子事件を「通報が無くとも違法と評価される」と考えているのかもしれませんが、わたしがこの種の問題をリアルで話していて、本気であれを「逮捕すべき」と考えている人なんて1人もいませんでしたよ。やはり「逮捕」というものが実社会でどういうネガティブな意味をもつのか、分かっていないのではないかと考えざるを得ません。

あと、Winny事件に際して47氏が受けた事情聴取について本当に知っていれば、あれが「作者の逮捕のため」であると考えることはできないと思います。(もちろん正犯の逮捕にかかる事情聴取です。)

atsushienoatsushieno 2008/08/01 13:16 管理人が通報を楽しんでいるのではないかという邪推?もわたしはしました(仮にそうだとしたら、やはり警察を弄んでいるわけですし、他人を不当に逮捕の危機に陥れているわけだからやはり容認できない)。ただ、管理人の故意の問題としては、悪意でもそうでなくても、危険でない「予告」を危険なものとして通報しているという事実の認識があれば十分です。

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