Kodak Ektar 100

結論から言うと、とてもとてもとても良いフィルムです。みなさんぜひとも使いましょう。
鮮やかです。最近の淡い発色が好まれる中では異色です。しかし嫌味ったらしいくどさは無く気持ち良い鮮やかです。鮮やかなために格安のサービスプリントでは色が飽和してしまうかもしれません。これでは正当な評価を得にくいかもしれません。
ヌケが良いです。くすんだ感じが無くとてもよく色分離しています。くすまないためにいかにもフィルムで撮りましたという感じはありません。フィルム写真っぽくて面白い画ではなく、単純にとても綺麗に撮れます。
粒状性が良いです。流石に世界最高の粒状性を謳っているだけはあります。私の引き伸ばし環境では粒状の確認は困難です。スキャンで大拡大して確認はできます。
硬めです。硬軟は好みの部分がありますが、これはこれで好ましい程度の硬さだと思います。画がシャキっとしつつもパキパキというほどにはなっていません。硬いもののネガらしくその硬さの中で丁寧に階調を表現しています。硬めだと階調がよく出ないと思う人もいますが、エクター100を使ってみると、硬さの中に丁寧な階調を表すこともできると分かるかもしれません。
ラティチュード(露出寛容度)は大きめです。多少の露出ズレに敏感に色が狂うということもありません。露出寛容度の大きさを活かすためにISO80フィルムとして考えて使うと安全かもしれません。ただし、極端に露出を外すと救済は完全に不可能と言えると思います。3段くらいの範囲内ではとてもフラットに推移してラティチュードの大きさを感じますが、そこから外れると一気に大きく崩れるようです。あまり神経質にならず、しかし大外れにだけは注意して使えばよいと思います。これはとても好ましい性質だと思います。特にアマチュア向けフィルムで多い性質として、大外れでもそれなりの画像は出せても少しの露出ズレから少しずつ崩れるフィルムも少なからずあるのですが、このエクター100のようにある程度の範囲内ではプリントにほぼ影響無く推移するのは撮影しやすいです。大外れということは普通にカメラを使っていれば無いことですから、普通に使ってさえいれば露出には神経質になる必要はありません。レンズ付きフィルムに入れるフィルムとしては不適当ですが、露出を調整できるカメラ(つまり最近の普通のカメラ)であればとても良い結果を得られるでしょう。僕はある程度決まった明るさの中で撮っていたりするので、露出を測らずに経験で少し露出の足し引きをするだけで撮ってしまうことが多いのですが、それでも十分には使えるだけのラティチュードはあります。露出計が付いていれば何の不安もないでしょう。
ちなみに僕はエクター仕上げにはせず、HCLのコダック標準でやってもらっています。