2008-07-16
ぼくの知り合いのとてもモテる人について
ぼくの知り合いにとてもモテる男の人がいる。その人のモテ方はすさまじくて、もうとにかく女性を取っ替え引っ替えだ。彼女もコロコロ変わるけど、浮気もしょっちゅうだし、一晩だけのなんて言い出したらキリがない。
ちなみにその人は全然イケメンじゃない。むしろブサイクの部類だ。なのにモテる。並み居るイケメンをなぎ倒して余りある。どんなイケメンもその人には叶わない。みんな、「あいつには負けるよ」とシャッポを脱ぐ。というより、呆れられる。「なんでそんなにモテるの?」って。その人のモテ方は異常だからだ。まるで鬼の首を取ったようにモテる。
で、「なんでそんなにモテるのか?」ぼくも、その人と付き合う中でそれを考えたことがあったので、それを今日はここに書いてみたい。
まずその人は、お母さんに溺愛されて育った。きっと良い育てられ方をしたのだろう。自分の存在に対して揺るぎない自信がある。
特に女性に対しては、臆したりビビったりするところがない。いつだって完全な上から目線。取り分け恋愛においては、完全に上の立場からものを見るし、考える。それもとんでもなく上の立場から。
だから、女性に対して寛容で包容力がある。面倒見が良く紳士的で、やさしい。上から目線で、たいていのことなら許容してあげる。懐が広いのだ。
その広い懐の内で、女性を自由にさせてあげる。むしろ、その子の本当の自由を引き出してあげる。
「本当の自由を引き出す」とは、その子の普段押し殺している感情だとか、欲求だとか欲望だとか、そういう抑圧されていたものを上手く解放してあげるのだ。その上で、認めてあげる。承認して、褒め称えてあげる。
その人は、いわゆる「包容力」があるのだ。そして、これにやられない女の子はいない。一旦その傘の下に入ると、皆その居心地の良さにコロッと参ってしまう。
その人は、しかしそうした包容力がありながら、一方で揺るぎない浮気主義者だったりする。どんな状態の時にも、絶えず新しい出会いを求めている。常時本命の彼女がいて、その上で2、3人と平行して浮気し、さらに新しい浮気相手も探している。で、新規が見つかったら、躊躇わず浮気をする。
この浮気主義者というのも、モテることの大きな要素の一つだ。と言うのも、女性というのは、「彼女がありながら自分に対して気が向く」ということに、大きな喜びを感じるらしいのだ。そして、どういう脳の構造かは分からないけれど、「自分と付き合うようになれば、もうその人の浮気性も収まるのではないか」と思うらしい。いやむしろ、「わたしの愛で、あなたの浮気性を治してあげる」とまで思うらしい。
きっと、多くの女性はそういうふうな「物語」を恋愛に求めているのだろう。多くの女性は、「他の人を捨ててまで、わたしのところに来てくれた」という物語に、気持ちよく酔わされる。そして、「そうまでして来てくれたからには、これはきっと本物の愛だ。彼はきっと、わたしとの間に本物の愛を求めているのだ。逆に言えば、彼が浮気性だったのは、これまで本物の愛を探し求めて彷徨っていたからなのだ。だから、わたしのところに来て、わたしが本物の愛を教えてあげれば、彼の浮気性も収まるのだ……」と、そんな妄想を際限なく膨らませる。
しかし実際は、そんなことはまるでない。むしろ事実はその逆だ。彼が浮気性なのは、本物の愛を探し求めているからではなく、本物の愛などというのは最初から存在しないと思っているからだ。
だから、彼は浮気することに全く抵抗がない。そして女性の側がそういう物語を勝手に描いて浮気に応じてくれるのであれば、それに関しても全く抵抗がない。それどころか、それは願ったり叶ったりのことだったりする。浮気するのに、これ以上都合の良いことはないからだ。
実際、彼にはそれを利用している節がある。
と言うのも、彼は付き合う女性に関しては非常に面食いで、とても綺麗な子を選ぶからだ。そして彼は、その彼女を公私を問わず積極的に連れ歩くようにしている。どんなところへも、彼女を伴って現れる。そしてみんなにその彼女を見せる。
だから、彼の新しい浮気相手というのも、たいていその彼女のことを知っているのである。その上で彼の浮気に応じるのだ。
それが、ぼくには最初不思議でならなかった。どうして女の子たちは、浮気だと分かっている人と付き合うのか? が、長年観察するうちに、そういう物語にコロッといかされているのだというが、段々分かってきたのである。特に「ああいう綺麗な彼女がありながら、わたしのところへ来てくれた」ということが、どんな女の子にとっても強力な必殺技になる。
ところで、ぼくがいつも感心していたのは、そういうことをぬけぬけとできる彼の剛胆さだった。浮気というものに一片の躊躇いもない。だからこそ、多くの女の子がコロッと騙されるのだろうけど、でも普通の神経の持ち主なら、そういうふうに人を騙すことにはなかなか耐えられるもんじゃないだろうと思いながら、彼を観察していた。
それで分かったのは、彼の男尊女卑的な側面だった。彼は、女性に対して愛情がないばかりでなく、むしろサディスティックに軽蔑している節さえあった。
どうしてそういう軽蔑心を持っているかは分からなかったが、彼の浮気が女性に対してひどいことをしてやろうというサディスティックな気持ちからきている部分はあったように思う。そのため、何の躊躇いもないどころか、むしろ思い切ってやれたのだ。
またそういう浮気にホイホイと応じてしまう女の子があまりにも多いことも、彼の軽蔑心をより一層煽ったということがあるかも知れない。それが証拠に、彼の浮気は年を追うごとに多くなり、年を追うごとに節操がなくなっていった。彼は一種の浮気スパイラル――それはそのままモテスパイラルと呼んでもいいのだが――にどっぷりとはまり込んでいた。
このスパイラルは、どうやら際限がないらしい。というのも、女性というのは、彼が冷たくなればなるほど、男尊女卑になればなるほど、かえってその女心を刺激されるみたいだからだ。
「この人がこんなに冷たいのは、きっと以前、女性に手ひどい目に遭ったからだわ。だから、心を氷のように閉ざしてしまっているのだろう。だったら、わたしの愛で、本物の愛で、その氷を溶かしてあげる!」
などといった、また新しい物語を、女性はそこに見出してしまうのである。モテというのも、ここまでいくと本当に際限がなくなってくる。
まとめ
その人のモテる条件というのは、以下のようなものになる
非モテとは男女関係のルールを勘違いしている男たちのことだった
はてなでは相変わらず非モテ談義が喧しいが、http://anond.hatelabo.jp/20080714212232を見て思ったこと。
この増田は「男女交際」がどういうものなのか知らないみたいだね。「好きでもない女の子を口説くこと」を嘘つきだとか不誠実だとか人の道にもとるとか言って糾弾してるけど、男と女というのは、そういうのを超越したところにある。恋とは結局ゲームなのだよ。狐と狸の化かし合いなのだ。嘘をつくのがルールなのだ。そういうルールのゲームに対して「嘘をつくのはおかしい」と糾弾するのは、ナイーブ以前にとんちんかんだ。
上に引いた増田は、なんでも一人の女性に未練を引きずっているらしい。何度断られても口説いてしまうのだそうだ。そんな自分を「キモいストーカーと思われても仕方ない」と自省してる。「人の道を外れたことはしていない」としながらも、自分を「時代遅れのバカ」と言って苦しそうだ。
だから、きっと彼には想像もつかないんだろうな。その女の子が、そういうきみを弄ぶのを、それなりに楽しんでいることなんて。きみは彼女の承認要求を見返りもなしに満たしてくれる都合の良い男として利用されてるのだよ。バブル時代はアッシーやメッシーといった、金や労力を費やしてくれるのがいわゆる「都合の良い男」だったけど、21世紀型は、増田のような見返りなしで自分を承認し続けてくれる非モテなんだろうな。
こういう21世紀型「都合の良い男」の見分け方は簡単で、上の増田自身がいみじくも言っているけど「相手は生身の女の子」「相手も人間」「相手にも人格がある」とか言っちゃうやつだ。
前に『0014「お見合いおばさんの復権」』というエントリーを書いた時に、「女の気持ちは無視かよ?」みたいな反論があったんだけど(参照:彼女作らせろって)、おそらくこういう言説を鵜呑みにしちゃってるんだろうな。でもこれは嘘なんだ。騙されちゃいけない。これに騙されると、えらい目に遭う。
男女関係っていうのは、男も女もそうだけど、相手の気持ちを中途半端に慮るやつっていうのは逆に鬱陶しがられるんだ。それよりも、例え傲慢であったりワガママであったりしても、自分の気持ちを正直に、ストレートにぶつけてくるやつの方がよっぽど付き合いやすい。
人間関係の上手い人は、相手の気持ちをあまり考えない。それは、もともと考えない人もいるだろうし、意識して考えない人もいるだろう。そういう鈍感な部分や空気を読まないところがないと、上手くいくものも上手くいかないのだ。そこが人間関係の、一見単純なようでちょっとややこしいところだ。
だから、上の増田ようなタイプは、自分では気を遣えてるつもりなのかも知れないけれど、結果的には気を遣えてないのと一緒だ。もし本当に気を遣いたいのなら、「相手は生身の女の子」だとか「相手は人間」だとか「相手にも人格はある」とか、そういうのは考えないことだ。それよりも、「相手はメス豚」とか「女なんてただの芋の煮っ転がし」とか「あいつらに人格はない」と考えた方が、男と女はよっぽど上手くいくし、結果的には相手を気遣えたことにもなる。
