2008-09-19
罵倒系ブロガーの誕生
世の中には罵倒系ブロガーなるものがいるらしい。
ぼくはこれまで知らなかったのだが、この言葉はなるほど言い得て妙だ。罵倒系ブロガーと言うと、僭越ながらぼくも当てはまることになるのだろうか? それはさておき、罵倒系ブロガーなるものがなぜ誕生したか、その経緯について考えてみたい。
罵倒系ブロガーの人生はたいてい辛酸系である
罵倒系ブロガーの人生はたいていこれまで辛酸を舐めてきたものである。そこでは世知辛いいくつかの闘争があった。そうした中で、罵倒系ブロガーは人を攻撃するとはどういうことかを学んできた。また同時に、争うことの虚しさや、勝つことの意味のなさも学んできた。あるいは、もちろん負けることの歯噛みするような悔しさも学んできた。
そうして、罵倒系ブロガーはタフになった。タフになると同時にもう争いには辟易して、人間が穏やかになった。それが罵倒系ブロガーである。
ネット系イナゴ世界の現出
そこに、ふいにひょっこりとネット世界が現出した。そうして、これまでは絶対触れ合わなかった人同士が触れ合うなどという環境ができた。さらにはブログなるものができた。そこで、いろんな人が情報を発信し始めた。
罵倒系ブロガーは、最初はみんなと同じような新しいものへの純粋な興味からそのブログとやらを覗いてみた。ところがそこで、びっくりさせられる。これまで見たこともないような稚拙な物言いをする人たちが、幸せそうに自らのトンチンカンな自説を開示して喜々として喜んでいたからだ。しかもおれは何かしら言ってやったぜという鼻高々な感じである。世間に一石を投じてやったと自分自身に酔っている。
そこで罵倒系ブロガーはカッとなる。「なに幸せになってるんだコノヤロウ!」という感じである。まだネットのない、面と向かって罵り合っていた時代なら絶対に尻尾を巻いて人前で自説など開陳しなかったはずのチキン野郎が、ネットで顔が見えないのを良いことにネットデビューで外見を装っただけの中身がスカスカの言説で一丁前の評論家気取りでいやがる。あるいはどういうつもりかは分からないが、そういうスカスカの言説を称揚するようなワケの分からないイナゴ層まで出現している。まさにネット系イナゴ世界の現出だ。
そこで罵倒系ブロガーはどう思ったか? 「しゃらくせえ」と思ったのである。また実際に声に出して言ってもみる。「し・ゃ・ら・く・せ・え」と。それがちょっと気に入ったりもする。そうして一日何度も「し・ゃ・ら・く・せ・え」と言いながら、ネットデビュー系ブロガーたちのブログを見て回る。そうして、鼻で笑ったり時には心から爆笑したりする。
罵倒系ブログの誕生
そのうち、罵倒系ブロガーは自分もブログを書けるというシンプルな事実に思い当たる。そこでちょっと面白くなってブログを書いてみる。そして「し・ゃ・ら・く・せ・え」と思ったブログをさんざんこき下ろし始めるのである。
罵倒系ブロガーは、これまでの人生でさんざん辛酸を舐めてきたから、上には上がいるというのを知っている。だから彼らはいつでも逃げ道を確保している。むしろ逃げる気満々だ。背水の陣など絶対に敷かない。そして喧嘩は百パーセント勝てる相手にしかしかけない。なぜなら負けて辛酸を舐めるのはもうご勘弁だからだ。ネットの世界でまでわざわざ辛酸を舐める必要もない。
そうして罵倒系ブロガーはネットデビューのお子ちゃまたちに攻撃を仕掛ける。それはもう縦から横から全方位的に包囲網を敷きぐうの音も出ないような殲滅作戦を決行する。
しかし同時に逃げ道も残しておく。窮鼠猫を噛むで窮鼠系の人々の怖さを知悉しもいるからだ。とにかくおっかなくて仕方ないのである。
ところが、ここで予想もだにしなかったことが起こる。なんと、ネットデビュー系のブロガーたちが正面から立ち向かってきたのだ。しかも竹槍を持って! さらにはご丁寧に背水の陣まで敷いている。
「こいつぁ予想もだにしなかったぜ!」と罵倒系ブロガーはびっくり仰天する。自分とは百八十度違う人間がそこにはいたのだ。それはもはや玉砕戦法などという前時代の遺物的なものですらない。彼らはレミングだった。レミング系だ。レミング系死の行進ブロガーで、とにかく自分から飛んで火にいる夏の虫で、敗れたり傷ついたり辛酸を舐めようと自らしているのだった。
そこで、仕方ないから罵倒系ブロガーはレミング系死の行進ブロガーに辛酸を舐めさせるのだ。そうして、誰もが一ミリも得をすることなくこの戦いは終わる。こうした戦いは、普通敗者がそこから多くを学んで敗者の方に何かしら益するところがあるのが普通なのだが、レミング系死の行進ブロガーにはなぜかそうした学び取ろうという姿勢もあまりない。彼らは結局ネットはもうこりごりだという言葉を残してブログの更新をやめてしまうのである。レミングが更新をやめてしまうというのは冗談にしてもあまり面白くない。
凄腕ハンター系ブロガー
こうした混沌の時代はそうは長く続かないだろうと思う。実際最近はレミング系死の行進ブロガーの更新は減ってきた。今や絶滅の危機にあると言っても過言ではない。
しかし世の中は広いもので、どういうアンテナの張り方をしているのかこの手のもう絶滅の危機に瀕しているレミングたちを次から次へと見つけ出して、公共の場に引きずり出してわざわざみんなの前で血祭りにあげている凄腕ハンターもいる。まるで「アダプテーション」という映画に出てくる蘭のハンターのようなものだ。このハンターに狙われたら、もう逃げ道はない。
まとめ
世の中には議論の鬼のような人々もいる。そういう人々と議論をしてもなんら益するところはない。「朝まで生テレビ」を見て「これこそが議論だ」と興奮して自分も議論をやりたくてうずうずしてしまうような人には議論は向かない。議論は極まっていくと結局心理戦というか、内容よりは人間力の勝負のようなところになるからだ。
それはまるでフェンシングの試合のようなものだ。どれだけ深く相手の臓腑を言葉でえぐることができたかという神経戦というか、野蛮な肉弾戦になるのだ。
例えば議論に勝つための初歩的なテクニックというのがある。それは相手のプライドを刺激することだ。人間誰しも矜持というものがある。例えばぼくなら「面白い」ということについては一家言ある。あるいは「言葉」についても並々ならぬこだわりがあったりする。そういうぼくに向かって、「おまえの言ってることは正しいかも知れないけど面白くないよね」とか、「言わんとしていることは分からなくもないけど言葉の使い方を間違ってるから分かりにくいんだ」とか言うともうとたんにカーッとくる。それでペースを乱されて以降の物言いがはちゃめちゃになって結局議論に負けるというのもある。
しかしこの戦法も痛し痒しで、そういう陽動作戦に相手が出ているのだなと分かったら、逆にそこで落ち着けることもできる。そうしてその陽動作戦に乗っかった振りをして、逆に相手の裏をかくという戦法もある。
こういう陽動作戦を使う相手に一番効くのはバカの振りをして気付かないふうを装うことである。あるいはあからさまな嘘を言って相手を貶めることだ。陽動作戦を使うような人間は、自分が頭が良いということに関してはプライドがあるので、逆に単純な作戦に弱かったりする。単純なルール違反に弱いのだ。コロンブスの卵的な作戦にからっきしだったりする。
例えばこういう言い方が効く。
「あなたはそんなことを言いますが、本当は弁護士を目指していたけれど司法試験に落ちたそうじゃないですか! そういうあなたが、何かを言う資格はあるのでしょうか!」
あるいはこういうのでも良い。
「あなたがそう言ったら、お母さんはどう思うのでしょうか? きっと悲しむのではないでしょうか。この前言ってましたよ。あなたの育て方を間違えたって!」
頭の良いやつは、議論の小ずるいテクニックは知っていても、この手の口喧嘩レベルの卑怯を通り越して呆れてしまうような物言いはまさか相手が使うはずもないと思ってるし、また耐性もないので、答えに窮しやすいというのがある。あと、人間誰しも弱みというものがあるから、この手の嘘を並べていけば、どれか一つはまぐれ当たりで相手の急所をつくこともあるので、非常に有効だったりもする。例えば意外と母親が弱点だったりする。
「あなたのお母さんは草葉の陰でどう思ってるでしょうね!」
と言うともうとたんに激高する。
「ぼくのママはまだ死んでない!」
しかしとにかく言えることは、人と言い争いをしても虚しくなるだけなので、みなさんなるべく平和に生きましょう。粋がって自分の知らないことを得々と語るのは災いばかり招くので絶対にしない方が良いです。
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