2009-03-16
テレビの世界にもROIの波は押し寄せている
テレビの仕事をしている友人Mから聞いた話。
この2月まで、TBSで「悪魔の契約にサイン」というゴールデン枠のレギュラー番組があったのだそうだが、これが記録的な大敗に終わったらしい。視聴率はほとんど一桁で、たった9回の放送であえなく終了となった。最終回の視聴率は5.1%だった。
これだけならたまにあることなのだが(「巨泉の使えない英語」というのがよく例として語られる)、この番組の特筆すべきところは、放送開始直前まで(あるいは始まってからも?)スポンサーが全くつかなったことだそうだ。
理由はタイトルにあるらしい。Mが言うには「今時『悪魔の契約にサイン』という不吉なタイトルの番組にお金を出すようなおめでたいスポンサーはいないですよ」ということだった。そして「それに番組が始まるまで気づかなかったTBSテレビの編成は、テレビのある種の終末的状況を象徴するトンデモ事例として、後々まで語り継がれるのでしょうね」と言った。
それから、今度はテレビ東京の「カンブリア宮殿」という番組の話題になった。これは、「悪魔の契約にサイン」とは逆に、スポンサーが引きも切らないのだそうである。視聴率は特別良いわけでもないのだが(たいていは一桁である)、スポンサーは喜んでお金を出すらしい。
なぜか?
ROI(=Return On Investment〔投資収益率〕)が良いからだそうだ。この番組をスポンサードすると、目に見えて売上げが上がるらしい。
逆に今、視聴率はあるのにスポンサーがつかなくて苦労している番組も多いという。名前は伏せるが、おバカなタレントをたくさん出してバカ騒ぎするような低俗な番組だそうだ。
なぜか?
ROIが低調だからだ。スポンサードしてCMを流しても、売上げが伸びないのである。
なぜ伸びないかといえば、「言っては悪いですけど、そういう番組を見ている視聴者の金離れが悪いからなんですよ」ということだった。おバカタレントがたくさん出てくる低俗番組を見ている人は、あまりお金を使わないのだそうである(お金を使わないからそういうテレビを見ているという状況もあるらしい)。
ここに、テレビの抱えるジレンマが発生した。テレビというのは、今や「お金をあまり使わない人が楽しむためのもの」という性格付けが形成されつつあるのだ。そのため、メディアとしてマーケティング能力が低下してしまった。それが、昨今のテレビ不況の一つの要因にもなっているとのことだった。
まとめ
テレビはこれまで、視聴率ばかりを追い求めるあまり、ROIをないがしろにしてきた。しかしそれは、結局お金を使わない人ばかりが楽しめるような番組を作るということにつながって、マーケティング能力は下がる一方だった。おかげでスポンサーはどんどん離れていき、昨今のテレビ不況の一つの要因となった。
そのためテレビも、これからは視聴率――つまり「どれだけ多くの人が見たか」ではなく、ROI――つまり「どれだけスポンサーした企業の売上げが伸びたか」ということを見ながら番組を作らなければいけない時代になった、ということだった。
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