2011-10-07
ジョブズ氏が教えてくれた「自分が顧客になること」の意味
スティーブ・ジョブズ氏が亡くなって思うのは、彼が徹底的な「顧客志向」だったことと、それによって成し遂げた成果の大きさだ。彼は徹底的に顧客のことを――それのみを考え、偉大な製品をいくつも作り、アップルを世界有数の企業へと押し上げた。
しかしこう言うと、異論を唱える人も多いだろう。曰く「ジョブズは自分が作りたいものを作っていたではないか」「自分の感性に従えと言っていたではないか」。
しかしそれは誤解である。ジョブズ氏は、自分が「作りたいもの」を作っていたのではない。自分が「ほしいもの」を作っていたのだ。つまり、制作者としての立場ではなく、顧客の立場で考えていたのである。
そして、顧客としての自分に、制作者としての自分を完全に隷属させていた。彼について書かれた本や記事のどこを読んでも、仕事人として楽しそうな姿は伝わってこない。それとは逆に、厳しく、つらく、心楽しまず、しかしそれでも「やらなければならないこと」を、使命を持ってやり続ける、一心で真摯な様子が伝わってくるのみだ。
ジョブズ氏は間違いなく「やりたい」ではなく「やらなければならない」という気持ちで仕事をしていた。そして人間は、この「やらなければならない」という心象になった時に、一番いい仕事をする。「やりたい」では足りないのだ。
もし本当に仕事で成果をあげたいのなら、「やらなければいけない」ことをしなければならない。仕事が楽しいようではいけない。つらく、厳しい――それくらいがちょうどいいのだ。
そしてぼくも、そういう仕事をしていきたい。何かを書く時は、自分が書きたいのではなく、読みたいもの書いていこうと思う。そうしてそれは、書かなければならないものでもある。なぜなら、ぼくがそれを書かない限り、読むことができないからだ。
- 作者: 岩崎夏海
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2011/10/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 70回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
