摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

芦別岳(1727m)・・・中編・・・・・・2015年9月24日

午前9時20分。ユーフレ小屋からは、3時間30分もかかって、

芦別本峰を正面に見る場所まで来た。タイム的にはかなり遅い。

北尾根を辿って、山頂に向かうので、写真は逆光となってしまう。

残念ながら、実際の迫力の半分も表せていなくて、とても残念だ。

北尾根はアップダウン激しく、体力を消耗すると聞いていたが、

此処から見る限りは緩やかに見える。15分ほど大休止を取る。

歩きだすと、いきなり尾根上に湿地が現れた。ガイドブックや

ネットの記事から険しい尾根と思っていたので、やや面食らう。

振り返ると、落葉したダケカンバの林が美しい。気温は20度位。

笹原を分けて登るが、登山道は良く踏まれていて迷うことはない。

空には秋の雲、まだ日は差しているが、少し雲が多くなってきた。

北東に十勝連峰が望まれる。薄く噴煙が見えるのが十勝岳だろう。

北尾根上の笹原に、登山道が一筋の切れ込みとなって上っていく。

這松、灌木、笹原が交互に現れる。鞍部越しに芦別岳本峰を望む。

一時間も歩くと灌木の背が低くなり、眺めも次第に良くなってきた。

この山の道標は極めてシンプル。頂上まで何キロとか分から無い。

北海道では少ないアルペン的な山容で知られる、芦別岳なのだが

その姿は旧道を登らねば見れない。新道からは全く別の山のよう。

ユーフレ川から、山頂へ突き上げる岩稜帯を間近に見る所へ来た。

此処で鞍部へ下り、その先、何処をどう歩くのか見当もつかない。

10分ほど小休止し、行動食を口にした後、鞍部への下りに掛る。

どれだけ激しいアップダウンがあるのかと、ビクビクしていたが、

意外なことに、直ぐ緩やかな尾根筋になった。まだ先なのかな。

何となく山頂まで、大きなアップダウンは無いような気がしてきた。

旧道は、疎らに道標がある他、ピンクのテープが設置されていた。

岩稜帯を行くと言ってもこの程度。足元が砂利で石車に注意する。

2か所程両側が切れ落ち、一昨日のような強風時は、恐ろしい

と思う所はあったが、今日は無風。特に問題なく歩いて行ける。

旧道は西から回り込み、針状だった山頂が堂々たる岩峰となる。

ちょっと一息入れたいところだが、写真だけ撮って歩き過ぎる。

崖際の道が崩れたのか、這松の密生帯を切り開き道としてある。

枯れた這松の幹を、手掛かり足掛かりに登る。今日一番の急登。

這松の密生帯を登りきり道に出ると、一段と山頂が近くなった。

山頂には二・三の人影があり、嬉しかったのか家族が手を振る。

すると山頂からも、我々が見えたようで手を振り返してくれた。

もう岩稜は残っていない。山頂まで緩やかな高原を歩くのみ。

この辺りは、ヒグマが良く見かけられる所だが、気にしてない。

山頂岩塊にも九十九に道がついており、手を使わずに登れる。

ガイド本から険しい印象のあった北尾根だが、やや拍子抜け。

だが長さは、歩くのが遅い我々にとっては、充分に厳しかった。

午後12時12分。ユーフレ小屋を出てからは、6時間20分。

昨日の登山口から小屋までの時間を加えると、8時間30分。

最後まで登れるのかと不安を抱きつつ、芦別岳山頂に至る