2011-02-08
小さな希望
ハハ業 |
「江」も終わって、もう寝るよと電気を消し布団に入る。背中をとんとんしたりして、オシメ様を寝かしつけにかかったときだった。「オシメ、ここにいたい」。突然、オシメ様がつぶやいた。意味を捉えかねる。こことはどこだ。暗闇の中、オシメ様の目ばかりがやたら大きく見えた。幼いころ、布団に入るといつも死ぬことを思い泣いていた。オシメ様もそうなんだろうか。「いたらいいよ、お父ちゃんとお母ちゃんのまんなかはオシメの場所やん」と声をかけると、にっこり笑って抱きついてきた。
少女のころ「私はここにいる!」と大声で叫ばずにはいられないほど果てしない自己顕示欲と、「私はここにいてもいいの?」と問いかけずにはいられないほどとめどない自信のなさに苦しんでいた。今になったからこそ、あれは苦しんでいたんだなとわかる。当時は苦しんでいることすら気づかなかった。親や先生、友達に相談したら解決するかもしれないなんて思いつかないほどに、悩みだとは認識していなかった。考えるのをやめてみたら楽になったけど、すっかりノンポリになった。大人になるということとは少し違う。
「ここにいたい」という小さな希望。ここがどこであろうとも、オシメ様はそこに「いていい」。そして、オシメ様がそこに「いること」を私はちゃんとわかっていよう。変な苦しみに、しおれてしまわないようにこの小さな芽を育てていこう。
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