意識はあと知恵

超老人の壁

養老孟司さんと南伸坊さんの対談を読みました。
80歳と70歳で、こんな風でいられるのっていいなーと思います。
こちらは池谷裕二さんの本や、岡野先生の本にも似た内容がありましたが、意識はあと知恵というお話です。

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養老 ・・・例えば、「水を飲もう」と思うと、普通は「水を飲みたいと思ったから、水を飲む」と思うでしょ?ところがね、脳からみるとそうじゃないんで、「水を飲みたい」と思うよりも前に、脳みそが水を飲むほうに向かって動いているっていう話なの。だから、水を飲むほうに向かって脳が動き出したから、「水を飲みたい」っていう意識が発生するっていうんですね。

南 最初にその、水を飲みたいって思うんじゃなくて、それより前に、脳みそが水が飲みたい方向に行っている。

養老 水を飲むときにね、飲むっていう行動が起こるでしょう。その行動の前提になる行動が、脳の中で起こる。

南 はい。

養老 だから、実際に手が出る前に、この筋肉を動かす神経細胞があって、その神経細胞に、脳から刺激が行く。その脳が刺激を送っている細胞に、他の脳の細胞が刺激を送っている。そういうふうに、何段階にもなってるから、ある体の動きについては、今、かなり手前から観察することができるんですね。
 一番手前の部分は、本人がその手を動かそうと思うよりも前から、もう動き出しちゃってるってことです。思うっていうのは、意識でしょ。意識が発生する以前に、神経細胞のほが先に動き出してるっていうこと。

南 無意識にやっちゃったんだってよく言いますけどね、言い訳で(笑)。

養老 だいたい0.5秒の時間差。で、意識のほうは、自分が手を動かしたっていうふうに思ってる。意識って遅れてるのよ。意識っていうのは、いわば、「あと知恵」なんです。