愛宕の家

畑は葉っぱばかりが茂っているが収穫できる作物がないシーズン。母に言われて朝飯用に近くの市場に出かける。朝市は終わり通常の店舗はまだ開店前で閑散とした雰囲気だけど、大須牧志のようにとりあえず店舗数も多い。残り物らしい見たことがない紫色の大きなオクラが並び、店番のおばあさんの期待の入ったようなそうでもないような視線を感じながら通り過ぎる。トラックを横付けして反物を仕入れ中の問屋があったり、お風呂やさんがあったり、でも買いたい野菜を買える店が無くてどうしようかな…とうろうろ。

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お笑いライブの練習中。私は外部の人らしい。大学生のころバイク事故で亡くなったクラスメイトが、そのイベントを仕切っているメンバーらしく、言葉は交わさないが よっ という感じで少し離れたところで立っている。大声で客と掛け合いをする出し物で、ルールが分からないと突っ込むと芸人達が親切に教えてくれる。本番のライブを、観客席の端から あ、あれだ とちょっとうれしい気分で見ている。
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電車を降りる。ホームの屋根のさらに上から木が覆い被さってくるような緑深いところにある小さな駅。プラットホームの端の、砂粒が浮いて黄色っぽくなったコンクリートの階段を下りて線路の上を歩いて渡る。