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本とカロリー(ネタバレしまくり)

2011-10-21

[]追記 老ローズが誰にも語らなかった秘密

先の日記で『タイタニック』について散々書き、

もう一度映画を見返したところ、また発見してしまったことがあったので、

今回追記として書いておきます。

いやぁ、本当に見るたびに発見がある映画ですねぇ。

読解の余地がある作品というのは、何度見ても飽きません。



トレジャーハンターがタイタニックを調査。

しかし目当てのル・クール・ド・ラ・メールは

引き上げた金庫の中には入っていなかった。

代わりに見つけたのは、求めていたダイヤモンドを身につけた女性を描いた絵。

絵にはタイタニック沈没の日である1912年4月14日という日付と、JDのサイン。

JDはもちろんジャック・ドーソンのイニシャル。

そのニュースをテレビで見た老ローズはトレジャーハンターに連絡。

絵の女性は私である、と告げ、ヘリコプターで調査船へと向かう。

タイタニックの沈没について話すよう促される老ローズ。

「覚えていることだけで構いませんから」と言われると、

「全部聞きたくないの?」と返した。

そこから物語は始まるのだが、「すべてを話す」と言いながら黙っていたことが一つだけあった。

それは、目の前にいるトレジャーハンターたちが血眼になって探している

ダイヤモンドを自分が持っているということ。

キャルが羽織らせたコートのポケットの中にダイヤモンドがあることに気づくシーンは、

トレジャーハンターたちと一緒にいるときではなく、

老ローズが一人で調査船の甲板に出ている時にカットインされる。

つまり、トレジャーハンターたちには意図的に語っていなかったのだ。

そしてその直後、老ローズはダイヤモンドを海に沈める。

老ローズが「女性は海のように謎を秘めているの」といたずらっぽく言ったとおり、

トレジャーハンターたちはまんまと騙されたわけだ。

ダイヤモンドの行方は老ローズの死と共に永遠に失われた。

老ローズは先が長くないことを悟っており、

ニュースを見た時から、調査船からダイヤモンドを海に沈めるつもりでいたのだろう。

前の日記で書いたように、ローズにとってあのダイヤモンドは、

「ジャックとの永遠の思い出の品」であり、絶対に他人の手には渡って欲しくないものだ。

(先の日記で書いたように、ローズにとってそれは「キャルからの贈り物」ではない)

家に保管しておけば、死後誰かが必ずそれを見つけてしまう。

「沈没したタイタニックにダイヤモンドが無かった」ということが知れた今、

そこは一番都合のいい隠し場所である。

そこに鎮められたダイヤモンドは、

もう誰の手にも渡ることのない「思い出の品」となったのだ。

「海のように謎を秘めている」という言葉と、

ル・クール・ド・ラ・メール(大洋のハート)は対応している。

ローズにとっての秘密とは「ジャックとの思い出の品」としてのダイヤモンドだった。

その存在は、トレジャーハンターにはもちろん、家族にも一切語らなかった。


なお、生還してニューヨークに着いた時、名前を訊かれたローズは、

「ローズ・ブケイター」ではなく「ローズ・ドーソン」と答えた。

これはジャックへの愛を示すだけでなく、

キャルや母ルースとの永遠の決別を示すものだ。

冒頭で老ローズは「ローズ・カルバート、旧姓ドーソン」と紹介されている。

奴隷船同様のタイタニックから生還しても、

ローズ・ブケイターである限り、窮屈な生活が待っていることには変わりがない。

(キャルとの婚約を破棄したとしても、母と共に生きる以上、

第二第三のキャルが現れ、地獄のような生活が続くことは必至)

そこでローズ・ドーソンとして生きる道を選んだのだ。

彼女が三等客しかしない甲板にいたのは、キャルの追跡を逃れるだけでなく、

庶民として生きていくことを決意したからだ。

「ローズ・ドーソン」と答えた直後、ローズは自由の女神を厳しい顔で見つめ続ける。

これからは自由なのだという喜びを噛みしめるとともに、

それだけに厳しい道が待っていることへの覚悟を決めていたのだと思われる。

当然不安もあるだろう。ジャックはもういない。

ジャックから唯一贈られた絵もタイタニックとともに沈んだ。

しかし、ポケットには偶然ダイヤモンドが入っていた。

これは「ジャックとの永遠の思い出」であり、「ジャックとの唯一の思い出」だ。

おそらく、彼女はこのダイヤモンドを見るたびにジャックを思い出し、

自身を鼓舞し続けたことだろう。

彼女はジャックの姓を名乗り、ジャックとの思い出を手にしながら、

人生を謳歌したのだと思う。



これで終わりです。

『タイタニック』に読解する余地はさすがにもうないと思います。

なお、来年2012年はタイタニック沈没から100年であり、

それを記念(?)してか、3D版が劇場公開されるとのことです。

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