看護休職など

今年の四月に、1歳になる下の子供が心不全を起こしました。心臓の不調による喘ぎと咳を、喘息と誤診され悪化した結果、緊急入院、二度の心臓手術を経て、ようやく一命を取り留めました。
前期の特に初期、担当した講義の学生さんには「急な休講があるかもしれません」とお伝えしましたが、「この子が生き延びる可能性はどのくらいあるのですか?」と尋ねても、「最善を尽くします」としか答えてもらえないような時期、「いつ手術の同意が必要になるかわかりませんから、呼んだらすぐに書類にサインをしに病院に来てください」と言われている時期と、前期の始まりの最も忙しい時期が重なったのでした。
集中治療室で1歳の子供が意識のないまま2ヶ月も眠っているのを見続けるのはただただ苦しく、さして何もしておらず、横に座って指先を握っているだけなのに、なぜこんなに疲れるのか、と毎晩次の日の授業の準備を終えるとぐったりしたものでした。それでも、ありがたいことに、今、子供は笑ったり動いたりすることが普通にできる状態で私たちの手元にいます。5歳までの生存率は日本のお医者さんによると4割(もっともおそらく今は薬が発達してきているので、もう少し高いだろうとのこと)、イギリスのお医者さんによると6割ということで、決して楽観できるものではありませんが、とにかく今、彼が私たちと一緒にいる時間を与えられたことに感謝しています。

今回のことでは本当に多くの方に支えていただきました。
失敗率が20%の手術を無事に成功させ、その後もこまめなケアで子供の命を救ってくれた病院のスタッフには感謝の言葉もありません。
様々に支えてくださった同僚の先生方、学会の運営でご迷惑をおかけすることになってしまった先生方にも、お詫びと感謝を伝えたく思います。今年はいただいた産休の分、ご恩返しをする年になるはずでした。本当にごめんなさい。
そして最後になってしまいますが、前期の間、授業を受けてくれた学生さん達にも感謝します。やる気のある学生さんの多いクラスに恵まれました。家族が生死の狭間をさまよっている緊迫した状況の中でも、あるいは、だからこそ、教場が刺激的な場所であったことに救われていたように思います。


さて、詳しいことはおいておきますが、後期からは看護休職をとらせていただくことになりました。
すべての授業の担当の先生をご紹介することはいたしませんが、ゼミは出産休職の時にご担当いただいた松永典子先生にお願いいたしました。
休職願いを出したのがまだ子供の意識が戻るか戻らないかという時期だったので後期一杯で書類は提出してありますが、延長願いを出す可能性も多くあり、先のことはわかりません。また、最終的に移植まで視野にいれた小児の心臓治療は日本では限界があるということで、現在治療のためイギリスに来ています。色々と環境が整っておらず、メールのお返事等、滞りがちになってしまっていますが、ご海容ください。