ひきこもりは純粋か?
映画「ビレッジ」。見たのは二回目だったのに、内容は忘れていた。それだけ前回見た時の印象が薄かったのだろう。しかし、今回見た時は文学を見るような、考えさせられるものだった。
村の長老エドワード・ウォーカー(ウィリアム・ハート)が「私は純粋でいたいんだ」と叫ぶが、殺人などの邪悪な犯罪で傷つく外界を遮断して彼らなりのユートピア、傷つかずにすむ幸せな村を建設できたのは、エドワードの「街一番の金持ちで、金儲けが上手いが、殺された父親」の遺産があってこそ「動物保護区」と称して警備員に外部から人が侵入しないように森と村を守ることが出来ているのではないのか。
不気味な遠吠えが響く「名前を口にしてはならぬもの」の影を恐れる村人の姿は、迷信を恐れる昔の人々もこうだったのだろうと思わせる時代錯誤だ。しかし、人間の恐怖心は現代でも私達を信憑性のないものへと不安を感じさせる。
ルシアス・ハントと、彼を愛するエドワードの盲目の娘アイヴィー・ウォーカー。この二人は、恐ろしくも忌まわしい獣の住む森を超えて街へ出ることを望む。こういう人は「新奇探索傾向遺伝子」が強く、こんな人が、因習に縛られた世界を変えてきた勇気ある人々なのだろうか。
アイヴィーを愛し、ルシアスを刺してしまうノア・パーシー。どんなに純粋を望んでも、人が傷つくのは避けられない。
それは人間の中に悪があるから。ポル・ポト政権が犯したナチス以上の犯罪を研究している方がTVで話していた言葉が忘れられない。
「ポル・ポトがしたことは、悪魔ではなく、人間がしたことです」
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