生きる

今月号ネタバレですよ〜
オケイの方のみ、スクロールどうぞ〜。


















SSS 生きる

寒い。
体内から流れ出た血が、共に体温を流していく。
寒い。
止血をしようと首を押さえた手に、力が入らなくなっていく。
寒い。
頭上で戦闘が起こっているのに動けない。
寒い。
息をするのも億劫だ。
寒い。
寒い
 
一瞬、意識がホワイトアウトした。
真っ白な世界はさっきエンヴィーにやられた傷の痛みも、今しがた斬られた首の傷の痛みも全て消し去り、穏やかで冷たい優しさに満ちていた。
後悔も、憎しみも、痛みも何もない世界。
きちんと大佐が私の合図に気付いてくれた喜びだけが残る。
彼には届いている。
通じている。
 
そう満たされかけた瞬間、不意に痛みが戻った。
無理に身体を引き起こされる激痛に、私は現実に戻る。
私を抱く男の体温が焼ける程に熱い。
「中尉!!」
私の階級を呼ぶ男の声がする。
「しっかりしろ、中尉!! 目を開けろ!!」
 
彼の声に私は愕然として、白い世界を突き放す。
そう、彼のオーダーは「死ぬな」、ただその一言だと言うのに。
魂の抜けかけた冷えた身体に、与えられる男の体温。
耳元で繰り返されるオーダー。
 
ああ、まだあの白い世界には行けない。
私は力を込めて息をする。
寒い。
寒い
 
それでも私はまだ彼の声をきいているのだ。
彼の熱をこの身に感じているのだ。
彼の命令がある限り、私は死ねない。
 
私は、死なない。
 *****
【ネタバレ感想】
 まさか原作で大佐のハグが来るとは。あの一コマのロイの「はー」っていう安堵の溜め息とあの表情に、泣きたい幸せを感じました。彼らの男女とか上官部下とか、そう言う括りを越えた絆というのでしょうか。プラトニック大好きっす。
それと、何より99pの殺しあいしそうな二人のアイコンタクトに激萌えました。命の瀬戸際で信じ合い、通じ合う信頼関係。絶対に「中尉」としか呼ばない関係。
あと、114pのリザさんのフニャッとした笑顔、大好きです。その前のコマのロイの顔が吹き出しで潰れているのがどうにも口惜しいのですが。
今、猛烈に『アマイヤマイ』の続編を書きたいです。(笑)