長い長い夏休みは終わりそうで終わらないんだ

夏休み最後の日、私はなぜか朝早くに目が覚めた。まだ電車も動いていない時間。寝床から抜け出し、じっとしておられずに、サンダルをはいてパジャマのまま外に走り出て、自販機でジュースを買った。特に飲みたかったわけじゃない。冷たすぎるジュースは3口飲んで飽きた。ゴミ拾いをしているおじさんと目が合った。朝焼けがきれいで感動した、ということもなかった。ただ早くに目が覚めたというだけであった。でも、そのときは全部が分かったような気がして、えらいことだよ、と思った。私は走った。何かの嬉しい予感で胸がいっぱいになっていた。ジュースがまずいということさえなにやら喜ばしく感じられ、そればかりか全ての汚いものでさえ喜ばしいような、世界が驚くほどに美しいもののように思えた。キラキラしながら走って部屋に帰ってきて、うさぎをかごの外に出してやった。うさぎは部屋の中を少し飛び跳ねた後、後ろ足を踏み鳴らして、教室の床の上に全力でスーパーボールを叩き付けたような非情な音を出して怒った。部屋の隅で数回怒った後、私の近くでまた足を何度か踏み鳴らし、小さなくしゃみのような音を出して怒った。うさぎの無機的な音。なぜ怒られたのかは分からない。一気に体温が下がった。神様に怒られたような気持ちになって、怯えて小さく縮こまり、おとなしく寝床に戻った。急に眠気が襲ってきて、次に起きたときにはもう昼過ぎだった。うさぎはかごの中でぼんやりしていた。飲み残したジュースはぬるくなって、ますますまずくなっていて、私は「これが人生というものなのだな」と思った。これが私の夏休み最後の朝の出来事です。