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ガイダンス等の予定

2014-01-31

パリ条約における客体の同一性

質問があったのでお答えします。
パリ条約による優先権ですが、パリ4条Aにより規定されています。

ここで、第1国出願Xと、第2国出願Yとの客体の内容についてよく質問があります。
すなわち、出願Yに記載されている内容について、特許の場合はパリ4条Hに規定があります。

出願Yに記載されている内容のうち、出願Xに記載されている部分と同一の箇所については優先権を認めるということです。この場合、出願X=出願Yである必要は必ずしもなく、出願X≧出願Yとなっていれば良いのです。
「出願Xがイ、出願Yがイロ」という例は考えられます(この場合イについてのみ優先権が認められる)。
しかし、「出願Xがイロ、出願Yがイ」というのはメリットも薄いですし、あまり想定できないので出題もあまり有りません(この場合もイについて優先権が認められる)。
分割出願・変更出願は客体が同一(新しいものが含まれてはいけない)ので、その扱いと混同しないことが必要です。

さて、特許は規定があるのですが、商標においてはパリ条約に明確に規定がないので、各国の運用となります。
例えば、出願Xが指定商品「イ」、出願Yが指定商品「イロ」と出願した場合です。

日本の場合は、出願全体に優先権を認めないと運用しています。商標審査便覧15.01に「優先権が認められない出願の取扱い」という規定があります。

 出願人が優先権を主張して商標登録出願してきた場合において、優先権主張の証明書に記載のある商品又は役務がその出願に係る商品又は役務中に含まれない場合、又は優先権主張の証明書に添付の商標がその商標登録出願の商標と一致しない場合には、その出願は優先権を有する商標登録出願とは認められないことから、その優先権主張に係る商標登録出願を通常の商標登録出願として処理するものとし、商標登録出願人に当該優先権の効果を認めない旨及びその理由を通知する。

平成24年の過去問で問われている箇所となります。
ただ、この規定を知らなくとも論文的には問題無いと思います。
明らかに、基礎出願に含まれている部分については優先権が発生していません。
したがって、当該指定商品については、他人の出願とバッティングする訳です。
そのことをあっさり記載すれば十分かと思います。