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未発育都市

2014-06-05

「コンパクトシティ」が都市を滅ぼす――暴走する国土交通省(PART2)、そして何もなくなった


先月、地方都市で医療施設や商業施設を街の中心部に集めて「コンパクトシティ」を推進する「改正都市再生特別措置法」が成立した。エリート揃いの総務省とは違って、どうやら国土交通省には頭の弱い人しかいないようだ。国家官僚らは論理とシビアな現実認識を重んじなければならないのに、国土交通省は「コンパクトシティ」にセピア色の夢を見ているようだ。だが、そろそろ起きたほうがいい。

ちなみに、僕は「改正都市再生特別措置法」が成立した翌日に「都市集約によって市民は困窮する――国土交通省の「改正都市再生特別法」の非情」という記事をブログに書いた。タイトルに入れた「暴走する国土交通省」のPART1はこの記事だ。他にも「「コンパクトシティ」の創設は税金の無駄遣いである」という記事も書いている。

さて、約1年半前の話からしよう。これは秋田市で現実に起きている、せつなくて悲しい話である。2012年9月、イオングループの「イオンタウン」が秋田市の郊外に大型ショッピングセンターの出店を計画していることが明らかになった。この計画に秋田市の中心部(秋田駅周辺)の商店街が反対したのは言うまでもない。

更に、秋田市は郊外の開発を抑制して中心部に各種施設を集める「コンパクトシティ」構想を掲げていた。この「コンパクトシティ」構想の中核となる施設の一つが市の中心部に15年の歳月と135億円の事業費(そのうちの約110億円は公費)をかけて建設した「エリアなかいち」であった。この施設には店舗(中核テナントは「サン・マルシェ」)、美術館、交流館、広場、住宅、駐車場等があり、2012年7月に開館したばかりであった。この施設の事業主体である再開発組合の理事長は、郊外に「イオンタウン」が建設されたら客足が奪われるとして、秋田市にこの計画を許可しないよう要請した。この計画は現在も頓挫したままである。

だが、事件は半年前に起きた。2014年1月、「エリアなかいち」の商業施設の中核テナントである「サン・マルシェ」が賃貸借契約を解除して撤退する意向を表明したのである。売り上げが伸びず、赤字が続いていたからである。そして「サン・マルシェ」は同年3月末に撤退した。代替テナントはまだ決まっていない。更に5月中旬には青果店、鮮魚店等のテナントの撤退も相次いで、売り場の空きスペースは約4割にも達した。そして昨日(2014年6月4日)、「エリアなかいち」を管理・運営する会社の社長ら非常勤取締役7人が揃って辞任したのであった。

要するに、秋田市の「エリアなかいち」は青森市の「アウガ」の二の舞になったのだ。青森市も「コンパクトシティ」構想を掲げていて、この構想の中核となる施設の一つが市の中心部に建設された「アウガ」であった。だが、思うように客足が伸びず、2008年に事実上の債権放棄に陥った。秋田市は青森市と同じ失敗を繰り返しているのである。

これが秋田市で現実に起きている、せつなくて悲しい話である。ポイントをまとめると、秋田市は市内の郊外に建設されるはずだった大型ショッピングセンター(「イオンタウン」)の出店を許可しなかったにも関わらず、街の中心部の活性化(「コンパクトシティ」)の切り札であった施設がわずか2年も経たぬうちに失敗した、ということである。つまり、秋田市の市民は何も得ていないのである。「イオンタウン」も「コンパクトシティ」もどっちも得ていないのである。このままでは秋田市は全てを失うことになるだろう。「そして何もなくなった」では遅い。秋田市は「コンパクトシティ」を諦めて「イオンタウン」の建設を許可するべきである。国土交通省の言いなりになる必要はない。


(画像を追加した。2014/6/6)

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Google ストリートビュー(撮影日:2012年10月)より。

Argus AkitaArgus Akita 2014/06/09 20:01 お邪魔します。
拙blogに紹介コメントがありましたので拝見しましたが少々一面的な見方に思えます。
秋田県や秋田市の財政を考慮すると今以上に郊外への拡大を目指した場合、道路、上下水道、冬季の除雪、ゴミ収集といった行政コストが掛かり増しになり、既にそれに耐えられる自治体ではないように思えます。合併特例公債も新市庁舎建設のために消えますし。残りは新文化施設に消えるでしょう。
行政コストが増えればそのツケは住民に回ってきます。

コンパクトシティを意図的に(積極的に)目指してイオンタウン進出を不許可(まだ決定ではないように思えますが・・・)なのではなく、財布具合からして(駅前に拘らずに)中心部に行政コストを集中しないと今後やっていけなくなる恐れがあるため許可"できない"というのが実態のように思えます。
どの道、間抜けな行政の遅すぎる判断がこのような状態を生んだことには間違いありませんが。

みなとみなと 2014/06/14 01:21 はじめまして。
興味深い記事を読ませていただきました。2年もたたずに失敗した再開発に対する指摘はごもっともと思います。
ただ、実際秋田に住んでこれらの施策をいろいろ見てきた市民としては、ちょっとちがうのではないか、と思う点もあります。
コンパクトシティの問題についてはArgus Akitaさんがご指摘れている通りで、郊外部ではバスの運行すら廃止が相次ぎ、これ以上町を広げられない状況にあることは市民の多くが実感として感じていることだと思います。国道交通省の押し付けというよりほかに選択肢がないのだと思います。ただでなくても市街地がだらだら無秩序に広がっていますので。
また、なかいち再開発についてはコンパクトシティの問題というより、マーケティングや企画の問題だと思います。私も何度か利用はしましたが、首をかしげるような内容でした。なぜあそこに今更お値段高めのスーパーや韓国コスメなのかと・・・。
美術館などの企画展の影響で人が増えたのは確かなので、なかいちの失敗は単純に「お役所仕事」が原因だと思います。

イオンタウンの進出も、コンパクトシティが云々は口実で、実際は一部の地元商工関係者の現状を顧みない反対が原因と聞いています。客層や扱う商品が全く異なるのに、客がとられるということで反対しているそうで個人的には全く説得力のない反対理由だと思います。
ほぼ同規模の盛岡市が地形的な理由で市街地をあまり広がらせない結果、新規のロードサイド店の集積地と旧来の市街地とのバランスがそれほど崩れていないことを考えると、秋田のようにあまりだらだら街を広げるのも考え物だと私は思っています。

andoando 2014/07/12 19:42 >Argus Akitaさん

>拙blogに紹介コメントがありましたので拝見しましたが少々一面的な見方に思えます。

彼は「コンパクトシティ叩き」をするときはいつもこんなもんですから、精々彼が指摘している問題点がある程度でいてよろしいかと

ツイッターでも交通弱者のための論理は不要であるかのようなことを言ってましたが、最早高齢者はごく少数の人たちに過ぎないわけはなくて社会の金成を占める多数派であること
まず、自分が高齢者になるという基礎的な想像力もないのかなあ、コンパクトシティを叩けさえすればいいのかなあとだんだん幻滅してきました。
(あと、18歳以下の免許を取れない学生もですけどね)

東京叩き記事でも高齢者を「コスト」「負担」としてしか見てない視点も正直どうかと思いますが

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