まるで動いて見える絵画   〜 ホドラー展 (兵庫県立美術館、神戸市) 〜

いつだったかEテレ日曜美術館で紹介されていた画家ホドラー
絵画をテレビで見た時 力強い絵だと思いました。

フェルディナント・ホドラーはスイス生まれ。

日本とスイスの国交樹立150年を記念して、
国立西洋美術館が終わり 今は兵庫県立美術館
4月5日(日)まで ホドラー展」が開催されています。

日本での開催は40年振りだそうです。

(写真はポスターやポストカードを撮影しています)






ホドラーは執拗にリズミカルな構図を追い求めました。
じっと絵を眺めていると 描かれた人物が動いて見えてくるので不思議です。


ねっ!






特に左の女性のリアルな動きがいいです。





わたしの一押しはこれです。

まるであと一息で木を倒してしまいそうな動きが感じられます。

この 「木を伐る人」 は20世紀前半にスイスの
50フラン紙幣の裏面に描かれました。
その表面はホドラーが描いた女性の肖像でした。





”静” である自然の中にも ”動” を感じていました。
同じように力強くリズミカルに描かれています。


ホドラーは貧しい大工であった父を幼い頃に失くし、
その後再婚した母は結核で14歳の時に死んでしまいます。

極貧の中にいたホドラーは ”死”を強く植え付けられ、
暗く死をテーマにした絵をたくさん描いています。

今回20歳年下の妻が亡くなった時の顔が描かれたものが
展示されていました。

”動” を追い求めたホドラーですが、”死”が訪れれば 
とたんに”静”になってしまうことを鋭く、切なく描写しています。

逆に ”生きている”ということは リズムがあるということです。

彼は若い頃 観光客用の絵を描いて生計を立てていた時に
その才能を見い出され、芸術の世界に入っていきました。

気付いてくれる人がいなかったら 迎合した絵を描くただの画家で
終わっていたかもしれませんが、才能があったからこそ 運を
呼び寄せることができたとも言えます。