061 村上春樹『東京奇譚集』

久しぶりに村上春樹を読んだ。村上春樹の話はさりげなくけっこうひどい。しかも、そのひどさが主題なわけではなくて、中心はもっと別のところにある。
具体的な地名や固有名詞が出てくるのに、服装などの描写も細かいのに、登場人物の顔がおぼろげである。
村上春樹は中高生の頃好きで、大学で読み直したら嫌いになって、今また読んだら違う感想を抱いているらしい。

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)

062 樺山紘一『地中海―人と町の肖像』

古代から18世紀に至る、地中海世界に生きた人々12人をめぐるエッセイ。「イブン・ルシュド」とか「マイモニデス」とか覚えたなーという程度の知識しかないのでけっこう苦しい。格調高いのかけっこう難しい語り口だと思う。

地中海―人と町の肖像 (岩波新書)

地中海―人と町の肖像 (岩波新書)

063 村上春樹『雨天・炎天』

ギリシャ正教の聖地アトス山で散々な目にあい、トルコ四駆走破で散々な目にあう旅行記。まあ、日本から遠く離れて辺境を旅行すればこれくらいの目には遭うであろう、という日本人の旅行者のリアリティがあった。村上春樹の小説の文章と違って、えらく素直な印象を受ける。トルコに関してもアトス山に関してもそんなに予備知識があるわけではなく、旅行後にそれを特別に補強して書いたわけでもないようだ。知識を開陳するのでもなく、旅先のすばらしさを押し付けるわけでもなく、新鮮な旅の本だった。たいていどちらかだと思うから。小説を読んでいるとジャズの話がたくさん出てきたり、アメリカの小説家の名前がさりげなく会話に混じったりといけ好かない感じだけどそういうのはほとんどない。あるのは見知らぬ世界で右往左往する日本人の姿だけで、むしろ好ましかった。

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)

トルコ料理屋

取り付かれたようにトルコ情報を集めていますが、東京に来てから2つトルコ料理屋に行ったのでメモを。

例の如くベリーダンスも見れます。わたしが行ったときはやっていなかった。なすの何かがおいしかった。サービスのいいトルコ人のお兄さんがいる。

パンがおいしかった。割と落ち着ける感じ。
名古屋に帰っても行ってみたいなあとネットさんに聞いたらこんな情報があった。

誰と行けばいいのだろうか。女二人で行くような店ではなさそう。

まさかとは思ったけど

『イラク−狼の谷』の感想で、結婚式にアメリカ兵が乗り込み死者多数というエピソードがあったと書いた。いやまさか、そりゃ誇張ではないか?と思ったのだが。映画では、警備の暇をもてあました米兵たちが、祝砲を聞いて「来たぞ、テロリストだ!」と半ば狂喜しながら乗り込んでいく。現実ではどうだったのかは分からないけど、アフガニスタンで結婚式で集まった民間人を誤爆して死者が出るという事件があった。

これこそイスラム圏の新聞が読めたら状況がもうちょっとよくわかるのだろう。こういうことが頻発していれば、あの映画の中の描写も説得力を持って受け止められると思う。

064 内藤正典『トルコのものさし 日本のものさし』

小・中学生向けなので読みやすい。異文化理解とはどういうことか?という視点から、トルコの諸問題が語られる。一気に何冊も本を読んでこの本の内容を忘れたのだが、ヨーロッパに対する視点のところにはうなずいて読んだ(と思う…)。トルコはいつかEUに入るのだろうか?トルコ人にとってそれがすごくよいことなのか。ことごとく西洋化しているけれど、宗教も違うし文化も違うし、今後どういう態度でヨーロッパ(やアメリカ)と対峙していくのか興味深い。