パテ ド カンパ―ニュ

パテ ド  カンパ―ニュ (Pâté de campagne)=田舎風パテ

いろんな作り方があるこの料理は本来はフランス家庭料理であり、ファルスには豚のタン元を使い(ファルス・フィーヌ) 豚レバーのペースト(ファルス・ア・グラタン) 肩ロース等々 要するにメインの料理にあまり使わない部位で構成されるものです。


日本の場合は 肉文化ではなく 宗教上の理由で古来魚文化であったわけで しかも米文化なわけで
中々 どうして 豚肉を一頭 無駄なく料理する技術というものは無かったわけなんです。
沖縄に関しては そこそこの技術はありますが フランスの比では無いわけです

さて…この料理の僕の視点でみる大切な事がいくつかあります。

一つは作ったものが長期保存ができる事
一つは複合的な味でえぐみが無く滑らかなものでなくてはならないこと
もう一つは保存時間の経過による熟成によって味が変化しなくてはならないこと…です。


長期熟成を再現する為にはマリネした野菜をファルスに加える事は厳禁です
それでコストは下がり安価のパテを販売する事は可能になりますが…これからお話する味にまで至りません。


次にえぐみが出ない様に材料を選定して下処理をしなくてはいけません。
白レバーは鶏の肝臓ですが脂肪肝のものです。
いわゆるフォアグラと一緒の考え方であります。
取り扱う際には、血管を取り除くデゴルジェと血抜き処理の流水処理と臭み抜き処理の牛乳マリネと言う複数の下処理が必要になります。

次に豚肉ですが赤身と脂身のバランスが食感を左右します。
そして、豚肉特有の臭みやえぐみは後味に不快感を与えます。
えぐみが多い豚肉を使えば、長期保存時にそのえぐみは増して行きます。
腐ってはいませんが何とも言えない不味い味になって行くもので質の良い豚肉を使用しないと長期保存のパテは実現できません。

そこで生後すぐ去勢し木酢融着させる為に地養素を使った地養豚と言われる豚肉を使用することにしました。
市場で安定的に入手でき非常に豚肉特有のえぐみが無い質の良い豚肉であるという事で採用しています。

次に大事なものにマリネする液になります。
風味を豊かにする他に必要なものですが、長期保存のパテを作る場合には殺菌効果もあるアルコール度数が高いお酒が必要になります。

僕はブランデーとマディラ酒とルビーポルト酒と東肥の赤酒を混合しています。

それに食塩とキャトルエピスとエルブドプロバンスとジュニバーペリーを混ぜて玉ねぎとニンニクと共にお肉をマリネしてから調理します。

もうひとつ、被服するのに必要な豚肉の網脂がありますが流水処理した後に希釈した酢水に浸けて殺菌および臭み抜きをします。

一連の項目にはちゃんとした理論の元で作業するわけです。
シャルキュトリーを作る場合は最悪の場合は、食中毒の危険がありますので理論をちゃんと理解して作業するという事は…とっても大切な事になります。

さて…調理に入りましょう。

まず、マリネが終わったお肉…ふっくらと仕上がります。

それを白レバーとお肉に分けます。

マリネ液は野菜と共に破棄します。

家庭料理とプロレシピーであるビストロ料理では違う事があります。
それはフォンドボーを使う事

300ccのフォンドボーを10分の1に煮詰めたものを使用します。
これをグラスドヴィアンドと言います。

これを使う事により味わう際に全ての素材に共通の旨味が加わり素材の融合感とか味の結束感とかが生まれて、パテの味に奥行きと素朴さと優しさが生まれます。
実に神秘的な魔法かけた様な深い味わいになるんです。
それが時間と共にさらに深くなっていきます。

お肉にグラスドヴィアンドを練りこんだらフードプロセッサ―に数秒かけて粗いミンチを作ります。

テリーヌ型に網脂を敷き

ミンチした豚肉を敷きます。

次に白レバーを敷き

ミンチした豚肉を敷きます。

網脂で包み

アルミホイルで密封して蓋をし湯煎にします。

さらに蓋をします。


160℃のコンベクションオーブンで100分加熱します。

網脂が収縮して透明な液体でパテが浸かっていたら完成です。

3日以上冷蔵庫でねかせてから提供を始めます。

2か月近く経ったものを25日に試食しましたが 問題なく今日 ブログを書いています。

長期保存が効くパテ ド カンパ―ニュと言う料理…中々 原価も 手間暇も 掛けているでしょ

ビストロと言う名前を名乗る以上 ちゃんとして行かないといけないと思う料理の一つだし…
大切にしている料理なんです。