山中湖行き(3)

 旅行最終日の朝。今日こそはいい天気で、富士
が見られるのではないかと期待しつつ、窓から外
を眺めると、山は完全に雲に覆われていて、おまけに
雨まで降っている始末。正直言って、少しがっかり
した。雨が降っているので、自転車は使うことが
出来ないし、夕方5時過ぎのバスまでは、まだかなり
の時間がある。どうしようか困っていると、宿の
主人が一言。「通り雨ですから、多分もうすぐに
止みますよ。あと少しだけ、出かけるのは待ったら
如何ですか?」という話だった。半信半疑だったが、
1時間もしないうちに雨が上がり、空も明るくなって
きた。これで、自転車で出かけることは出来そうで、
一安心。


 今日は、さらに足を延ばして、忍野八海の先にある
恩賜林公園の花が綺麗だということで、そこまで
行ってみることにした。
 10時半過ぎに宿を出発。本来ならチェックアウトの
時間だが、宿のご好意で、荷物を置かせてもらい、
バスの時間に間に合うように帰ってきて、バス停まで
車で送ってもらうことになった。本当に有難いこと
である。



 ところが、山中湖畔から忍野八海に向かう途中で、
俄かに天候が怪しくなり、とうとう再び雨が降り出
した。どうしようか迷った挙句、昨日寄った花の
綺麗な庭園の近くに小さな喫茶店があったことを
思い出し、そこまで濡れながらも走り続けた。幸い、
今日はカメラをバックの中に入れて持ち歩いていた
ので、カメラが雨に濡れるという最悪の事態だけは
避けることが出来た。D80には防塵防滴機能が備わって
いないので、濡れてしまうと拙いのだ。
 喫茶店で時間を潰しながら、雨の止むのを待って
いると、30分ほどで空が明るくなり、太陽も顔を
出すようになった。
 今日は、走る距離が長いので、直ぐに出発。忍野
八海を抜けて、富士吉田方面にさらに走ると、恩賜林
公園の看板が目に入ってきた。忍野八海までは比較的
平坦なコースだったが、恩賜林公園までは結構アップ
ダウンが多くて、自転車では結構きつかった。


 忍野八海と違い、恩賜林公園は静かで人影も疎ら。
でも、宿の主人の話していた通り、綺麗な花が沢山
目に飛び込んできた。
 今日は、折角持ってきたタムロンの90mmマクロレンズ
を試してみる積もりで、早速標準ズームレンズと交換
して、撮影してみた。





 昔のコマーシャルにもあったけれど、それこそ「私にも
写せます〜。」と言った感じ。素人の私でもこんな写真
が撮れるのだと、改めてタムロンマクロレンズの凄さ
を実感した。
 時間がまだあったので、再び標準レンズに交換して、
さらにあちこち撮影して歩いた。






 兎に角、面白いようにぶれないはっきりした写真が撮れて
いく。コンデジではおよそ考えられないことである。もっと
早くデジタル一眼レフにしておけばよかったとつくづく
思った。
 帰りは、坂を上ることが多くて、結構疲れたが、山中湖
の湖畔まで帰って来ると、ちょっとほっとした。午前中とは
全く違って、よく晴れていて、今日が本来の連休の初日と
いうこともあり、かなり車も出ていて、混雑していた。




 サイクリングロードからは、あと少しという感じで富士
が見えていたが、結局は全て完全に見ることは叶わなかった。
 フレアが出ることを承知の上で、富士を撮影してみたが、
まともに太陽が入ってしまうと、やはり具合が悪かったらしい。


丁度よい時間となったので、宿に戻って自転車を返し、預か
って貰っていた荷物を受け取って、予定通り高速バスのバス停
まで送って頂いた。
 カメラの練習と自転車の試乗、二つの目的は十分に達成出来
たので、今回の旅行には大いに満足している。富士の雄大な姿
を見ることが出来なかったのは残念だが、またの機会もある
だろう。横浜から2時間少々で来られるのだから、また時間
を改めて、来てみようと思っている。