セブン/ファンダンゴ/きっと、うまくいく 感想

・セブン

 やたら評判はいいのだがなんだかんだで手に取る機会の無かった映画。シロートの俺でも映像美が画面から漂ってくるようなスタイリッシュさに少し
感心した。犯人の心理を読み取るために参考資料を漁る手段が、今のようなインターネットではなく図書館というのも味があってよい。ただ、演出や描写は非常に優れているもののストーリーそのものは至ってシンプルだった。アメリカン・ビューティーのように身体の芯をびりびりとさせるような共感を得ることはできなかった。ただ──今更ネタバレも何もないと思うので書いてしまうが──ラストはどちらかといえばバッドエンドではなくビターエンドなのかもしれないと思う。何はともあれ、社会に諦観して引退を決めていた有能刑事がもう一度向き合うことを決意できたのだから。


ファンダンゴ
 
 最初はB級コメディ映画だと思っていた。オープニングで恋人との写真を引き裂く主人公のシーンからただのそれではないということが理解できたし、バカ騒ぎの最中に主要な登場人物のグループが和解していくなかでは、このあと戦地に向かうことになっている彼らの心情が伝わってきた。
特筆すべきは最後のダンスシーンからのスタッフロールにかけての流れ。最後の彼の総てを受け入れ、未練の存在を確認し、またそれを引きずっていくことになる覚悟をも決めたような笑顔は正に「男前」だった。まぎれもなく青春物語の傑作だった。

・きっと、うまくいく
 インドの映画。尺が長い。三時間半もある。ところがその三時間にありとあらゆるドラマを詰め込んで二転三転させてくるため飽きが来ない。古いアメリカン・ジョークを使ったシーンには冷笑させられたが、終盤でそのなかの一つを布石として昇華させたのには驚いた。劇中で流れる歌、All izz wellやGIVE ME SOME SUNSHINEも最高だった。本当に夢と希望が詰まった映画になっているのだが、ただ一つ文句をあげさせてもらうとするのならば、ストーリー的にジョイ・ロボにあそこまでさせる必要はあったのだろうかという点。