見直し?

 mudaidesud氏の記事経由で見つけた産経新聞の8月25日付けの記事
産経ニュース

 靖国神社が運営する戦史博物館「遊就館」が、館内で展示している第二次世界大戦での米国の戦略に関する記述の一部について、「誤解を招く表現があった」として見直し作業を始めたことが24日、わかった。この記述をめぐっては、遊就館歴史観に理解を示す言論人からも「一面的な歴史観」との指摘があり、同館としても主観的な表現があることを認め、内容を変更することを決めた。同館展示物の大幅な記述の変更は異例。
 内容を変更するのは「ルーズベルト大戦略」と題して、第二次世界大戦での米国の戦略について触れた部分。

 この記述では、まず「大不況下のアメリカ大統領に就任したルーズベルトは、三選されても復興しないアメリカ経済に苦慮していた」と当時の米国経済の窮状を説明。また、「早くから大戦の勃発(ぼっぱつ)を予期していたルーズベルトは、昭和14年には米英連合の対独参戦を決断していたが、米国民の反戦意志に行き詰まっていた」として、米国内に反戦世論があったことを紹介している。

 その上で、「米国の戦争準備『勝利の計画』と英国・中国への軍事援助を粛々と推進していたルーズベルトに残された道は、資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要することであった。そして、参戦によってアメリカ経済は完全に復興した」と表現し、米国は国内経済の復興を目的に対日開戦を志向したと解釈できる内容だった。

 こうした記述について、同館では4月ごろから見直しの検討を始め、7月ごろから本格的に見直し作業に入ったという。

 この記述をめぐっては、元駐タイ大使の岡崎久彦氏も24日付本紙「正論」で、「安っぽい歴史観靖国の尊厳を傷つける」と指摘、同館に問題の個所の削除を求めていた。岡崎氏は「早急に良心的な対応をしていただき感動している」と話している。

(08/25 03:56)

 私は靖国神社の前を通ったことはあっても境内に入ったことはないし、当然遊就館を見学したことはないので、展示物の内容についてとやかく言うつもりはない。
 ただ、日本近代の戦争をストレートに肯定した施設であるというのは聞いている。
遊就館の思想 - Arisanのノート

 そういった展示は正直無い方がよいとも思うけど*1、一般に公開している内容なのだから、それ相応の覚悟をもって展示していたと考えていた。

 しかし、この時期になって展示の内容を見直すというのは、小泉首相の8月15日の靖国参拝によって世界的に注目を集め、遊就館の展示に対する批判がアメリカからも出始めているためだろう。それに中国が各国の外交官に遊就館の見学を働きかけているといった動きも影響しているのかもしれない。
http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG36/20060810/54/

 アメリカの不興を買ってまで展示する覚悟がないのなら、最初からやらなければよかったのに。展示見直しの流れがよその国に知られたら、靖国神社のイメージは相当悪くなるだろうな。*2
 中韓には毅然として対応し、圧力には屈しないけど、アメリカ様には言われる前に直しておきますと思われて仕方がないじゃないか。

 反靖国の私にしてもかなり情けない気分になったんだが、靖国支持派の人たちはどう考えているんだろう。

*1:そのような考えを持つ権利も表現する権利も認めてはいるが、私個人としては不要であると考えている

*2:今でも戦争神社なんて呼ばれているのに