自家造血幹細胞採取を!


原発事故現場で奮闘する方を守るために、派遣前に自家造血幹細胞採取を! - Infoseek 内憂外患



東京消防庁の隊長の「部下を危険に曝して申し訳ない。隊員の家族にも。」と涙した記者会見は、世界でもほぼ同時に放送された。それを見た欧米の著名な血液学者の反応は、「なぜ日本では、危険を冒す人たちの幹細胞を採取・保存しないのか?」という意見で一致している。造血細胞移植を行う血液内科の現場では、採取・保存の準備を整えて待っている。自分たちが日常していることであるし、JCO事故の経験があるからだ。首相が「危険顧みぬ自衛隊員は誇り」と訓示したことが報道されているが、必要な対策を施すのが指揮官の務めである。勇を鼓するだけで目的を遂げられないことは、日本人は太平洋戦争で経験済みではないか。

作業時間が制限される現場で、制限を超える特別部隊が編成されるとの話も聞く。それが必要ならはすべきだし、臨界事故のリスクを考えれば志願する人もいるだろう。私自身でも志願したいくらいだ。ただ、自分自身が赴くのであれば、自分の末梢血幹細胞くらいは取って保存しておいてもらいたい。血液学者であれば、洋の東西を問わず誰もがそう思うであろう。

鈴木律朗

名古屋大学大学院医学系研究科 造血細胞移植情報管理・生物統計学