なぜローカル経済から日本は甦るのか

2年前くらいに買ったまま積読になってたのを読了。

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

地方に旅行なんかしていて、フラット化する世界というけどどう考えてもここはフラット化しないようなぁ、、と思うことがあったり、マーケットがボラタイルになってもこの経済圏に影響が及ぶのは相当先だろうなぁとか感じることがあったり、グローバル化にも限界はあるよな、と常々思っていたがその違和感にスッと入ってくる気がした。

以下、メモ。

プロローグ
少子高齢化に伴う人口減少は、生産労働人口の減少が先行し、総需要の減少は20年後くらい後追いでやってくる→製造業のような「モノ」は海外でも生産可能だが「コト」はその場にいないとできないので、構造的な人手不足が起きる
・地方では、売上高が横ばいかマイナスだが人では足りないという現象が起きている
・現在の経済・産業・労働政策は人手が余ってることが前提で構築されている
・日本のGDPと雇用のおよそ7割を占めるのはサービス業

1章
・Gから給料をもらってる人とLからもらってる人がいる
グローバル化が進むほどGから離れる人は増える
・グローバルで活動する大手製造業と残りの7割を占めるサービス業との間の連関がへってきている→リーマン期でも大企業の業績にあまり連動しなかったし、トリクルダウンは起こらなかった。逆に連関が大きい多時代であれば起きたはず。
・Gでは設備と知識の集約度を高めることで桁違いの生産性向上が可能。一方Lでは多くの人が働くが賃金は上がりづらい。その結果として格差が生まれやすい。
・政策的には、1. Gでの期待バブル 2. Gでの実際の成長 3. Lで実施する政策の効果を出す、という時間軸で考えることが必要

2章
・高度人材が気にするのは子供の教育
ダイバーシティの欠如が誤った判断につながる
・世界の100%を相手にするならそのルールでやる必要があるし、それをあきらめるなら8%にとどまるしかない
・PhD+MBA
・学者もセールスマンで世間との付き合いが必要だし実際にそれをしている
・Gの世界の企業の最重要KPIは資本効率性

3章
・中小メーカーは数が減っている。グローバル化の中を生きるには小さくてもチャンピオンを目指すか、大手メーカーのパートナーになるか
・ウエルズファーゴは地域密着が特色。フロントでは密度の経済性に忠実、バックオフィスでは規模の経済を利用
・構造的人手不足に直面しているローカル経済圏では労働参加率の向上が重要

4章
・労働参加率の向上が難しい場合は労働生産性の向上が重要
・人手不足に陥ったローカル経済圏で、企業の適切な退出を促すには、地域の金融機関・労働市場がカギ。

5章
・ローカル経済圏のキーワードは集約化。企業、雇用、人、公共サービスそれぞれを集約化することが求められる
・自己成長はGモードには健全だが、Lにはあてはまらない。公共サービス系の仕事が多いがそれらをとおして仕事への矜持をもって自分なりの幸福感を持つことがゴール。

エピローグ
・個人としては、GかLか、ではなく、それぞれを適宜使いこなして選択していくことが良い