かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

窪美澄著『ふがいない僕は空を見た』を読む。


ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)

ふがいない僕は空を見た (新潮文庫)


『雨のなまえ』がおもしろかったので、映画化もされた『ふがいない僕は空を見た』を読む。


これもおもしろくて、どんどん進む。


アニメの衣装を着て、若い奥さんと高校生が不倫をしている場面からはじまるので、スタート早々刺激的だが、そういう要素も含めて、人間の捉え方が魅力的だ。


窪美澄さんの小説は、人間を描くときに、男女の性欲をテーマの底辺に据える。新藤兼人監督の表現を借りれば、「生と性」を描く。大胆な描写にびっくりすることもあるけれど、必然性があるので、不快な感じはない。


5つの短編で、それぞれ登場人物の主人公が入れ代る。


どの一編もおもしろい。ストーリーだけでなく、人物と人物の関係性が意外な方向に発展していくのに、おどろかされる。