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2018-03-30

前田速夫著『「新しき村」の百年<愚者の園>の真実』を読む。

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新しき村」は、武者小路実篤提唱し、1918年大正七年)、宮崎県児湯郡木城村で(日向新しき村)スタートした。


その後、ダム建設のため、この土地の半分を失い、1939年昭和14年)、埼玉県毛呂山町(東の新しき村)に活動の中心を移し、今年で創立100年を迎える。著書によれば、ユートピアの実現例としては、異例の長寿だという。


武者小路実篤わたしは、高校生のころ知り、かたっぱしから出ている文庫本を読んで、一種武者小路実篤信者のようになっていた時代がある。そのころ、本屋さんには、全部を読み尽くせないほどすごい量の実篤本が並んでいたのを思い出す。いまは、実篤の著書で手軽に手にいれられる作品が少ないのが残念。

武者小路実篤というひとは、どんなひとだったか?


武者小路実篤を評した、画家中川一政の「この人」という詩がある。

武者小路実篤 この人は小説を書いたが小説家と言ふ言葉で縛られない哲学者思想家乃至宗教家と云ってもそぐはない そんな言葉に縛られないところをこの人は歩いた



新しき村」は、「自他共生」、「人類共生」という精神根本にしている。これだけでは、あまりに茫洋としていてつかみどころがないかもしれないが、「新しき村」は、そういう広さ、大きさ、緩さを、大事にしている。それは、創立者武者小路実篤の人柄そのままでもあるような気がする。


誰をも命令しないし、誰から命令されない、社会一定義務労働をし、あとは自由に、誰にも邪魔されず、自分の才能・技術趣味趣向を最大限生かしていく・・・「自他共生」の精神とは、簡単にいえば、そういうことではないか。


新しき村」には、国家という概念がない。「個人」の次は、一気に「世界」もしくは「人類」へ飛ぶ。この飛躍が「新しき村」らしい。


武者小路実篤と「新しき村」のひとたちは、「個人」を大切にし、国家を超えて、「世界」が等しく幸せになることを、「村」の精神としてめざす。


これは、個人自由制限を加え、国家の力を増大化しようとする、いまの安倍政権の「憲法改悪」とは真逆にある。





全部に目を通しているわけではないけれど、「新しき村」について書かれた本で、誕生から現在までの100年を、これだけまとまって書いたものはないのではないか。


日向の村」時代までなら、大津山国夫氏の書いたものが詳しく、内容も濃い。けれど、「東の村」まできちんと俯瞰したものは、この本で、はじめて読むことができた。


わたしの住んでいる川越から新しき村」がある毛呂山は近いので、卵や野菜を買いながら、なんどか「東の村」には足を運んでいるが、その村の現状を、この本で詳しく知ることができた。よく調べて、書いてくださったとおもう。

2018-02-09

原作『ミッドナイト・バス』と映画『ベロニカとの記憶』(2月3日)。

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2月3日土曜日新宿武蔵野館へ、気になっていた映画ベロニカとの記憶』を見にいく。


早く着いたので、近くの喫茶店で、映画ミッドナイト・バス』の原作伊吹有喜作『ミッドナイト・バス』(電子書籍)を読む。原作に忠実でいながら、エピソードを整理して、すっきりした物語再構成しているな、とあらためて先日見た映画化のうまさに感心。

ミッドナイト・バス (文春文庫)

ミッドナイト・バス (文春文庫)




原作ミッドナイト・バス』には豊穣な情感があるけれど、これをそのまま映画にしたら、エピソード登場人物も複雑になりすぎる。映画は、それをきちんと刈り取って、わかりやすく原作の情感を伝えている。





リテーシュ・バトラ監督の『ベロニカとの記憶』を、朝一番の上映で見る。


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60歳を過ぎ、ひとり静かに引退生活を送るトニーのもとに、ある日、見知らぬ弁護士から手紙が届く。それによれば、40年前に別れた当時の恋人ベロニカ母親だという女性が、トニーに日記を遺しているという。思いもよらない遺品から、トニーは長い間忘れていた青春時代記憶が呼び覚まされていき、若くして自殺した親友初恋にまつわる真実をひも解いていく。


(「映画.com」より)

http://eiga.com/movie/87930/



映画テーマにしているのは、人間自分青春時代の想い出を、多かれ少なかれ美化して記憶にしている、ということ。そして、この映画では、その装飾された記憶修正しなければならないような、出来事が起こってくる。


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トニーは、40年前の恋人ベロニカに会う。


テーマ共感できるけれど、過去のシーンが錯綜して出てくるので、鈍感なわたしには意味がつかみにくかった。はじめて黒澤明の『羅生門』を見たときに似ているかもしれない。『ベロニカ記憶』も、『羅生門』のように、もう一度見たらもっと感動できるのかもしれない。むかしの恋人を演じたシャーロット・ランプリング能面のような表情が印象的。


ベロニカ記憶予告編
https://www.youtube.com/watch?v=QsApjdZwXoM





新宿駅東口に近い回転寿司へ寄る。安いけれど、落ち着かないお店で、酒を注文したら、なんにも聞かず冷やがでてきて、みそ汁を注文したら、なかった。安いのだからめんどうな注文をするな、ということか。お酒のおかわりをする気にもなれず、川越へ向かう。

2018-01-18

映画『ボブという名の猫』と『小沢一郎の権力論』(1月15日)。

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1月15日、月曜日。川越を出て、渋谷の「アップリンク」へ、ロジャー・スポティスウッド監督『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を見にいく。


渋谷へ早く着いたので、喫茶「ヴェローチェ」で、『小沢一郎の権力論』(電子書籍)を読みつぐ。日刊ゲンダイの小塚かおるさんが、小沢一郎にインタビューし、本にまとめたもの。

小沢一郎の権力論 (朝日新書)

小沢一郎の権力論 (朝日新書)




小沢一郎というひとが何を考えているのか、わかりやすくまとめられている。小沢一郎といういままで不可解だった政治家が、少しだけ理解できたような気がした。


「小異をすてて、大同につく」・・・憲法改悪、脱原発、共謀罪反対、権力私物化の問題など、野党は安倍政権に対立する共通政策はいくつもあるはず。それだけでも、安倍政権と闘うのには十分ではないか、と小沢一郎はいっている。共産党を含めて、野党が一致して闘う、それができれば、政権交代も可能だ、と。しかし、一向前へ進まず野党が選挙で負け続けているのは、私利私欲で、本当の闘う相手を見失っているから、という考え方に、共感


実際、それが有権者のひとりとしてはがゆくて仕方がない。本当に、野党が私利私欲を捨て、ひとつになって、安倍政権を倒してくれないだろうか、とおもう日々が続く。





10時45分から映画『ボブという名の猫』を見る。


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予定調和の結末がわかっているので、予告編で見ながらあまり気持ちがのらなかった作品。それでも、ホームレス・ミュージシャンと猫、という組み合わせに興味がなくはないので見てみたが、予想通り猫はかわいかった。それだけで、猫好きならいいのかもしれない。実際、見ていると、猫とホームレス・ミュージシャンを応援したくなる。


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ルーク・トレッダウェイ演じるホームレス・ミュージシャン、ジェームスと、猫のボブ。


このホームレス・ミュージシャンは、書いた本がベスト・セラーになって、大成功した。しかし、それはあくまで奇跡的な出来事。誰にでもありえるリアリティとはほど遠いもの。そういう意味で、感動も共感もわかなかった。


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ジェームスのモデル本人と猫のボブ。ボブは、映画でも本人が出演している。


『ボブという名の猫』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=lJ0Nej4-Fpk





帰り、センター街で北海道ラーメンを食べてアパートへ帰る。

2018-01-16

映画『勝手にふるえてろ』と前川・寺脇対談『これからの日本、これからの教育』(1月8日)。

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1月8日、月曜日。川越を出て、「ヒューマントラスト渋谷」へ、大九明子(おおく・あきこ)監督・脚本、松岡茉優主演の『勝手にふるえてろ』を見にいく。





早く着いたので、近くの喫茶「ルノアール」で、前川喜平・寺脇研の対談本『これからの日本、これからの教育』(電子書籍)を読む。




「ゆとり教育」「生涯教育」「夜間中学」など、教育の格差を是正しようとするふたりの考え・姿勢に共感する。それに比べて、愛国心を強要し、「教育勅語」も教材に検討するような現在の政権の教育方針には嫌悪を感じるばかり。国粋主義の優等生をいくら増殖しても、日本は世界から孤立していくばかり。





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11時40分から『勝手にふるえてろ』を見る。原作は、綿矢りさ。しばらく彼女の作品を読んでなかったので、「へえ、いまこういうのを書いてるんだ」と根拠のはっきりしない感慨あり。


映画は、松岡茉優という女優の魅力をいっぱい引き出した作品。女優の泣いたり笑ったりのいろいろな表情を見せてもらえる。彼女のなさけない表情が、またかわいい。


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松岡茉優はかわいかったけれど。


ただ、内容的にはわたしにはどうでもよくて、なにも心にひっかかってこなかった。


『勝手にふるえてろ』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=tA5U-TW3ZBk





帰り、明治通り沿いに「日高屋」があったので、みそラーメンと餃子をとって、ホッピーを飲む。

2018-01-11

短編集『恋愛仮免中』と映画『婚約者の友人』(1月4日)。

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1月4日、木曜日。渋谷の「アップリンク」へ、フランソワ・オゾン監督・脚本の『婚約者の友人』を見にいく。2018年最初に見る映画


早く着いたので、近くの喫茶「ヴェローチェ」で、5人の作家の短編を集めた『恋愛仮免中』を読む(電子書籍)。




収録されているのは、

  • 奥田英朗「あなたが大好き」
  • 窪美澄「銀紙色のアンタレス」
  • 荻原浩「アポロ11号はまだ空を飛んでいるか
  • 原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」
  • 中江有里「シャンプー」


5編とも、おもしろく読めた。はじめの目当ては、奥田英朗だったけれど、ほかの4編もよかった。全部をまとめたタイトルが『恋愛仮免中』だから、濃厚すぎるようなドロドロするようなものはなく、自分のむかしの忘れかけた感情を思い起こしてくれるような、いい意味で淡白な味わいの作品が並んでいた。





フランソワ・オゾン監督の『婚約者の友人』は、期待以上によかった。クラシックな文体(スタイル)で、女性主人公・アンナと、戦死した友人(?)を訪ねてやってきたアドリアンの悲しみを深くとらえていた。


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1919年、ドイツ。婚約者フランツをフランスとの戦いで亡くしたアンナは、フランツの両親と共に悲嘆に暮れる日々を送っていた。


ある日、アンナは見知らぬ男がフランツの墓に花を手向けて泣いているところを目撃する。アドリアンと名乗るその男は戦前のパリでフランツと知り合ったと話し、彼が語るフランツとの友情に、アンナもフランツの両親も癒やされていく。


アンナはアドリアンに次第に惹かれていくが、実はアドリアンはある秘密を抱えていた。


(「映画.com」から

http://eiga.com/movie/87538/



白黒とカラーが、なんの不自然さもなくまじる、ちょっと変わった映像。貴重が白黒なので、むかしの名作を見ているような感覚もあるけれど、それがごく自然にカラー映像に移っていくのはいかにも現代の作品の味わい。


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この映画で語られる戦争は、第一次世界大戦。これまで描かれてきた古典の名作を思わせるような美しい白黒映像。


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回想と現在とかいうような明確な区別ではなく、ごく自然にカラー映像に移っていく。


前半は、戦死したフランツの友人というアドリアンの持っている謎めいた雰囲気がサスペンス的な興味をかりたてるけれど、その原因が明確になってから、この映画はさらに観客の感情を激しく突いてくる。


アンナが、アドリアンを探しにフランスへ行ってからの後半の哀しい展開は、ヴィットリオ・デシーカ監督の名作『ひまわり』(1970年公開、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ主演)を思い起こさせる。あのときのソフィア・ローレンの深い哀しみの表情は忘れられないが、それを思い出してしまった。どちらも、戦争が運命を狂わしてしまった悲劇。

ひまわり HDニューマスター版 [DVD]

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戦争で夫を失ったアンナの表情は、いつも硬い。新しく現れたアドリアンへの複雑な感情。悩みと哀しみを抑えたアンナ(パウラ・ベーア)の美しさに魅了されてしまった。


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この作品の魅力のひとつは、アンナを演じたパウラ・ベーアの硬質な美しさ。


『ひまわり』のヴィットリオ・デシーカ監督は、ソフィア・ローレンの心の動きを繊細に描いたが、この作品のフランソワ・オゾン監督も、パウラ・ベーアの清廉な美しさをめいっぱい引き出していた。


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名作『ひまわり』のソフィア・ローレン。


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パウラ・ベーア。


『婚約者の友人』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=KxQ6skvDSbc





帰りは、センター街の立食い寿司へ寄ってアパートへ帰る。