38「使命の拒否」

  「十二か月を経て後、王がバビロンの王宮の屋上を歩いていたとき、王は自ら言った、『この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか。』その言葉がなお王の口にあるうちに、天から声がくだって言った、『ネブカデネザル王よ、あなたに告げる。国はあなたを離れ去った。あなたは、追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、こうして七つの時を経て、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るだろう。』この言葉は、ただちにネブカデネザルに成就した。彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、ついにその毛は、わしの羽のようになり、そのつめは鳥のつめのようになった。」ダニエル書4:29〜33

 ネブカデネザルは神の与えられた警告を顧みなかった。神は12カ月の間これを忍ばれた。彼は増々傲慢心を高め、次に起こるであろう国に対して嫉妬心を抱いた。今まで彼の政治は比較的正しくまたあわれみあるものであったが、圧制政治に変わり、後にはそれは神の許されないところにまで達した。ある日ネブカデネザルは王宮の屋上を歩いていたが、世界の不思議中の不思議であるカルデヤ人の誇りである大いなるバビロンを眺めて、彼の力と権威の源を忘れ、「この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか」と大言壮語した。現代に至ってバビロンの廃墟の中から発掘したネブカデネザルの碑文は、この事実を裏書きし、聖書記事が真実であることを確証できる。「バビロンから発掘された遺跡は、いたる所でネブカデネザルの偉大さを象徴している。」(wonders of the Past 第1巻p.377)
 一つの碑文に「我は民衆が美観に驚愕するほど美しい門を装飾した」とある。また他のものには「かく我はバビロンの防備を強固に完成した。これが永遠に持続することを望む」とある。(Rawilson,“Fourth Monarchy,”Appendix A.)このように王は自己の偉大さを自慢した。けれどもついに彼の刑罰の時は来た。天からの声は刑罰の予報をし、天の摂理は直ちにそれを実行し、彼の理性を奪い去った。そのように一度神がその手を触れて理性を奪われた時に栄光燦爛の大都市はもはや彼の心を楽しめなかったのであった。しかし彼は人のすみかを離れ、野の獣と寝食を共にするようになったのである。


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