読みかけのペーパーバックが枕元に置いてあった

桜坂洋/All You Need Is Kill

「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」
敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。
トョーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必死の激戦を繰り返す。出撃。戦死。出撃。戦死。―死すら日常になる毎日。
ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジは一人の女性と再会する……。
期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか!?
(カバー裏より)

 ネイビーブルー並みに青臭い初年兵であった青年が、死と隣り合わせの日々をループし続けることで歴戦の古参兵へと成長していく物語。中盤で、ループの真相が明かされるのだが、その目的・手段共に納得のいくもので素直に驚かされた。
 ただただまだ見ぬ明日に向けて戦い続けていた「兵士」が、守れなかった彼女のために「英雄」になると決意するラストシーンは悲しくも美しい情景で胸を打つ。
 だが彼もまたいつか次の者に全てを託して死んでしまうのだろう。そしてその次の者も人類の為に戦い続ける。そのループを繰り返すことできっと何時の日か人類は勝利を掴み取り、まだ見ぬ「明日」へ脱出することができるのだ。
 取り敢えずコーヒーが飲みたくなった。