美学とエロゲ概説

togetter:「美学的エロゲ解釈へのお誘い」
http://togetter.com/li/48296

中々のviewを戴いたのだが、「美学」という学問が実はあまり広域で知られ得ていないのかも、という疑問も浮上した。
自分は奇しくも美学に触れる切欠に恵まれたが、およそ文系の人間にとっても遠い学問であるかのように思う。

日常的に用いられる「美学」という言葉は、いわゆるスタンスや信条のようなニュアンスを持っている。
「xxの(xxに関する)美学」という中で用いられたりしているならばそうした受け取り方が妥当だろう。
しかし、単に「美学」と使われた場合、もしくは文脈上で芸術に関わる事柄、ドイツ観念論に関わる事柄が記されている場合は学問上の「美学」を指すことになる。

「美学」の本質は、「これは美しい、これは美しくない」と判断する事にある。日本語における「美学」は中江兆民がウージーヌ・ヴェロンの『L'esthetique』を『維氏美学』と邦訳した事から来るが、その点では、森鴎外の作った「審美学」と言う言葉の方が頷けなくもない。
しかしながら、Esthetiqueという言葉の大本は、A.G.バウムガルテンラテン語著作『Aesthetica』にあり、さらにその元はギリシャ語の「アイステーシス」にある。
「アイステーシス」は「理性」の反対概念としての「感覚・感性」の意味を持ち、バウムガルテンは「感性的認識の学」としての意味を持って「Aesthetica」を作り出した。
「審美学」ではいかんせん理性的問題に傾きすぎなのである。

簡単に「美学」を規定するならば、感性に触れる物を認識し批判する学問という事になる。

さて、美学によってエロゲを解釈する、つまり感性や感覚によって与えられる効果を元にエロゲを解釈するという事が美学的エロゲ解釈の根幹になる。
また、芸術学的要素を用いてエロゲを解釈・分析する事もまた美学的解釈に与る。




参考文献・教科書

『絵画の教科書』
http://www.nichibun-g.co.jp/product/book/kaiga/

『美学の逆説』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480087958/labolo-22/ref=nosim/

概説の主な部分は『絵画の教科書』を引用、次いで、監修の谷川渥氏の講義からも要素を取り込んでいます。

『二コマコス倫理学』上下
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003360419/labolo-22/ref=nosim/
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003360427/labolo-22/ref=nosim/

詩学』(ホラティウス『詩論』同時収録)
http://www.amazon.co.jp/%E8%A9%A9%E5%AD%A6-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B9/dp/4003360494/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1285857880&sr=1-1