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2010-05-04 代替医療のトリック

[]代替医療のトリック


代替医療のトリック

代替医療のトリック




世に蔓延る代替医療には本当に宣伝されているような効果があるのか。世界的に有名なサイエンスライターと代替医療の研究者がタッグを組んで、科学的な検証結果について平易に解説した本。終盤には人びとがなぜ代替医療に惹かれるのかについても考察されています。噂に違わぬ名著でした。多くのかたにオススメしたい本ですが、現在Amazonでは再び売り切れになっているようで中古本が高値で売られています。

目次

はじめに
第1章 いかにして真実を突き止めるか
第2章 鍼の真実
第3章 ホメオパシーの真実
第4章 カイロプラクティックの真実
第 5章 ハーブ療法の真実
第6章 真実は重要か?
付録−代替医療便覧


本編では鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブの4つの代替医療を中心に、そのベネフィットとリスクについての科学的な評価が述べられていますが、付録には本編で触れられなかった数多くの代替医療についての評価が簡潔に書かれています。例えば自閉症に関連する項目としては、キレーションセラピー、サプリメント、デトックス、分子矯正医学(オーソモレキュラー)などがあります。

著者・訳者について

サイモン・シン
1967年、イングランド、サマーセット州生まれ。祖父母はインドからの移民。ケンブリッジ大学大学院で素粒子物理学の博士号を取得し、ジュネーブの研究センターに勤務後、英テレビ局BBCに転職。96年、TVドキュメンタリー『フェルマーの最終定理―ホライズン・シリーズ』で国内外の賞を数多く受賞


エツァート・エルンスト
1948年、ドイツ、ヴィースバーデン生まれ。代替医療分野における世界初の大学教授。ドイツで物理学を学び、博士号を取得したのち、ミュンヘンのホメオパシー・クリニックを皮切りに、ウィーン大学などで広く代替医療の施療と研究に従事した。1993年、英エクセター大学に代替医療学部を創設


青木 薫
1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒業、同大学院修了。理学博士。翻訳家



内容

訳者あとがきから引用します。

今日、代替医療―現代の科学によっては理解できないメカニズムで効果を現すと考えられる治療法で、科学者や多くの医師が受け入れていないもの―は、全世界で数兆円規模の市場に成長しているといわれる。はたして代替医療には、宣伝されているような効果があるのだろうか?お金を費やし、かけがえのない健康を託すに値するものなのだろうか?本書はさまざまな代替医療―鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の四つを本文で取りあげ、その他については付録に簡潔にまとめてある―の有効性と安全性を、今日手に入るかぎりもっとも信頼性の高いデータにもとづいて判定しようという試みである。


二人の著者の狙いは、これだけ普及している代替医療を、メカニズムが科学的に理解できないからといって頭から否定することにあるのではない。なんといっても、医療にとってなにより大切なのは、実質的な効果があるかどうかだ。代替医療の基礎となっている思想や理論は、科学的に理解できないし、なかには荒唐無稽といってよいものもあるけれども、そのこと自体は医療にとってそれほど重要ではない。現代の科学的知識で理解できないのなら、メカニズムの解明は未来に託せばよいだけのことだからだ。一方、もしもありもしない効果があると主張されているのなら、人びとはかぎりあるお金を価値のない治療に費やしていることになる。そればかりか、そもそも病気でもないのに害となるものを受け入れて健康を損なったり、受けるべき有効な医療の妨げとなって命にかかわることさえある。二人の著者が取り組んだのはその問題、すなわち、理屈はどうあれ実質的な効果があるのかないのか、隠れた危険性があったりはしないのかを明らかにすることだ。


さて、個々の代替医療の有効性と安全性について下された判定は、おおむね否定的だ。つまり、代替医療には、言われているような医療効果は認められないというのが著者たちの結論なのである。しかし二人の著者は、代替医療など効くわけがないと決めてかかったのでは決してなく、それぞれの治療法の実質を見極めたいという動機に駆り立てられていたであろうことを疑うわけにはいかない。なぜなら、もしも代替医療の有効性が示されれば、それはまぎれもなく素晴らしいことだし、頭から代替医療は役に立たないと決めてかかるのは科学的な態度ではない。なによりも、医療の歴史上には、はじめはなぜ効くのかわからなかったが、たしかに有効であることが示された治療法がいくらでもあるからだ。



レビューなど

本書は既に多くの方がレビューを書いています。例えばオススメのレビューはこちら(↓)。それぞれコメント欄も盛り上がっています。


■「代替医療のトリック」(NATROMの日記)
■代替医療のトリック(ブックレビュー)(お父さんの[そらまめ式]自閉症療育)



代替医療従事者からの反響は、id:ohira-y さんがリンク集を作られています。実にさまざまな反応があって興味深いです(↓)。


■代替医療のトリックに対する代替医療従事者の反応(リンクの追加あり)(食の安全情報blog)



さて最後に、効果が客観的なデータで確認されれば、「なぜ効くのか」というメカニズムが、たとえ分からなかったとしても、その治療法は標準医療に取り込まれるでしょう。ということは、代替医療とは、まだ効果がしっかりと確認できないか、あるいは既に否定されている絞りカスのようなものに過ぎないとも言えます。早々安易においしい話はないと思った方がいいでしょう。


代替医療を宣伝するインチキ業者はよく科学っぽい用語などに装飾された難しいメカニズム論に「こんなに効きました」という体験談を加えて、もっともらしく効果を訴えてきますが、そんなものは無視して構いません。メカニズム論も体験談も効果を証明する根拠にはならないからです。逆に「疫学的なデータで効果がきちんと確認されているんですか?」と聞き返してやりましょう。