2010-08-27 資産除去債務に関する疑問
■[雑談]資産除去債務に関する疑問
ネタ切れなので、ちょいと本業に関するつぶやきなど・・・
国際財務報告基準(IFRS)へのコンバージェンスの一貫として、本年度から、日本の会計基準にも資産除去債務の計上が義務づけられました。
「資産除去債務」とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。*1
つまり、不動産などの有形固定資産について、法令や契約によって義務づけられた将来発生する除去費用をバランスシート上、負債に計上しようというもの。例えば、建物の耐火被覆などに用いられていたアスベストや絶縁油などとしてトランス・コンデンサ・安定器などに用いられていたPCBなどの有害物質を処分するためには、法令等に定められた特別な処理を行うための費用がかかりますし、賃借した建物に対して行った内部造作等については、賃貸借契約を解約する際に、原状回復を行って貸主に返すことを契約で定めているのが通常です。このような将来発生するキャッシュ・アウトを合理的に見積もり、それを無リスク金利(国債利回り)で現在価値に割り引いた上で、負債に計上するのです。
将来発生する損失を前もって負債として認識するという意味において引当金に似ていますが、引当金が負債を認識した期に全額を費用として計上するのに対して、資産除去債務は負債に計上するのと同時に同額を当該有形固定資産の帳簿価額に加算する点で異なります(以下、この加算する資産を「除去費用資産」と言います)。除去費用資産は、その後、毎期減価償却を行い、将来のキャッシュ・アウトの時点までの間にわたって徐々に費用認識するのです。イメージを図で表すと以下のとおりです。

将来時点において、実際にキャッシュ・アウトが起こる時には、除去費用資産は償却が終了して、前もって全額が費用認識され、資産除去債務(負債)はキャッシュと相殺されることになります。(従ってその時点において費用の計上はなし)
しかし、どうも腑に落ちないところがあります。除去費用資産には資産性がないのです。資産性とは、「資産として認識するものは、将来、キャッシュ・イン・フローを生み出したり、キャッシュ・アウト・フローを減らすものでなければならない」という資産の性質および資産計上の原則のことを言います。除去費用資産は、キャッシュ・イン・フローを生まないし、キャッシュ・アウト・フローを減らしたりもしません。費用を徐々に認識するために各期に繰り延べるための擬制的な資産で、それ自体にまったくなんの価値もないのです。
そんなものをむやみやたらと資産に計上してしまってよいのだろうか。外国人の考えることはよくわからんな。というのが、私の個人的な感想です。だれか私にも分かるように説明できる方がいらしたら教えてください。
